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【旧】日帰りRPG ~チート少女の異世界(往復自由)冒険譚~  作者: フェル
第1章 起

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Side8 駆除すべきモノ

 管理者イアス・ラクアの視点。

 黒龍イヴィズアークとしてゼルク・メリスで生を受けた魂を、その死後、竜之宮由美という日本人に転生させたのはほぼ成功と言っていいだろう。


 母なる混沌より生まれし我ら、管理者。自身の内側で世界を生み出し、その成り行きを見守る……と言えば格好は良いが、内側の世界の言葉を借りれば、箱庭遊びやペットを飼育するのと大して変わらないと思う。とはいえ、冥王が管理する《魂の源泉》から魂を借りて命を扱っている以上、生半可な気持ちで管理者をやっている訳ではない。

 この管理者は今、わたしを含めて3体、いや、例外的ではあるが冥王を管理者の1体とみなすなら4体、ある。


 1体目はわたし、イアス・ラクア。内側の存在たちには天使を除いて管理者権限を一切与えず、割と厳しい管理をしている。

 2体目はティア・エルス。わたしと同じく内側の存在たちを気まぐれに天使化させているが、天使以外にも限定的に管理者権限の行使を認めている。ちなみに、順番で言えばティアが最初だ。わたしが管理者としての意識を持った時、既にティアが管理者として存在していた。

 3体目はフィス・リーア。管理者の中では最も若く、わたしたちから見てもかわいい妹分のような存在だ。

 4体目は冥王。《魂の源泉》を管理し、いつからか、内側の世界の《会社》という組織を真似して《幽霊コーポレーション》として運営しだした。ティアが生まれた時には既に冥王が居たらしいが、冥王は《魂の源泉》以外に管理する世界を持たない。だから、《管理者》としてはティアが最初だと言っていいだろう。

 そして、つい最近新たに生まれた、管理者候補。


「うふふふ。ねえ、どんな気持ち? ティア」


 まだ《悪意》を知らない子供、だが、それゆえに、遊びのつもりで、本気で相手にちょっかいを出す。そんな嫌らしさのある絡み方をする。


「……ちっ。あんたねえ、人の世界に手を出す暇があるなら、ちょっとは自分の世界を作ろうって努力でもしてみなさいよ」

「イヤよ、めんどくさい。そんなことより、こうしてちょっかいを出すほうが面白いんですもの。うふふ」


 ……見ているだけでイラついてくる。

 わたしたちは管理者候補として生まれ、他の管理者に《管理者としてふさわしくない》と判断されれば、駆除される運命にある。だが、純粋なエネルギーの塊ともいえる管理者や管理者候補を駆除するには、同等のエネルギーをもって行わねばならない。

 つまり、今のアレを駆除するために、わたし、ティア、フィスの3体が協力して、駆除に必要なエネルギーを分散させたとしても、それぞれの世界に全く被害無しで駆除することはできないということだ。


 内側の世界から管理者を、もしくは管理者候補を崩壊させる、これも言葉を借りれば《コンピューターウイルス》のような存在を作ることも、不可能ではない。あからさまにそれを作ってしまうと、その動きをアレに悟られるおそれがあるが、どうにか気づかれずに完成させられれば、こちらに被害を出さずにアレを駆除できる可能性が見えてくる。

 幸い、アレは今、ティアに夢中になっている。このまま順調に事が運べば、アレに気づかれること無く、無事に《ウイルス》は完成するだろう。

 ……こんな、管理者同士の問題に巻き込まれる内側の存在、《ウイルス》役には申し訳ないことをしていると思う。だが、そうしないとほかの世界に犠牲が出る。アレを駆除するためのエネルギーとして無駄に消費される世界が出てきてしまう。


 ……オーバーフローで任意コード実行なんてバグ、やめてよ? 女神様。


 単独で《オーバーフロー》を引き起こせるだけの魔力を持つ黒龍を由美に転生させ、世界の仕組みに気づくことに期待する。それは、いくつかの偶然に頼ったある種の賭けではあったが、どうにかここまで来ることができた。

 もし、由美が無事にアレの駆除に成功したら……願いを叶えた代償の取り消しか、それとも何か別の褒美を与えるか。ともかく、何かは考えておこう。

登場人物紹介 8


イアス・ラクア(人型時) 性別:-

誕生日:- 本編開始時の年齢:-

身長:164.3cm 体重:-

100m走:-

握力 右:- 左:-


 由美やイリスたちが暮らす世界と、それらを内包する高位次元の創造主。

 創造主といっても、宇宙、銀河、恒星や惑星など、《今の世界》を直接作りだした訳ではなく、《世界の種》と、それらの動作を規定する《法則》を作っただけ。その後は、基本的には《法則》に従って移ろいゆく世界を見守っているだけなので、創造主本人たちは《管理者》と自称している。

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