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婚約破棄!? 心の中で大喜びしますわ!  作者: 風月 雫


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第7話【side クリフ】 初めて知った婚約の理由

よろしくお願いします(#^.^#)

 俺はクリフ・ルピナス。

 父はルーク、母はカタリーナでルピナス侯爵家の嫡男として生を受けた。

 レグルス伯爵家とは祖父の代からの付き合いだった。

 その祖父達が学園入学前の5歳の俺に、レグルス伯爵家のエミーリアとの婚約を勝手に決めてしまった。

 てっきり祖父同士が仲が良く、孫同士で婚姻を結ぼうと考えていたんだろうと思っていた。


 初めてエミーリアと会った時は、黒髪にアメジストのような瞳で、正直、可愛いと思った。しかし会話をしても俺に対して愛嬌を振りまく事など無かった。つまらない女の子だと、それが俺のエミーリアに対する第一印象だった。


 祖父は、侯爵家の我が家の方が格上だと言うのに、伯爵家のレグルス家には頭を下げっぱなし。それも気に入らなかった。


 そしてその後も3回ほど会ったが、侯爵家の俺の華やかな容姿を褒める訳でもなく、相変わらず愛嬌も振り回す事もなかった。婚約者の会うという事で、それなりの格好をしていてもだ。他の令嬢たちは褒めてくれていたのに。


 エミーリアの装いは、他の令嬢に比べると至ってシンプルな物が多かった。ドレスも、アクセサリーも俺の色にしてくるわけでもない。お茶を一緒に飲んでも何をするにも淡々として、つまらなかった。何故こんな子と婚約しなければならないのか、不思議だった。


 だから、そんなつまらない婚約者のために、何か贈り物をするのもバカバカしいと思い、一切しなかった。


 学園に入学すると、俺は他の令嬢からよく話かけられた。容姿も褒めてくれる。こっそり手紙をくれる令嬢もいた。俺は、何度か父にエミーリアとの婚約を解消したいと言ったが、そのたびに頑なに却下された。


「父上、どうして解消してはだめなのですか?」

「ダメなものはダメだ! お前はエミーリアと結婚するんだ!」


 それの一点張りで、理由も教えてくれない。無理に聞こうとすれば、「もう少し成長してからだ。今のお前には理解できないだろう!」と、それで話は終わってしまう。


 学園では、エミーリアの周りでは男どもが色目を使って見ている。あんな女の何処が良いんだか分らない。全く微笑まない、笑ったところなど殆ど見たことが無い。まあ、俺と婚約が無くなってもあれなら問題ないだろうと思っていた。俺にだって、慕ってくれる令嬢もいる。それが、キーラ・バルト子爵令嬢だ。


 彼女は髪は軽くウェーブがかかってピンク色をしており、瞳は緑色をしている。よく俺を褒めてくれて微笑んでくれた。その微笑みに俺は心から安らぎを覚えた。


 ある日、彼女は中庭のベンチで泣いていると、男子生徒から聞いて、その場所に行ってみた。話を聞いた通り彼女は泣いており、側へ行くと俺に気付いた。


「どうした? 何故泣いている?」


 聞いても彼女は黙ったままだった。暫く彼女の横に一緒に座った。すると、彼女は何故泣いているのか、ポツリポツリと話を始めた。


「エミーリア様が……私の教科書に落書きをされてしまって……」

「はあ? あの女はそんな事をしたのか?」

「はい……これです。きっと私がクリフ様とよくお話をしているからですわ。今までにも他にいろいろされて……おりました」


 なんと醜い嫉妬だ。これは、もう我慢の限界だ。父上に婚約解消を願い出ても却下されるなら、俺から婚約破棄にしてやる。皆の前で婚約破棄を言えば、父も仕方がなく納得していただけるだろう。エミーリアだって、皆の前でそんな事になれば、少しは俺を立てることを覚えるかもしれない。心を入れ替えるなら、まあ婚約は続けてやってもいい。キーラとの仲は今まで通りにさせてもらうが。そう俺は簡単に思っていた。だが――。



『承知いたしました。婚約破棄を承ります』

 

 はあ……? 


 多数の生徒たちが残っている放課後の教室で婚約破棄を言うと、そんな言葉が返って来た。いや、心を入れ替えるなら――と思っていたが、エミーリアはそんな事はなかった。


『後で、取り消しされても困るので、ここは皆様に証人になっていただかないといけませんね』


 あっけらかんと、そう言った。特に悲しんでいる様子もなく、怒っているような事もなく。


 周りを見ると、男子生徒の眼差しは期待に満ち溢れていた。中には「やっと婚約が取り消される」と呟き喜ぶ者もいたくらいだ。女子生徒の中には、軽蔑するかのように見る者や、クスクスと笑っている者がいた。それはエミーリアに向けたものではなく、こちらに向けたもののように感じた。


「あ、後で泣きついても……後悔しても」

「しませんわ」


 俺が言い終わる前に、そんな事はないと否定されてしまった。が、腕の中で必死に寄り添っているキーラを見ると、何て健気で可愛いんだろうと思い、周りを気にしないようにした。


 俺はやっと、あの可愛らしげの無いエミーリアと婚約破棄が出来ると心から喜んだ。



 俺はキーラと寄り道をしながら屋敷に帰った。彼女は本当によく笑う。表情もくるくると変わり、一緒にいても楽しかった。名残惜しい時間を惜しんで帰ってくると、帰るなり青ざめた執事にすぐに父の執務室に行くように言われた。俺は部屋でゆっくり一休みしたかったのに、と思ったが、ちょうど婚約破棄を宣言したことを父に報告しようと思った。


 それが、部屋に入るなり、


「大馬鹿者ーー!!」


と、怒鳴られた。余りにもの勢いに俺は一歩下がった。


「お、お前は、何てことをしてくれたんだー!」

「ち、父上、何のことでしょうか?」


 俺は慌てて聞いた。俺には父に怒鳴られるようなことをした覚えもない。


「レグルス家の婚約破棄の件だ!」


 もう、連絡が入ったのか? もう父に知らせが入っているのなら話が早い。俺はそう思った。


「ああ、その事ならエミーリアにも……」

「ば、馬鹿者ー!!」と父は顔を紅潮させ、また怒鳴る。俺は余りの煩ささに両耳を塞いだ。


「何故、そんな事をした! あれほど婚約は解消しない。続けると言っただろうが!」

「父上! あんなつまらない女より、俺はキーラのような令嬢の方が良いです」

「何がつまらない女だー! それに誰だ、その令嬢は!? 今すぐ頭を下げに行くぞ! お前が言った事を取り消してもらうんだ! もたもたするな! もう一度頭を下げに行くぞ!」

「父上? 一度レグルス家に行かれたのですか?」

「お前が婚約破棄宣言をしたと連絡を受けて、直ぐに頭を下げに行ったが、レグルス家は許してくれなかった。だから、お前を連れてもう一度土下座しに行くぞ!」


 やっと婚約破棄をエミーリアに言えたのに。どうして土下座までして、取り消しを願い出なければならないのか。


「嫌です! 何故ですか!? 俺はあんな女との婚約は嫌です! どうして侯爵家が伯爵家に頭を下げなければならないのですか!? しかも土下座なんて、どう考えても……」

「馬鹿者! 我が家はレグレス家には頭が上がらないんだ! 侯爵家でいられるのもレグルス家があっての事だ。それを蔑ろにしおって! この事が王家に伝わる前に、レグルス家に許しを請わなければ」

「何故、そこまであちらを立てるのですか!? それに、婚約破棄宣言をした時には、第二王子殿下もいらっしゃったから、もう王家に伝わっていると思います」

「はあ!? なんだと!」


 父は真っ青な顔をして、そのまま頭を抱え込んだ。そして、ぶつぶつと何かつぶやいている。


「父上! 大丈夫ですか?」

「大丈夫なわけあるか、もう駄目だ……我が家は、取り潰しになるかもしれない」


 父は先程の勢いはなく、力なく言った。


「お前はまだ小さかったから覚えてはいないかもしれないが……」


 父からの婚約をすることになった経緯を聞いた。

 婚約を取り消しになった場合、借金を一括返済?

 そんな話は寝耳に水だった。

 ルピナス家がレグルス家に借金? うそだろ?


「父上、そんな話は今まで一切聞いていません。どうしてそんな事に?」

「お前が産まれてから数年後に大雨の災害があった。復興する資金が無く、途方にくれていたら、父上が、お前の祖父が、レグルス家なら力になってくれるかもしれないと頼んでみたら、資金を貸してくれることになった。だが、余りにも多額な金額になったから、孫娘を幸せにしてくれると言う約束ができるなら、借金を返済しなくても良いと言う事になった。条件付きで……」


「その条件っていうのが、婚約取り消しや離婚した場合のことですか?」

「ああ、そうだ」


 父は力なく答えた。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

もし面白いと感じていただけたなら、応援やブックマーク、評価などいただけましたら励みになります。

次回更新は3月30日22時頃の更新予定をしております。

また読んでいただけると嬉しいです。

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