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Alice in Re.selection  作者: 奏音
1部 Charlotte
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Charlotte IV|その能力、レベルアップにつき

「あぁ、負けだよ。油断したお前の、な!」

そう言って俺は、恐らくこの学園に来て初めてそう叫んだ。

「『能力、発動』」

と。


「っっ、」

その時俺は目を覚ました。たしか、奏音が来て、、、

「っ!奏音!」

と思わず叫んだ。なんであいつが戻ってきたのか分からない。だが、間違いなくあいつでは到底敵わない相手だ。とそう思って辺りを見回し、やがてそれを見つけた。片腕を失い、左手を男に掴まれて攻撃の術が蹴りしかないが上手く間合いを取られて蹴りを放てない。相手も片腕が動かず、動く方で奏音の腕を掴んでいる。やがて男が奏音の腕を振り払い、心臓部目掛けてその手が放たれる。俺は痛みと疲労で動かない身体を持ち上げて走ろうとするがその場から動くことすらできない。このまま奏音を目の前で殺されると、そう思った時だった。

「『能力、発動』」

と落ち着いた奏音の声が響き渡った。その声と共に激しい風圧と、砂埃が辺りを吹き飛ばした。そうしてそこには、首元から出血し倒れている男と、右手でナイフを構える奏音の姿があった。


「『能力、発動』」

そう言い俺は無いはずの右腕を空へと向ける。その時、空へ向けた右腕は再生し、先ほど投げたナイフを空中で握る。上げた勢いをそのまま乗せて男の首を目掛けて振り下ろし、一撃で生命を絶つ。

「お前の、能力は、、さい、せい」

「さぁ、どうだろうな」

そう、冷たい言葉を吐いた俺は最後の一撃を叩き込んだ。やがてその男の生命活動が止まり、勝負がついた。

「奏音! 大丈夫か!?」

と横からうるふが歩いてくる。そのうるふの姿は傷だらけで

「悪いな、俺が一緒に行っていればこんな傷だらけになること無かったのに」

と詫びの言葉を言い渡した。その言葉にうるふは

「何言ってんだ、お前は俺たちを助けたんだ。恩人に文句垂れるクソ野郎がどこにいんだよ」

と優しく返してくれた。その後、うるふ、妹、天才様の傷を治し、避難所まで運んだ。

「なぁ、奏音。あまり聞かれたくないだろうが、お前はなんでその強さを隠してるんだ?」

と、道中うるふが問いかけてくる。

「なんの事やら」

とはぐらかすが

「お前、流石に無理があるぞ」

ま、だろうな。

「俺は俺のことを好きなやつの事が好きだ」

「は? それがどうしたんだよ」

「強いのを見せつけ、寄ってくる奴らは全員もれなく力の持ち主ではなくその力にあやかる。だが、弱い俺にお前たちは心から接してくれた。俺はそういう奴らを守りたい、だから力を隠してるんだ。あ、もちろんお前の事も好きだぜ?」

「、、、なんだよ、うっせ」

お、こいつもしかして

「お前照れてんの? 可愛いとこあるじゃねぇかたまには」

「照れてねぇし! それより、もう着くぞ」

とまぁ少し可愛げのあったうるふと共に避難所へと到着した。


――――2日後

あれから俺たち4人は詳しい話を聞かせて欲しいと学園長より呼び出しを受けた。天才様と妹は男の特徴や凄まじく強かったこと、それに加えてうるふはその時の戦闘状況、相手の能力を伝えた。3人はその男を足止めした功績を称えられた。うるふと妹は功績としてSランクへと昇格、天才様は学園のあらゆる施設を使用する権限を与えられた。かく言う俺はと言うと

「おーいたいた。『最底辺』の、奏音君じゃないか」

と煽ってくるうるふに容赦なく腹パンをお見舞いする。

「いってーな、冗談だって。本来ならお前が今回一番の功労者なのに、なんでかお前ってば嘘つくんだもんな」

そう、俺は真実を隠した。学園側にはその場に俺が辿り着いた時には男が倒れていたと、幸い俺は最底辺の評価を持っているため特に疑われることなく進んで、気づけば解放されていた。最終的に俺が来るまでの間に誰かが倒したとかそんな感じの話になった。

「俺は平和主義者なんだ。下手に目立って死にたくないね」

とうるふに言うが

「今のところお前に勝てるやつが想像できねぇよ、クソが」

と貶されてしまった。

「なぁ、奏音。頼みがあるんだが」

少し真剣な声でうるふから声をかけられる。

「俺に、能力の使い方を教えてくれないか」

とそんなアホらしいことを言われて、

「俺がか? お前、最底辺に教わるの? プライドとかないの?」

「プライドで好きな女守れるほど甘くないと知った。だから、力を貸してくれ」

「お前、まさか」

俺は言葉を抑え、

「分かった。特訓するとしよう、明日、朝6時に中庭にこい」

そう伝えて共に帰宅した。

 翌日、俺とうるふは特訓を開始した。

「とりあえず、お前には能力の解釈を広げてもらう」

「能力の、解釈?」

「あぁ、能力は派生する。元々の能力を別の視点から見て解釈を広げることで能力の範囲を広げられる。それによって得た能力はそれまでの倍以上の強力な武器となる。だからまずお前には能力の解釈を広げてもらう」

と説明する。

それから特訓は続いた。そうして1ヶ月が経った。

「奏音、ありがとな。お前のおかげで強くなれた」

「ばーか、礼はまだいい。それより、そろそろだろ?」

「あぁ、もうすぐアレがくる」

「学年全体の個人戦、『アルファ』が」

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