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無差別襲撃!ソウルマン


「きみもあなたも立派な標的!」

 右手左手と突き出して指を差し。

 次は親指を立てると内側に倒す。

 そして、さらに内側に曲げて。

 己の胸元指差す。

「無差別万歳!」

 “うらめしや”の型をとり。

 躰を横に向けてアキレス腱伸ばし。

 そして

「ソウルマン!!」

 と、顔だけ正面を見た。

 おとずれる沈黙。

 空手メンズとの間を渦巻いて駆け抜けてゆく、淋しげなひとつの風。よくみたら、カマキリっぽいポーズにも見える。

 だが、しかし!

「ど、道場破りだ!」

「間違いない。道場破りだ!」

「隙あり! とう!!」

 素早く切り替えて半身に構えていく手前の空手メンズの後ろから、随一屈強な空手マンが、その叫びとともに地を蹴って宙を舞ってきたのだ。力強く跳ねたそれは、円弧を描いてオバケ男の脳天を潰さんとばかりに迫り来る。そう、この随一屈強な空手マンの今の姿は、まさに、隕石。落下した途端に、たちまち地球が粉々に破壊されてしまうのではないかと、恐怖と畏怖と暑苦しさとを足してさらに加熱させてしまったワイナー!との感情が思わずごちゃ混ぜになって巻き起こるものであった。

 このような、天変地異をも今にも巻き起こしそうな随一屈強な空手マンのこの一手を、どうするのだ、ソウルマン!!

 どうしようと云うのか、ソウルマン!!

 そしてなんと、その非常かつ無慈悲なる巨大隕石は、落下だけでは許すはずもなく、その塊の下から、鋭角なるものを生み出してきたのだ!

「喰らえい! 飛び足刀うりゃああ!!」

 血走った眼を見開き。

 生成色の歯を凶悪に剥き出して。

 随一屈強な空手マンが飛びかかってゆく!!

「ソウルマン、ジャンピング!」

 一歩遅れて激しく跳躍をしたソウルマンは、胸元で合掌をするなりに宙て身を捻って渦を描いてその相手にへと向かっていった。と、その瞬間、凶悪巨大肉塊と青白い幽鬼と激しく火花を散らして打ち合ったのだ!

 次に、二つ影がともに落下したと思われたが、それは違っていた。なんと、躰の前面を強くアスファルト舗装に叩きつけられたのは随一屈強な空手マンで、ソウルマンにいたっては華麗に着地を決めたのだった。


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