夜明け前の誓い
戦いの気配が完全に消えた夜の空気は、妙に澄んでいた。
骸骨兵たちは動かなくなり、その場に崩れ落ちている。まるで「役目を終えた」とでも言いたげに。リーナの傍にいた個体も、傷ついた身体で守るように立ち塞がり、そして沈黙したまま動かない。
リーナはその白骨を見上げるようにして、ぽつりとつぶやいた。
「……ありがとう」
誰に届くこともないその声。だが、それは確かに、彼女の中で何かが変わり始めていることの証だった。
ユウがゆっくりと近づく。
「無事か」
彼は表情を変えない。淡々と、しかしその声はどこか柔らかかった。
リーナは小さくうなずき、視線をそらした。だが、その頬はわずかに赤く染まっている。
「さっき……あれ、あなたの……?」
「俺の魔術の一つだ。指揮すれば、ある程度は護衛もこなせる」
「……すごい」
リーナの目が、焚き火の揺らめきの中でほんの少しだけ輝いていた。
ユウは焚き火の前に腰を下ろし、静かに薪をくべた。火の粉が弾け、再び柔らかな光が二人を照らす。
「眠れ」
「でも……」
「さっきのが偵察なら、次が本命かもしれない。体力は残しておけ」
リーナは迷ったようにしていたが、やがて素直にうなずいた。毛布にくるまり、焚き火の横で横になる。
その目を閉じる直前、彼女はそっとつぶやいた。
「……ユウさんは、どうして私を助けるの?」
ユウは答えなかった。だが、静かに焚き火を見つめるその横顔には、決意と、少しの哀しみが混ざっていた。
リーナはそれ以上聞かず、静かに目を閉じた。
――そして、夜は再び深まっていく。
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