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きっと、そう呼ぶ
時々、夢を見る。
それは、もういない母に手を引かれ、歩く夢だ。
どこを歩いているのか。
どこへ向かっているのか。
何もわからない。
ただ歩いて、歩いて、歩き疲れて……そこで、目が覚める。
目が覚めたあとの私は、決まって、少し泣く。
私の小さな手を握る、温かい手。
歩を進めるたび、地面に伸びる、大きな影法師と小さな影法師。
そして、私に向けてくれた、母の笑顔。
それら全てが、夢だったと思い知るからだ。
私の胸に残る、温かくて、優しい悲しみ。
──ノスタルジア。
もう二度と手に入らない、いとおしいもの。
それをきっと、そう呼ぶのだ。




