プロローグ
「人の小説を勝手に書き換える」という活動をしている集団がいたら……おもしろくないですか? とりあえずそんなネタを思いついたのでプロローグだけ書きました。
皆さんは『小説を書き換えよう』という裏サイトをご存知だろうか?
そう、あの有名な小説家を目指す人々が集う某サイトを模した、非人道的なサイトである。
『小説を書き換えよう』と言うサイトはその名のとおり、他の人が書いた小説をかってに書き換えるという、著作権崩壊集団が運営している最低最悪のサイトである。
さて、ここで被害者の青年の例を見てみましょう。ここではプライバシー保護のため、青年のことを仮に”ゴリラと金網デスマッチをしていみたい”さんと呼びます。私達は『小説を書き換えよう』とは違い、著作権やプライバシー、人権など、守るべきものは全て守りますよ。あまりにも守りすぎて、齢30をむかえて、別に守らなくてもいい自分の貞操まで守り続けてしまっているしだいです………………話を戻しましょう。
「あれは、僕が書いた渾身のラブストーリー『100キロ越えのシンデレラ』の第21話を更新したときのことでした」
ゴリラと金網デスマッチをしてみたいさん(長いので以下”ゴリラ”)は、膝を震わせながら語りだした。その震えは恐怖によるものなのか、怒りによるものなのか、ただの貧乏ゆすりなのか、私にはわからなかった。
「突如、パソコンの画面が暗くなりました。だいたい1~2分でしょうか? それくらいで画面はもとにもどったんですが」
ゴリラの貧乏ゆすりは話が進むにつれて激しくなっていく。これはもしかして、ドラミングの一種ではないか? そう思えるほどに、ゴリラの貧乏ゆすりの振動は激しかった。
「なんと、僕の小説が書き換えられていたんです!!」
ゴリラの腕を見る。腕毛が濃い。冬だというのに半そでのポロシャツを着ている。寒くないのだろうか? おそらく太っているから寒くないのだろう。
「主人公のデブ女がやっとの思いで痩せたのに、リバウンドしてしまったというふうに書き換えられたんです!! 許せない!! 著作権の侵害だ!!!」
気のせいだろうか? ゴリラの頭から湯気が立ち上っている。気のせいではない、はっきりと見える。温泉マークの様な湯気の線が確かに見える。あぁ、温泉旅行に行きたいなぁ……。
「さらに許せないのが……許せないのが…………」
ゴリラが悲しい顔をしてうつむいた。どうした? お腹すいたのか? バナナいる?
「書き換えられたとたん、評価ポイントも、お気に入り登録件数も、一気に跳ね上がったんです…………書き換えられた話の方が面白かったんです…………」
さて、みなさん。これは被害のほんの一例に過ぎません。次はあなたの小説が狙われるかもしれません。お気をつけください。
続く……?
なお、作中の”ゴリラ”とわたくし(ほんとの作者)は全く関係ありませんので、あしからず。