事件だ!ジャック・バウワウ
ソウルマンが、空手メンズの繰り出してゆく無数の拳と蹴りの雨をくぐり抜けながら、反撃をしている、そのさなか。
ほぼ、同時刻。
襲撃現場の目撃者および巡回をしていた警察官からの連絡を受けた署内から、電光石火のごとく複数のパトカーと機動隊らを乗せた装甲車らが飛び出していき、事件現場を目指していく。
メインのパトカーには、ジャック・バウワウ警部。その後部座席には、実に“けしからん”までの色香を生まれながらに備えた、ひとり娘のキンバリー・バウワウ刑事(通称、キム)と他の男刑事らが乗っていた。トレンチコート姿の、シャープな“お多福顔”をした助手席のジャック警部は、力強いその碧い眼差しで拳銃を構えているといった、すでに準備万端であった。
「いいか。例のマルヒ(被疑者)は、手前ぇよりも強そうな人物を見かけたら、無差別に襲う逝かれた野郎らしい。しかも神出鬼没ときた。―――要するに、幽霊野郎だ! 容赦せずに撃て! 多少、手荒なことをしてもいい。捕らえろ! 力の限り捕らえるんだ! いいな!!」
「り! 了解!!」
と、ジャック警部から運転席の刑事が側頭葉に拳銃を突きつけられた。
「パパ! それを向ける相手が違うでしょ。―――馬っ鹿じゃないの!!」
「パパ云うな! 馬鹿とはなんだ! 馬鹿とは!」
ひとり娘のキンバリーから注意を受けたジャック警部は、額に青筋を立てて眼を血走らさせて、露骨なまでに逆ギレをして返した。
行け、ジャック・バウワウ!
無差別連続通り魔を捕らえるのだ!!
24時間以内に!!




