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婚約破棄!? 心の中で大喜びしますわ!  作者: 風月 雫


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第5話 世界が変わった?

よろしくお願いします(#^.^#)

 その後は、いつものようにルシア様と様々な話で盛り上がり、そして校舎に入った。

 校舎に入るとそれぞれ自分たちの教室に向かう。もう、クリフに何の遠慮もしなくていい事が嬉しかった。こんなに心が軽くなったのは何年ぶりだろうと思う。そのためか、いつもの教室の中の風景が違って見えてきた。まるで、世界が生まれ変わったような感じだ。


 私は心を弾ませ、朝陽の差し込む教室に入る。皆、朝の自由な時間を好きな事をして楽しんでいた。


「あ、エミーリア嬢、おはようございます」 


 挨拶をしてきた男子生徒に視線を向け、何気に軽く挨拶を交わす。


「おはようございます」


 見覚えのある整った顔の男子生徒はこのクラスの生徒だった。けれどあまり会話を交わした事のない男子生徒Aだ。


 珍しいわね。彼から挨拶をしてくるなんて。

 

「おはようございます。レグルス嬢」 とまたまた、このクラスの小柄な男子生徒Bが私の元に来て挨拶をしてきた。


「おはようございます!」


 あら、彼も話したことがないのに……。今日はどうしてなのかしら。なぜか、わざわざ私のところに来て挨拶をするなんて。

 なんだか本当に世界が変わった気分だ。やっぱり教室の雰囲気がいつもと違うようだった。


「お、おはようございます。レグルス様」 と大柄な体の男子生徒Cが挨拶してきた。

「おはようございます?」


 …………? だ、誰? どこのご令息なのかしら?


 挨拶をされたので返してみたけれど、こんな方が同じクラスにいたかしら、と考えている。


「レグルス嬢! おはようございます!」 と今度は制服の上からでも分かるほどに、引き締まった体の男子生徒Dが快活な声で挨拶をしてきた。


「おはようございます??」


 とても生き生きとした挨拶に、私も咄嗟に挨拶したけれど――。


 え!? この方も同じクラスにいたかしら?

 

 いつも以上にたくさんの人と私は挨拶を交わした。交わした男子生徒は、顔を赤らめる人や、「レグルス嬢からご挨拶を頂いた!」と喜んでいる人もいる。中には、やはり違うクラスの人もいたようで、私と挨拶を交わすとスキップをしながら教室から出て行く人もいた。


 んんんんん? 何かおかしい。いつもより男子生徒から挨拶があるような気がする。

 しかも面識のない、誰かも分からない人からも。

 いつも、こんなものだったかしら?


 私は首を捻った。いつもと違う事に不思議に思いながら、考えすぎなのかもしれない。気のせいだと思うことにした。気のせい、気のせい……。


 そして私は自分の机に目を向けると、机の上に置くにしては少し大きめの段ボール箱が置いてあるのに気付いた。その周りを女子生徒が集まり、キャッキャッと騒いでいる。


「ごきげんよう。どうなされましたか?」


 私はその女子生徒たちに声を掛けた。


「あ、ごきげんよう。エミーリア様。エミーリア様宛の贈り物が沢山届いていたので、箱を用意してその中に入れておいたのですが……すみません、こんな箱しかなくて……」


 一人の女子生徒が段ボール箱を置いた理由を教えてくれた。その箱を覗くと中にはリボンがついた箱や封筒に入った手紙などが、ざっと十数個ほどが入っていた。見るからに贈り物だと分かる。けれど何故、私の机の上にあるのか。

 意味不明なものに、私は唖然とした。


「…………あ、貴女が、箱を用意してくれたのですか?」


 はい、とその女子生徒は恐る恐る返事をした。少し俯き加減で、目は私の方を見ている。そしてまた「すみません、こんな箱しかなくて」と謝ってきた。

 私は段ボール箱に対して文句を言うつもりもない。大量のものが机から零れ落ちる程の贈り物があり、彼女なりに善意で箱を探して持って来て、中に入れてくれたのだろう。


「いいえ、こちらこそありがとうございます。助かりました。箱が無いと私の机の上から落ちてしまいますものね」


「はい!」と女子生徒は嬉しそうに返事をする。


「でも、どうして私の机にこんなにたくさんの手紙や贈り物が? 送り主は誰かと勘違いされていらっしゃるのでは?」


 私は右手を頬にあて首を傾げ、目の前の女子生徒に聞いた。


「いいえ! 全部すべてエミーリア様への贈り物でございます!!」

「はああ?」


 あ、しまった、また淑女らしからぬ声が出てしまった。箱を用意してくれた彼女も目を丸くして驚いていた。でも聞き間違いですよね、流石にこれ全てが私宛の贈り物なんて。


 しかし、箱の中を確認すると、確かにどれも私の名前が書かれている。


「あ、あの! 婚約が無くなってエミーリア様がフリーになられたので、皆さんがごそって贈り物やお手紙を持ってこられたのだと思います! な、中には私からの手紙もあるので読んでください!」


 女子生徒は顔を真っ赤にしてそう言うと、もうすぐ授業が始まるというのに教室から出て、どこか走って行ってしまった。

 確か彼女は同じクラスのリリエラ・ハミルトン子爵令嬢。あまりおしゃべりをしたことがないけれど。


 彼女の説明で贈り物や手紙がここにある理由は理解した。それにしても、昨日婚約破棄があったばかりで、これほどの大量の贈り物が?

 そして一番意味不明なのが、リリエラ様だ。


 最後のあれは何? 

『私の手紙もあるので読んでください』って、え? 

 彼女からの手紙? 

 女の子よね? 

 何故?


 やっぱり周りの様子も変だ。いつもと違う目で見られているように感じた。

 数秒、頭の中で、ぐるぐると考えてみたけれど……。

 結局は――なにも考えないでおこう。現実逃避が一番。


 私は考えても仕方が無いと思い、あまり深く考えずに席に着いた。カバンの中から教科書を取り出し、机の中に入れようとしたら、パサパサと数枚、何か落ちてくる。それを拾うと手紙だった。


「え?」


 まさか、と思い私は机の中を覗き込む。


「…………」


 机の中にもリボンのついた贈り物の箱が三個入っていた。

 机の中にまであるなんて……。

 少し頭が痛くなってきたわ。一体何なのかしら……。


 贈り物の一つを手に取ると、周りにいた一人の女子生徒が、あ! と声を上げる。


 今度は何かしら? と私が声を上げた女子生徒を見た。


 華奢で私より少し長身のスラっとした女子生徒が――彼女も顔を赤らめている。彼女はたしかミナリー・バルティア子爵令嬢。


「エミ、エミーリア様。それは私からの贈り物ですわ。使っていただけたらとても嬉しいです」


ミナリー様はまるで好意を寄せた殿方に告白するかのように、頬を赤らめる。


「……あ、ありがとう……ございます?」


 何故? 彼女も私に贈り物を?


 まあ、とりあえず私は微笑みながらお礼を言った。


「キャー、エミーリア様からお礼のお言葉を頂いきましたわー!」


 ミナリ―様も藤色の髪を靡かせ、顔を赤らめ走って教室から出て行ってしまった。もう直ぐ授業が始まってしまうのだけれど。


 私は恐る恐るもう一度、周りを見渡した。目が合うと顔を赤らめる男子と、うっとりとこちらを見て、目が合うと恥ずかしそうに逸らす女子。


 一体何なのかしら? 皆様はどうしたというのかしら?




 今日一日、様々な方からじっと見つめられ、目が合うと顔を赤らめられ、何とも居心地の悪い一日となった。

 お昼には、余りの居心地の悪さに兄の婚約者のルシア様と二人でランチタイムを中庭で頂いくことにした。けれど、可憐で控えめなルシア様と一緒だと逆に悪目立ちしてしまった。


 ベンチに座って、ランチボックスを開ける。先程、食堂で買ってきたものだ。今日はサンドウィッチ。野菜やハム、フルーツサンドも入っていて彩りが綺麗だった。一口食べるとパンはふわふわで、中に入っているパリパリのレタス、卵焼きがとても美味しい。ルシア様の表情を見てもとても美味しいというのが伝わってくる。


 そして彼女は、本当に何に対しても控えめで話し、微笑む。皆の前では猫を被っているのではないかと思う程だ。

 彼女が微笑むと、周りの生徒たちの周辺には、ほわ~っと花が咲いたように見える。

 さすが、ルシア様だわ。

 淑女の鏡だわ。

 微笑みで絵になる。それに釣られて私も微笑むんだが、その直後、顔が引きつりそうになった。周りの生徒の花が一段と咲き誇ったのだ。


 んん!? 一段と咲き誇ったように見えたのは何故?


 はあ、と軽く溜息を吐いたそんな私を見てルシア様は、そっと小声で話した。


「大変な事になりましたわね」

「どうなっているのよ。落ち着いてご飯も食べれないじゃない」

「ふふふ。それだけエミーリア様が魅力的なのですわ」


 いや、魅力的なのは私ではなくルシア様の方だ。兄という婚約者がいるのに、異性からそんな目で見られたら、学園を卒業した兄ももう一度入学してくるのではないかと、心配になってくる。


「私はこんな方が私の義妹になるなんて、鼻が高いです。そうだわ。私、エミーリア様の事を『お姉様』と呼んでもよろしいですか?」


 ルシア様は目を輝かせてこちらを見る。いくら私よりルシア様が年下でも、立場上、兄の婚約者だ。こちらが義妹でルシア様を『お姉様』と呼ばなければならない。ついさっきも『義妹』と言っていたのに。


 そ、それは……、ダメと言おうとしたら、ルシア様が立ち上がり私の方を向いた。何か嫌な予感がする。ルシア様が良からぬことを考えていなければ良いのだけれど、額から汗が流れてきた。


「お姉様! 食後の散歩でもしましょう!」


 ルシア様はそう控えめに……いえ、控えめでない声で言った。しっかりと周りに聞こえる声で。それを聞いていた女子生徒たちは、キャー! と黄色の声を上げる。


「ルシア様がエミーリア様を『お姉様』とお呼びになったわよ」


 そう一人の女子生徒が言うと、見に覚えのある二人の女子生徒がこっちに向かって走ってきた。今朝、手紙をくれたリリエラ様と贈り物をくれたミナリー様だ。

 まだ中身は確認していないけれど。


「エミーリア様! わ、私も! 『お姉様』と呼んでもよろしいでしょうか!」

「わ、私も! 『お姉様』と呼んでもよろしいでしょうか!」


 彼女たちの、余りに物凄い勢いで言われ圧倒されて「は、はい」と返事をしてしまった。

 しまった、と思ったけれど、時はすでに遅し……。


 興奮した二人のご令嬢はきゃっきゃっと大喜び。そして、その後は何故かそのお二人も一緒に数分の散歩をすることになった。


 何故私が『お姉様』と呼ばれるようになるの?

最後まで読んでくださってありがとうございます。

もし面白いと感じていただけたなら、応援やブックマーク、評価などいただけましたら励みになります。

次回更新は3月26日22時頃の更新予定をしております。

また読んでいただけると嬉しいです。

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