また、眠りにつく
ぎしり、と古い蝶番が鳴った。
来てくれた!
私はあわてて、扉に取りつく。けれど、扉は開かない。
恐らく風か何かで扉があおられ、音を鳴らしたのだろう。
諦めて扉から離れ、小屋の床に横たわり、膝を抱える。
今日は、あと何時間だろう。
この古い、庭の片隅にある物置小屋で過ごすのは。
溜息をつく。
母の彼氏が来てるときは、いつもこうだ。邪魔されたくないのだろう。
私を閉じ込めて、何をしているかくらいはわかる。いや、わかるようになった。
初めて閉じ込められてから、もう何年も経つ。
園児だった私も小学生になり、そういう知識も身についてしまった。
「…………!」
母屋から、母の大きな声が聞こえてきた。耳を塞ぐ。
何の声かなんて、考えたくもない。
そうやっているうちに、眠ってしまったらしい。
お腹が盛大になる音で目が覚めた。
覚めてしまった。
──目覚めなければ良かったのに。
私はまたすぐ、目を閉じた。そして想像する。
母が今すぐ駆けつけて、蝶番の音と共に扉を開き、私を抱きしめてくれるのを。
そんな、都合のいい想像をしながら。
私はまた、眠りにつくんだ。




