後の事を語る--after story--
後の事を語ろうと思う。
僕はあの日学校に鈍器のような物を持って登校した。憎い生徒を撲殺しようと考えていたのはあの文章からでも御推察できるだろう。しかし当日、僕の良心がそれを止めた。よって未遂に終わっている。
なので僕の本名である上杉浪輔という漢字の連なりを新聞等で探しても無駄であることをここに書き添えておく。
僕は受験生になった。国立K大学を志望校に定め、勉強に励んでいる今日この頃である。露悪信仰者にかまっている暇などなく、やつらが僕をどうにかしようと近づいて来、何かされようとも殺意を抑え耐えるようにしている。
僕は研究者になるつもりだ。その為には大学を卒業し、大学院に入らねばならない。
多忙である。忙しさは悩みを消してくれる。僕は今多忙である。
前のように狂うことはないだろう。狂うとすれば大学に<<ここで使おうとしている言葉は不吉だから使わない>>た時だけだろう。<<ここで使おうとしている言葉は不吉だから使わない>>ない為に今勉強しているのだし、<<ここで使おうとしている言葉は不吉だから使わない>>ない為に勉強しているからこそ、僕は多忙なのだから。
これが僕の現状である。悲観的に見れば仮想の目的を立てて逃避する哀れな高校生だろう。楽観的に見ればただの受験生だ。
僕は大学に<<ここで使おうとしている言葉は不吉だから使わない>>ることに恐怖を抱き勉強をしている。仮想の目的に向かい、仮想の敵と戦い、仮想の世界へ向かおうとしている。
物語る資格を、僕はこれにて放棄する。




