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Alice in Re.selection  作者: 奏音
1部 Charlotte
7/18

Charlotte Ⅶ|その2人、最強につき

能力には反動が存在する。適度に行使する分には問題ないが使いすぎるとそれに比例して反動が自らを襲う。能力次第では命を落とすことすらある。


「うるふ君!斜め左から攻撃くるよ!半歩下がって肩の位置まで頭下げて!」

ピーさんの能力、天眼により脳内に指示が飛んでくる。指示通りに動くと数秒前まで頭のあった位置をナイフが遮る。

「なるほど、これがラプラスの恩恵ってやつか。たしかに凄まじいな」

それにもっと恐ろしいのは、

「銃で敵をどの距離でも一撃で仕留めている、なるほど、眼帯に隠していた右目の力か」

全てを見通す力、「観る者」。天眼即ち観測者と言ったところか。

「よそ見しないで!くるよ!」

「あぁ、わかってる!」

正直、戦いやすかった。戦闘中に考えすぎる行為というのは命取りだ。だからこそ最小限に受けるダメージを抑えろと、何処ぞの鬼畜野郎から教えを受けた。だがピーさんとの共闘、考える事を捨てて自分の能力に集中出来る。そして今、ようやく完成した。俺の能力の最高到達点。

「能力『無能力』、《反転》・終焉命・絶(ジ・エンド)

これは特訓の末身につけた俺の最高到達点。俺を中心とした半径300メートル以内かつ、俺が選択した者以外の全生命活動を無に帰す力。《反転》、これは本来の能力の解釈を広げ続けることでその能力とは逆の力を行使できるいわば裏の能力。俺の能力は相手の能力を『無』にする力。反転と聞いた時は何かを創造する力だと予想していたがまさか同じ『無』を操る事になるとは思ってなかった。だが、確かに無くなった物を反転した所でもうそこには何も無いのだから結局行き着く先は全て無き無の空間だろう。そして俺の終焉命・絶はその空間を現出させ、選択したもの以外の全生命活動を強制終了させられる。つまり、これを受けて立っていられる人間なんているわけがない。

「さすがに、今のは焦ったよ。なんせ周りの連中全部死んでくもんねぇ、警戒して戦闘開始時から距離を取ってて正解だったよ」

と大量の屍を踏みつけて歩いているその男に俺は驚愕した。この戦場で俺が選択したのはピーさんと自分自信のみ、つまりあいつも能力の対象として認知されていたはず。

「なぜ?と思っているよねぇ、そうだよねぇ?なんせ他の奴らは皆死んでるのに俺だけは生きている。能力の範囲から外れた?違うねぇ、さぁ考えてくれよぉ」

男はそう言った。そうして俺は考えた、そして1つの答えに辿り着く。

「まさか、能力か!」

「ご名答!そうさ!俺の能力だ!俺の能力は他人の能力の干渉を受けない!つーまーりー、そこのおチビちゃんも俺の動きを読めないってわけ」

俺は隣に居るピーさんを見る、するとピーさんは静かに首を横に振った。あの男の言っていることは本当らしい。だとすると、勝敗を分けるのは、

「そうさ、能力が使えない今君たちが俺に出来ることはただ1つ」

1拍置いて男は告げる

「純粋な身体能力の勝負だ」


「っっっ!!」

後方からとてつもなく強い波動を感じた俺たちは足を止めた。

「奏音、今のはもしかして、」

と、問いかける天才様に俺は

「あぁ、恐らくうるふの能力だ。向こうの心配は要らなそうだな、俺たちは前見て走るぞ!」

と言う。うるふのあの能力、正直最強格と言っても過言じゃない。これからどう化けるのか、楽しみだ。と俺はふと笑みを浮かべてしまい、運悪く見られたらしく

「なにニヤついてるの、ちょっと引くんだけど」

と謎に軽蔑されてしまった。そんなこんなで俺たちは進んでいくがデカイ門の前に立った時、ある事に気づく。

「ねぇ、奏音」

「ん、わかってる。ここまで走ってきて人の気配一つもない、加えてこの門の先には大量の気配」

嵌められたな、と2人揃って肩を落とす。

「奏音、君は逃げて。正直足でまといになる」

「断る。いくら天才様の言うこととはいえ聞けないな、俺はいくぞ」

と意見を押し通す。もちろん天才様からの言葉だ、有難いに決まってる。でも今回からは暴れさせてもらう。

「あまり見くびってもらっては困るな、一応これでも入学試験は通ってるんだ。そこらの奴らよりは強いさ」

「んー、わかった。でも危ない時は呼んで、必ず駆けつけるから」

かっこいいな、やっぱり眩しいよ天才様は。

「とりあえず、だ」

この先の奴ら、どう対処するかだが、俺たちは2人揃って顔を見合わせる。そう、こういう時どうすればいいのか、何があっているのかは知らないが、

「アレだよね?」

「あぁ、あれしかないな」

俺たちは横に並んでせーので息を合わせる。

「いくよ、奏音。せーので行くからね?」

「おーけー、合図は任せるぞ?」

天才様はこくりと頷き、

「せーのっ!」

「「たのもー!!」」

と、そのデカイ門を扉ごと吹き飛ばした。

「あちゃー、やり過ぎたかな」

隣で力加減を間違えたとか思ってる天才様、だが

「あれ?でも奏音、、、なんで君の前だけそんな綺麗に空いてるのさ」

「そりゃ、俺が蹴飛ばした門を避けたからだろうな」

なにを隠そう、俺の方が力加減を間違えてしまったのだ!

「なにさ!僕だってそのくらいできるもんね!」

と何故か対抗心を燃やす天才様。

「と、そんなことよりもだ。行こうか天才様」

「そろそろその呼ばれ方に不快感を感じてきたんだけど、名前で呼んでくれない?」

「いやいや尊敬を込めてるんだけどなぁ、それなら雨音さんか」

「はぁ?下の名前でって言ってるの!ばか!」

「誰がばかだって!?冗談きついぜ『雨音さん』」

と言い合いをしてると、

「おい!いつまで喋ってんだコラ!」

と怒号を上げてきたやつが単身、突っ込んでくる。それを見て俺と天才様は、

「『うるさい!』うっせぇ!『今僕たちが』今俺たちが『話してるでしょ!』話してんだろうが!」

と2人揃ってそいつの腹部に強烈な一撃を叩き込むのだった。

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