反撃!パンプキンマン
「よし、反撃開始だ!!」
そう力強く頷いて、パンプキンマンは地を蹴って放火魔雪達磨の黒い方をめがけていく。白い方の肉親を一撃で倒されて驚愕していたスノーマン・ナイトだったが、そこはさすがハイテンションな犯罪者、直ちに戦闘意欲に火を点けて、放射器から伸びるチューブを銃身に接続して構えた。
そして、轟々と炎を噴き出していく。
「喰らえ! スノウブレス!!」
容赦なき火炎から、巧みに身をかわしていきながら、パンプキンマンはその懐にへと入り込んだ。次に、相手の手元を強打して武器を手放させると、今度はその長い銃身を蹴飛ばした。続いて、隙を与えることなく拳を胸元と鳩尾と下腹部とリズミカルに連続して撃ち込んで、弱って体勢を崩したその瞬間。
強く地を蹴って垂直に跳び。
宙で躰をスピンさせて。
蹴りを放ったのだ!
「パンプキンキック!!」
正義の一撃を頭に喰らったスノーマン・ナイトは、強烈なまでに脳震盪を味わい、吹っ飛んで落下したそのときには、すでに気絶していたのである。
そして、
群がる野次馬を含めたその放火の犯行現場にいた、消防車とパトカー数台の中に、パンプキンマンは現れた。放火魔雪達磨こと、スノーマン・ライズとスノーマン・ナイトの二人を連れて。
連れて、といっても、襟足を掴んで引っ張ってきたといったほうが正しいか。決着あのあと、ライズとナイトの頬を叩いて意識を取り戻させて、責任持たせて己自身の犯行道具を抱えさせたまま、いまだに燃え盛る民家に連行してきた。
ちなみにその場でマスクを剥ぎ取ってみると、二人して眩いばかりの美貌を備えた色白の若い娘であった。ともに天然パーマ。白い方は金髪碧眼で、スノーマン・ライズの正体である、白峰ビアンカ。また黒い方は黒髪にダークブラウンの瞳の、スノーマン・ナイトの正体である、白峰ネーロ。どうやら日本生まれのイタリア娘で、この双子姉妹の住む町内では、住民から『グリージョ(灰色)姉妹』と呼ばれていたらしい。おまけに、大型百貨店の洋服屋の売り子として働いていた。
「お巡りさん、コイツです!!」
「ご協力、感謝します!」
こう現場にいた警部補に突き出したのちに、パンプキンマンは再びマントを放出して飛び去っていったのである。
「では、私はこれで。グッバイ! 良きハロウィンを!!」
「ありがとう、パンプキンマン!」