表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄!? 心の中で大喜びしますわ!  作者: 風月 雫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/21

第8話【side クリフ】 借金の金額

よろしくお願いします(#^.^#)

「い、一括返済出来なかった場合どうなるのですか?」


 俺は嫌な予感がした。さっき父が呟いた『我が家は、取り潰しになるかもしれない』という言葉が耳に残っている。冷たい汗が背中を伝う。


「王家に領地を没収される……言っておくが、変な企みはやめて置け。王家とレグルス家、我が家で契約書を交わしているからな」

「領地没収? 契約書? ま、まさか……一体どれだけの……いや、一括返済すれば良いじゃないですか? そんな、とっとと返してしまいましょう!」


 そうだ、借りたものは返せばいいだけじゃないか。丸く収まる。俺もエミーリアと婚約を続けなくて済む。

 そう父に提案すると、「それが出来ればこんなに頭を悩まさんわい!!」と、大声で怒鳴られた。


「一体どれくらいの……借金を」と、大量の冷や汗が流れて出てくる。


「我が領地の収入の10年分だ……」

「え……?」


 父は肩を落とし、深い溜息を吐いた。

 そしてもう一度吐き捨てるように言った。


「10年分だ!」

「まさか……」


 10年分。考えただけでも恐ろしい。

 しかも、そんな大金をレグルス家は持っていたのか?

 だが、あれから10年経っている。返せるはずだ。10年経ったのだから。


「それなら返していけたでしょう! 俺と婚約して10年経つんだ。その間に少しは貯めてあったんじゃ」


 父にそう言い返すと、父は厳しい顔つきで俺を睨みつけ、また怒鳴った。


「貯めようとしたが、誰かさんが次から次と湯水の如くそのお金を使い込んだんじゃい!」


 え? まさか俺? 


「まさか、誰かさんって俺ですか?」

「おまえじゃー! おまえしかおらん!! レグルス家のように倹約しておれば、今頃、借金の7割ぐらいは貯まっておったはずじゃー! それをお前は次から次と金を使いまくりおって……カタリーナも息子のお前に甘すぎたんじゃ……」


 父は力なく床に崩れるようにして座り込んだ。そして、ドンと座り込んだ床を思いっきり叩いた。


「こんな息子に育てた覚えはない……どこで間違えた?」と嘆く。

「一体何に使った? ドレスやアクセサリーの領収書も見たが、レグルス家のエミーリアに贈った物ばかりと思っておったが、違うようだな。どこの令嬢に貢いでおったんじゃ! それにお前も自分の物を沢山購入しておったな!」


 父は大きな溜息を吐いていた。

 俺はエミーリアにドレスやアクセサリーを買ったことがない。自分は侯爵家の嫡男だから、容姿も見栄え良くしておかないと、と思っていた。他の令嬢が俺の誕生日にプレゼントしてくれれば、倍返しの金額でその令嬢の誕生日にプレゼントをしていた。


「そ、それは……でも母上は、侯爵家の嫡男として使うときは使わないと、とおっしゃっておりました」

「使うときは使わないとじゃと? じゃあ、お前の使わない時はいつだったんだ!?」


 父に言われてよく考えれば、毎月のように令嬢に贈り物をしていた気がする。


「は、母上は今、何処にいらっしゃるのですか?」


 そう言えば、母が見えない。母がこの場に居てくれれば、きっと味方になってくれるはず。俺が困ったときには、いつもそうだった。


「カタリーナは、寝込んで居るわ!」と、また父に睨まれる。


「はあ?」

「もう、我が家はダメだ……爵位も無くなるかもしれん」

「え? そんな!」

「領地が王家に没収となれば、爵位がある方がおかしいだろう!? それが嫌なら、レグルス家に行って土下座して謝りに行け! ああ、わしも寝込むわ……」

「ち、父上! 待ってください!」


 父は力なく立ち上がると、執務室から出て行ってしまい、俺は一人立ち尽くしていた。

 悪い夢でも見ているような感じだった。


 レグルス家から資金提供?

 あの、質素の装いしかしないエミーリアの家から? 

 そんなのありえないだろう。お金が無いから質素だったんだろう?


 そんな家に大金があると思えない。

 これは、嘘だ。騙されているんだ。婚約破棄したところで何も変わらないはずだ。




 だが、次の日から俺は学園に通えなくなった。

 レグルス家の許しが無いと行かせない、一歩も屋敷からでるな、と父が俺を家から出してくれない。母に助けを求めようとしたが、相変わらず寝込んだままで話にならなかった。

 それでも俺は、あのエミーリアに頭を下げるのだけは嫌だった。俺はキーラが傍にいてくれればいいと思っていた。



「クリフ様、キーラ・バルト子爵令嬢が尋ねてこられてますが、どうなさいますか?」


 執事が俺の部屋に来た。俺が学園に行かなかったから、きっと心配になって会いに来てくれたのだろう。ああ、なんて優しいんだ。もう俺にはキーラしかいないのだ。外を見れば、夕方にしては陽が高い。中庭でお茶でもしよう。


「庭に通してくれ。お茶もお願いする」

「かしこまりました」


 俺は身なりを整えると、中庭に向かった。庭のガゼボには、遠くから見ても可愛らしいキーラが座っているのが見えた。周りをキョロキョロと見ている。我が家の庭は彩とりどりの花が立派に咲いているから、驚いているんだろう。サクッサクッと草を踏みしめる音で俺が来たことにキーラは気が付いた。


「あ、クリフさまー」


 キーラは、俺に向かって小走りして駆け寄ってきた。なんて可愛らしいんだ。


「クリフ様、何故、今日は学園に来られなかったのですか?」

「ああ、すまない。ちょっとした手違いみたいなものがあってな」


 俺はキーラの腰に手を回しガゼボに向かい、彼女を椅子に座らせる。向い側に俺も座った。メイドがお茶を入れると、すぐに下がった。


「クリフ様、今日はどうされたのですか? 学園に来られなかったので心配しておりましたわ。寂しかったです」

「ああ、ごめんな。暫くは行けないかもしれない」


「どうしてですか?」と、キーラは甘えた声で聞いてきた。


「エミーリアとの婚約破棄を勝手にしてしまったことが父上を怒らせてしまって……」


 こんな事をキーラには言いたくない。言ってしまって気を悪くしないだろうか。いいや、些細な事だ。大丈夫だ。俺はそう思った。


「レグルス家に頭を下げて、婚約破棄を取り消しにしてもらわないと、外に出してもらえないんだ」


「え? そんな」と、キーラは目を丸くして驚いていた。


「それで、クリフ様はどうされるのですか? まさか、エミーリア様の所には行かれないですよね?」

「ああ、行かないよ。せっかく婚約破棄をして、キーラと堂々と一緒にいられるのに、そんな事はしない」


 よかった、とキーラはホッとしたようだった。


「今日の学園では、可笑しなことが起きておりましたわ。エミーリア様に手紙や贈り物を贈る方がおりました。物好きな方いらっしゃるわ」


「へぇー、そうなんだね。本当に物好きな者がいるもんだ」

「ふふふ、でも、クリフ様ならもっと素敵な贈り物を私に下さるわよね?」


 キーラに微笑まれそう言われると、ビクッとなった。何故だろう、サアアッと血の気が引く思いをした。一応、キーラにも伝えておいた方が良いのかもしれない。父の監視している以上、以前のように、贈り物も出来なくなる。でも、伝えて嫌われないだろうか……キーラに限ってそんな事はないよな。だが、どうしても言う決心が付かない。


「ねぇ、クリフ様。この間素敵なドレスを見つけたの。ワインレッドのドレス。シンプルだったけど、素敵な色で、装飾品を付けたらもっと素敵になると思うの。今度、一緒に見に行きましょう」


 え? まさか、また買ってくれって言うんじゃ……。ひと月前にもドレスを買ってあげたのに? 


 俺は焦った。今、またドレスを購入したら、父にまた怒鳴られる。第一、もう自由に使えるお金なんてない。


「あ、う……うん。そうだね。でも、父の怒りが収まらないと……そ、外にで、出れないから。暫く待っててくれよ」


 そう返事をしながら、どうにか断れないかと考えていると、キーラはムスッとした顔になる。


「えー! 早くしないと、誰かに買われてしまいます! 素敵なドレスなのに!」


 そんな事を言われても、いくらなんでも強請りすぎではないか。


「ちなみに、いくらにだったんだ?」


 俺は、金額を聞いて驚いた。ひと月前に買ったドレスの3倍の値段だった。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

もし面白いと感じていただけたなら、応援やブックマーク、評価などいただけましたら励みになります。

次回更新は4月2日22時頃の更新予定をしております。

また読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ