表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/20

従者の誓い

戦場の喧騒がようやく静まった。

 骸骨兵たちはその場に立ち尽くし、役目を終えたかのように砂のように崩れていく。


 「……これで全て、か」


 優真が周囲を一瞥し、魔力の残滓を払うように指を鳴らす。


 少女はその背を見つめていた。

 恐ろしい力を持ち、冷徹な言葉を吐く――それでも、何かが心を揺さぶっていた。


 「……あのっ!」


 優真が振り返る。少女は一歩、前に出た。


 「わたし、ついて行きたいです。あなたの……後ろを歩かせてください」


 「理由は?」


 短い問い。それは冷たいが、真っ直ぐだった。


 少女は迷わず答えた。


 「強くなりたいんです。わたしには、帰る場所もないから。だから、あなたの隣で……戦えるようになりたい」


 風が吹き、血の匂いが散っていく。

 優真はしばらく彼女を見つめた後、ただ一言だけ答えた。


 「勝手にしろ。ただし――」


 「はいっ!」


 「命を投げ捨てるような真似はするな。俺の邪魔にもなるからな」


 「……うん」


 少女は嬉しそうに笑った。

 その笑顔を、優真は一度だけ見た。けれど、何も言わずに歩き出す。


 そして、少女もその背を追った。

 かつては死しかなかった道に、一筋の光が差し込んだように――。



---


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ