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Alice in Re.selection  作者: 名も無き小説家メア
2部 とある空想上の世界
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とある空想上の世界-13

「血鎖さん、が、」

俺は衝撃的な事実に頭を抱える。

「仕方ないよ、僕が目覚めたのも最近だし伝える為の準備が必要だった」

今考えてみれば確かにおかしかった。俺が花園に迎えられたあの日、誰よりも早くあの場にいたのは血鎖さんだった。それに、あまりにもタイミングが良すぎる。もし俺の記憶が書き換えられているものだとしたら、恐らく書き換えている途中で花園の創設者、代表が到着したため最後ら辺の記憶の処理を怠ったのだろう。言われてみれば確かに違和感しかない。

「そうか、あの人が」

「うん、でも真実は伝えなくちゃって。かなくんにはもう1つ、謝らなくちゃいけない」

「謝る事がもう1つ、か。次はなんだ」

「かなくんの能力、発動して一定時間が過ぎると女の子になるじゃない?」

と俺の能力についてアイは話し始める

「多分、僕がこうしてかなくんに話しかけれているのは僕が独立した意識として存在しているからなんだ。それまではかなくんの一部として意識が結合していたからかなくんの能力を勝手に制御していたんだと思う」

「じゃあ、俺が女になるのは、」

「それは恐らくかなくんの身体には能力が染み付いているから制御しようとしても押しつぶされちゃう。だから僕の能力で上から抑え込めるように女の子のかなくんとして表に出てくるんだと思う」

なるほどな。最近能力の反動が無くなっていたのはそのせいか。アイの意識が独立したことにより制御していた力がアイの元へ集まった。それにより俺に割いていた制御が無くなり能力の反動が現れなくなったのか。

「お前は、どうしたいんだ」

俺はアイに今後の事を尋ねる。

「僕がこの後どうするか、そうだね。かなくんがゆるしてくれるのなら。僕は」

1拍置いて、アイは

「あの女に、復讐がしたい。お父さん達を殺し、かなくんを悪い道に連れていったあの女を、僕は許さない」

と復讐を願うそのアイの目に宿るのは、禍々しいほどどす黒い負の感情だった。

「まだお前の言葉を全部信じることはできない。俺は昔から疑い深いからな」

アイはコクリと頷いてから

「僕はかなくんに任せるよ。僕はあくまでかなくんの中に存在しているからね」

「わかった。それと頼みなんだが、制御の件で」

とアイに話をもちかける。

「それなんだけどかなくんが自分の意思で切り替えられるようにしておくから」

「ありがとう、助かるよ」

にしてもこの白い空間、

「なぜか知らないが、落ち着くな」

「ふふん、そうでしょ〜。なんせここは僕の能力によって作られた空間。制御の力で体の疲労している部分を自動で最低限の力を残すことで体を休ませてるんだ」

まぁ、と続けて

「ここは意識の世界だし僕の能力で休まるのは中身だけなんだけどね」

その後も少し世間話をして俺は目を覚ました。

「ふぁぁ、さーてと。舞冬に今から向かうって電話でもするか」

と机の上に置いたスマホを手に取り電話をかける。

「もしもし?舞冬か?今からそっちい――」

「奏音!助けて!由紀が!」

今にも消えそうな声で助けを求める舞冬。

「何があった」

俺は状況を舞冬から聞こうとする。1度ゆっくりと落ち着かせどうにか会話をできるまで冷静になった舞冬の説明によると、

由紀は舞冬が買い物をしている間に誘拐されたらしい。家にある防犯カメラを見たら謎の黒い集団に連れていかれる所が映っていた。だが行先は分からないし、顔を隠していたため身元を割り出すことも出来ない。だからどうしようと考えていたところに俺からの電話が来て藁にもすがる思いで頼んだとのこと。

「そうか、任せろ。俺が何とかしてやる。お前はゆっくり休んどけ。それと、なんでもいいからそいつらの情報をくれないか?」

「いいけど、なんで?」

「それはもちろん捜査に役立つし、知り合いに情報のスペシャリストがいてな」

「それってアンタが花園とかいうイカれた集団にいた時の人よね?信頼できるの?」

イカれた集団って、確かにあそこの奴らはネジが飛んでるが別にイカれてる訳じゃないだろ、

「まぁそうだな。信頼はできる。それに花園の連中はイカれた集団であったとしても、インチキ集団じゃない。実力は確かだ、とりあえず今は任せとけ」

とそう言って電話を切る。まさかこんなことになってるなんてな。俺はスマホでパイセンに電話をかける。

「もしもし?数時間ぶりで悪いんだが、力を貸してほしい。それと、花園の連中を集めてくれ」

集合場所をパイセンの家に決めて電話を切った。深く深呼吸をして、

「よし、行くか」

と呟き、パイセンの家へと向かった。

俺はもう普通の一般人だ。職務ではないし争いはしないのがいい。だが、今回は別だ。必ず、由紀を助け出す。

「また、あったね」

と前から声をかけられる。

声の方向を見るといつぞやかに誘拐犯から助けた人達の中にいた奇跡の能力をもつ女の子がいた。

「いや待て待て、ここ路地裏な?なんでこんなとこいるんだよ」

思わず聞いてしまう。

「それは、その。なんとなく?」

そんなんだから誘拐犯に捕まるんだよ、と思いながら

「それで?また願ったら会えたのか?」

「うん、実は奇跡の能力で君の未来が見えたの。だから伝えなきゃって」

「そんな事も出来るんだな。便利なもんだ、奇跡の能力ってのは」

彼女はううん、と首を振り、

「違うんだ。なんでか分からないけどこの能力、君を対象としてなら必ず成功するみたい」

と訳の分からない事をいわれた。

「それはよく分からないが、その伝えることって?」

それは、と少し下を向き

「君は今から向かう場所で命を落とす事になる。それでも行くのかい?」

「俺が死ぬ?実感湧かないな。もし、そうだとしても、俺は助けに行く」

そう、と悲しそうな表情をして、

「分かった。じゃあ止めないよ」

そうかと頷き俺は

「まぁ、なんとかするさ、その時はな」

とその言葉に

「僕も願っているよ、君が戻ってきてくれることを。また会おうね、」

そう言って振り返り、

「またね。あ、そうだ。僕の名前は天音天狐。天って呼んで?前回伝え忘れてたからね。それじゃあまたね、奏音」

今度こそ帰っていった。

「ったく、奇跡の能力は人の名前も分かるのかよ。にしても、天か。また会うだろうからな。覚えておくか」

そうして俺は再び歩き出した。


「おいっすー」

パイセンの家に到着した俺は両手に大量の袋を抱えていた。

「奏音、その袋達は?」

「これはな、」

と袋の中身を皆に見せて、

「奏音さんこれ!ブランド物じゃないすか!?それも『チュプリーム』」

おしゅーがチュプリームの袋を見て驚く。しかしそれだけじゃない。

「こっちは『ルイピィトン』だぞ」

とうるふもさわぐ。

その間に俺はパイセンに話を聞いてもらい、

「ある程度は分かった。とりあえず情報を取ってくる」

そう言ってパイセンは奥の部屋へと向かっていった。

「にしても奏音さん、なんでこの服、全部女物なんですか?」

と頭にハテナを浮かべる2人に

「まぁ、それは後でわかるよ」

と言っておいた。数時間後、パイセンの能力による反動が消えたところで準備をする。

「って事だ。分かったら準備するぞ」

と水のように滑らかに説明を終わらせて俺たちは服を手に取る。

「あの、奏音さん、俺たちそういう趣味はちょっと」

「俺もそういうのはないな、」

とおしゅー、うるふが抵抗しやがるので

「パイセン。やっちまえ」

と言いその場を去る。

「じゃあとりあえず、脱げ」

「嫌ですけど!?あ、ちょっパイセンどこ触って、あっ。そこは、」

「パイセン、?さすがに俺には」

「優しく教えてやるから、おら早くしろ」

「はぁ?嫌なんだけど!?あ、すいません分かったから!分かったからその手を離せぇ!?パンツは良いだろ!?そのくらいわぁっ!?パイセンの変人!人でなし!」

「黙って言うこときけ!」

「「あっ、そこ、ダメ!新しい扉開きそうだからぁ!!」」

と何やら誤解しかされなさそうな声が聞こえるが、ただ女装の手伝いをしているだけなのでご安心ください。なぜ俺はしないのかって?そんなの簡単だ。そもそも俺はどちらにも慣れるんだから必要ない。って事でパイセンによって女装が出来た2人をみる。

「最悪だ、人生最大最悪の汚点。はぁ、」

「安心しろ、お前は生きてるだけで汚点みたいなもんだから」

とうるふにはさりげなくフォローをしておいた。これから俺たち3人は潜入調査を行う。女装をしたのは女の子の方が疑われにくいからだ。わざと誘拐をされることで内部から情報を流す。それにより今後の作戦を立てて攻略する。

「なぁ、じゃなくてねぇ奏音。私たちはどこに行くの?」

「ちょっとぉるふみさーん。ショッピングモールだってさっき言ったじゃないですかぁ」

「奏音さん、私お腹空きましてよ」

「あらやだ朱華(しゅか)さんってばもぉ、さっき食べたばかりじゃないのぉ」

俺たちは人気のない路地裏で誘拐犯を待つ。ちなみに名前と口調を女性っぽく変えているがまだぎこちないから心配だ。うるふは夜桜るふみ、おしゅーは田中朱華という名前にしている。とりあえず今言いたいことは

「先が思いやられる、わね」

3人で頷き、しばらく歩いていると

「お嬢さん達、今暇ぁ?俺たちと遊ばね?まぁ、無理やり連れてくんだけどな」

前から現れた5人程度の集団。口をハンカチで抑えられる。だが手ががら空きだ、これじゃすぐに逃げられるな、初心者だな。だが、ここで作戦を崩す訳には行かない。俺はおしゅーと今にも手を出しそうなうるふに視線を送り、眠らされたフリをする。全身の力を抜き、呼吸のテンポを心拍数と同じにする。

「運べ」

俺たちは大きめのトラックに乗せられ、どこかへ連れていかれた。トラックの荷台には俺らしか乗っておらず、連中はどうやら前に乗っているみたいだ。にしても、

「寒すぎだろ」

と小声で呟く。

「なんだよこれ冷蔵品用のトラックじゃねぇか」

「奏音さん、寒いです、なんで女性ってこんな寒い服着るんですかね」

「黙れおしゅー、んなもん俺らが知るわけないだろ、それより奏音さん、その上着貰っていいすか?」

「ふざけんな、俺だって寒いんだよ。それに、上着変わってたらバレるだろうが」

「ちっ」

こいつら、後で覚えておけよ。パイセンにもう一回頼んでやる。今度は本格的に新しい扉を開かせよう。

「奏音さんがまた悪い顔してる、」

「あの顔してる時は悪質な考えが脳内を支配している時だ」

「なぁに安心しろ?お前らに新しい扉でも開かせてやろうと思ってな」

2人は大きく首を横に振り、

「マジでごめんなさい、あれだけは勘弁してください」

「冗談ですよね、?あ、ガチなやつだ、ごめんなさい。お願いします」

ニヤニヤが止まらない。人の不幸は蜜の味ってか。幸せだね!

そんなこんなでトラックが停止して男たちが扉を開ける。

「例の場所に運べ」

と恐らくボスのようなやつが指示を出す。

「おい!No.25!遅いぞ!」

ここでは人を番号で呼ぶのか。と思っていると

「すいません!思ったよりこいつ重くて」

と俺を運んでいたヤツが言う。お前覚えとけよ?顔と番号と声覚えたからな?絶対しばく。

牢屋の様なところに投げ出された俺たちは目を開けて周りをみる。そしてあくまで今目を覚ましたかの様に演技をする。

「お前達はこれから俺たちの商品だ」

そう言ってその男はナイフを取り出しそれを舐めながらこちらを見ている。

いかにも漫画の様なセリフに仕草、お前モブキャラ検定があったら1位だよ、と関心する。

「これからお前達を番号で呼ぶが、お前達もそうしろ。死にたくなければnぐほぁ!?」

と目を細めて言ってくるそいつに思わず膝蹴りを噛ましてしまったるふみ俺が頭を抱えていると、

「あんたねぇ!これじゃあ潜入調査所じゃないじゃないの!」

と朱華までも戦犯をやらかす。終わった、と思っていたら奥から

「なんだ?お前また倒れてんのかよ。何回目だ?」

と別のやつが男をひきずっていく。

「あぶねぇ、助かったみたいだな。あ、ですね」

後から来たやつの行動を見る限り何回もあってんのか?まぁ、殴りたくもなるが、それにしてもやられ過ぎだろ。可哀想だぞ流石に。

「奏音さん、もしかして助かったやつですかこれ?」

と朱華さんが聞いてくる。

「みたいだな、あと口調。気をつけろよ」

「あっ、すいません。じゃなくて失礼しました」

さて、これからどうしたものか。ひとまず第1目標である内部への侵入は辛うじて成功した。次は由紀を探しながらこの組織の情報を集めたいところだが、

「奏音?どうしてここにいるの?」

どうやら片方は済んだみたいだ。

「良かった、由紀。大丈夫か?」

「うん、奏音は女の子になったんだね。どうしてここに?」

「舞冬から頼まれてな。お前を助けに来たんだ」

「へぇ?やっぱり奏音はお姉ちゃんと付き合ってるんだ?」

「何でそうなるんだよ。あのな?そんなのは万に一つもありえないから安心しろ。それと、お前は何だかんだ俺を好いてくれてるからな。俺が自分の事を好きな人が好きって知ってるだろ?」

「じゃあ奏音は私の事好きなの?付き合っちゃう?」

「そういう好きじゃないんだけどなぁ、あと由紀に興味はないしお前に手を出したら舞冬から殺される」

頭の中で包丁を片手に笑みを浮かべる舞冬の姿が浮かんでゾッとした俺はひとまず無事に由紀を見つけられただけでも大きな進歩だと思い、今後の動きについて考えるのだった。


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