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最期の光景
──ざざあ。
消えてゆく。
──さざあ、ざざあ。
私の足跡も、生きていた証も。
ああ。消えてゆくんだ。
腰まで海に浸かりながら、私はすっかり遠くなった砂浜を振り返っていた。
寄せては返す波によって、さっきまで付いていた私の足跡は、最後のひとつが消えようとしていた。
私はそれを見てとり、少しだけ笑ってしまった。
もうすぐ消える命なのに、足跡なんかが気になるなんて。
……未練かな。
でも、もう終わり。
あの最後の足跡が消えたら、私も。
──ざざぁ──……。
一際大きな波が起こり、私の全身に覆いかぶさった。
頭まで波に浸かった体から、肺の中から、全ての空気が出ていき……意識が遠くなる。
私という存在が消える前。
目の端に映ったのは、最期の足跡が今起こった波によって、消えてゆく光景だった。




