従者の誓い
戦場の喧騒がようやく静まった。
骸骨兵たちはその場に立ち尽くし、役目を終えたかのように砂のように崩れていく。
「……これで全て、か」
優真が周囲を一瞥し、魔力の残滓を払うように指を鳴らす。
少女はその背を見つめていた。
恐ろしい力を持ち、冷徹な言葉を吐く――それでも、何かが心を揺さぶっていた。
「……あのっ!」
優真が振り返る。少女は一歩、前に出た。
「わたし、ついて行きたいです。あなたの……後ろを歩かせてください」
「理由は?」
短い問い。それは冷たいが、真っ直ぐだった。
少女は迷わず答えた。
「強くなりたいんです。わたしには、帰る場所もないから。だから、あなたの隣で……戦えるようになりたい」
風が吹き、血の匂いが散っていく。
優真はしばらく彼女を見つめた後、ただ一言だけ答えた。
「勝手にしろ。ただし――」
「はいっ!」
「命を投げ捨てるような真似はするな。俺の邪魔にもなるからな」
「……うん」
少女は嬉しそうに笑った。
その笑顔を、優真は一度だけ見た。けれど、何も言わずに歩き出す。
そして、少女もその背を追った。
かつては死しかなかった道に、一筋の光が差し込んだように――。
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