命亡きものに宿る忠誠
人は生まれながらにして愛されるべき存在だという。
だが、もしその「愛」が一度も与えられなかった人間がいたとしたら?
それは果たして人間と呼べるのか。
佐倉優真。
彼は親に捨てられ、誰にも手を伸ばされず、孤独と憎しみの中で育った。
温もりを知らぬ手は、やがて死者を操る術を掴む。
選んだのは、生を育む道ではなく、死を支配する力――ネクロマンサーの道。
この物語は、ひとりの歪んだ男と、ひとりの無垢な少女が交わることで始まる。
そして、彼の心にわずかに芽生えた「何か」が、世界の死と再生に繋がっていく。
これは――
愛を知らぬ者が、愛を知るまでの物語。
「アンデッドはいいよな。
命令すれば従うし、文句も言わない。俺の意思だけで動く……最高の部下だ。」
焼け落ちた村の廃墟に立ちながら、佐倉優真は静かに呟いた。
彼の足元には、数体のアンデッド――かつて人間だったであろう屍たちが、無言で跪いている。
皮膚は乾き、眼窩には光ひとつない。それでも彼の命令には忠実に動く。
「人間は面倒だ。感情があるから、裏切るし、喚くし、死ねば文句ばっかりだ。」
優真の目に、人間という存在は煩わしいノイズにしか見えていなかった。
この世界に来てからも、それは変わらない。
むしろ、かつての世界よりも理不尽さが増していた分だけ、死者の方が信頼できると確信していた。
だが――
この日、彼の人生を僅かに狂わせる「何か」との出会いが、始まろうとしていた。
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
初投稿なのでやや怪しい場所がありますが研究し、よりよい作品に仕上げるので応援よろしくお願いします。