表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

英雄

―英雄は還らない

 ただ我らの胸で生き続ける―

そうやって都合よく作られた異常な程綺麗な石碑。

その前に立ち尽くす少年少女8人。

ある者は泣き、ある者は地面に膝をつく。ある者は憤り土を蹴る。

またある者はただ立ち尽くし、背を向け座り込む者もいれば、受け止められず笑う者もいる。

双子の男女が、一番先頭に立っていた。同時に口を開く。

「「行こう。」」視線が集まる。

「待ち受ける未来が、たとえどんなに悲しくても」

「私たちは生きなきゃいけない」

「生きて、私たちが消えたこの世界の行方を届ける」

「それが、私達が生きた証し。光多く照らす所では影が強まるのもまた然り」

「私達がいたことで誰かが笑顔になるのなら。」

「無限の中から、一人でも救えたとしたのなら。」

「「私たちは十分、英雄じゃないか?」」


一人、また一人と立ち上がる。

「思い出そう、日々を。共に歌ったあの時をまた、選ぼう。」

「誇ろう。ひと時でも私たちがこの空の下に集い、生きたことを。」

「「私達が消えることで、平和が訪れるのなら、何と安いものだろう。」」

「「「「全ては、愛する人と国の為に。」」」」

「「「「全ては、未来を託す子供達の為に。」」」」

いつも通りの言葉を唱え、英雄達は一人ずつ、去ってゆく。

重すぎる歯車を背負った子供達を見送る影はなかった。

どこまでも、どこまでも続く地平線に遠く響く、英雄達の唄。

ああ、十字の炎と弔いの足音が紅い大地に広がってゆく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ