第弐話【異界】
この話から本編スタートとなります。
「ぐ…ここはどこだ?」
頭が痛い…
「一体…」
辺りを見渡してみる、だだっ広い草原に俺はいた。
『汝、新たに此処に来た者か?』
「…!?」
急に背後から声が聞こえ、俺はとっさに振り返った、そこには確かに女性が立っていた。
何ら不思議はない。
腰のあたりまで伸びた綺麗な黒髪、汚れ一つない綺麗な服、澄んだ瞳…
が、しかし…
「あんた、誰だ?…さっきまでここには誰も…」
『ふむ。汝の問に答えるのは簡単だ、妾が今、能力にて現れたと説明すればよいからな。だがしかし、汝はそれでは理解せぬだろう。』
おかしい…この女行ってることが意味不明だ、それに…能力って何だよ!?
「じゃぁ…なにかお前は神様だとでもいうのかよ…」
俺の問に対して女性は頭を横に振った。
『妾は神などではない。むしろ紙のように弱い存在なのだ…。が、しかし汝に能力を授けることはできる、否。授けるのが妾の仕事だ。』
「じゃぁ…俺に能力って奴をくれるって言うのかよ…」
今度の問いには頭を縦に振った。
『うむ。妾は嘘は言わぬ。そなたに能力を授けよう』
「ちょ、ちょっと待ってくれ!その能力って言うのは何なんだ!?」
『ふむ…説明してなかったな。この世界は汝が元居た世界とは違う、まさしく異世界だ。』
「つまり…俺も神隠しにあったって言うのかよ…」
『うむ。そして、この世界には数多の怪物が存在する、そ奴らと戦えるようにそなたに能力を授けるのが妾の仕事だ。』
「なるほど…」
『して…その能力だが、漢字を一つ授ける、好きな…否、この世界で戦い、生き残れる漢字を言うがよい。』