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Alice in Re.selection  作者: 名も無き小説家メア
2部 とある空想上の世界
24/27

とある空想上の世界-12

「ん、、、いづっ!」

俺は薄暗い空間で目を覚ました。すぐに起き上がろうとしたが腹部に激痛が走り、起き上がるのを断念する。

「ここは、もしかして」

俺は何度か来たことのあるこの場所を見てから周囲を見回す。

「奏音、起きたか」

黒髪青眼の男が歩み寄ってくる。そうか、あの状況からどうしたのかと思ったが、

「あんたが来たなら問題無かっただろうな。久しぶりだなパイセン」

そいつは花園創設時から情報部として影で動いている男、湊斗雷葉。俺と歳の近い先輩みたいな人だ。

「久しぶりだな。聞いたぞ?あの化け物相手によくやったもんだな。ブラックロータスはまだ健在みたいだな」

ブラックロータス、それは俺の花園の時に裏組織の連中が呼んでいたまぁ2つ名みたいなもんだ。意味は確か『黒蓮』が和訳で恐怖、とかそこら辺だった気がする。

「そうだ、他の皆は?無事か?」

「ついてこい、案内する」

とパイセンの後ろをついて行く。少し明るく開けた空間に出た俺たちに

「奏音さん、大丈夫でした?」

「奏音さん腹大丈夫ですか?」

「隊長、さっきまでと違う。いつもの隊長に戻ってる」

「君、大丈夫なの?」

とそれぞれ声をかけてくる。一先ず、問題ないとだけ言っておいた。

「なぁパイセン。アンタが来てくれたのは助かるんだが、どこからの情報であそこに辿り着いた?」

今回の作戦は関係者でもごく一部の人間にしか知らされてないはずだ。なんせ俺に依頼するときですら直前の電話だったくらいだ。

「それはな、俺も関係者だからだ。もちろん、警察の、な」

「なるほどな」

確かにパイセンの能力なら警察でも最上位程度なら余裕だろう。現に警察は今情報系の能力者を探しているみたいだし。だが、パイセンが入るならそもそも情報部自体単独でこなせるくらいだしいらない気もするが

「俺は猫宮もかからの情報報告で飛んできたんだ」

あぁ、そういうことか。それなら確かにピンポイントで来れるだろうな。たとえ与えられた情報が任務に向かった人間の名前と目的だけでも能力を使って見つけ出せるだろう。

「怪我人は安静にしておいてもらいたい所だが、奏音は俺と一緒に来てくれないか?」

「いや来てくれって何処にだよ」

「それはな、とある地下施設にだ」

わぁお、なんとも怪しげな響き。でも幼い心を捨ててない俺にはわかる。きっと秘密の武器やら大事な情報を持ってる人物がいるのだろう。だがしかしだ。そういうのにはトラブルが付き物だって決まっている。そして俺は無駄なトラブルに巻き込まれたくない。故に行かない!

「悪いが俺はそんなに怪しいところには――」

「来てくれたら新しいナイフでも発注しといてやるよ」

「よし行くぞ。早く案内してくれ」

新品未使用のナイフほど俺の興味を掻き立てるものはない。ちょうど今使ってるナイフにも刃こぼれが見えてきたんだ。ということでおしゅー達を置いて俺とパイセンは隠し通路的な場所を抜けていった。5分ほど歩いた頃に目の前にランプの光が見えた。

「扉か?随分と古い型だな」

まるで魔女の住む小屋みたいにボロい扉にケチをつけながら

「たーのもーう!」

と扉を開けようとしたのだが思いのほか固くて、ちょっと力強く押したらバキッとか音立てて扉が取れてしまった。後ろで頭を抱えるパイセンを置いて中へと入る。

「いらっしゃい、注文はあるかい?それとも」

とカウンターでグラスを磨いていたマスターは胸ポケットからトランプを取り出し、

「トランプや麻雀でもしに来たのかな?」

と拭いていたグラスを置いてこちらへ歩いてくる。

「悪いが今日は違うんだ。多分先にひとりで来てるやつがいるだろ?そいつに用があるんだ」

とパイセンが言うと

「あぁ、彼女の客人か。それによく見ると貴方は元花園の情報部最高司令官、コードネーム『NICK(ニック)』さんじゃないか。フード被ってるから分からなかったよ」

と男はパイセンと肩を組む。

「知り合い?」

と聞くとあぁ、と頷いて

「こいつは俺の友人でここの酒場のマスターをしている、矢札勝斗(やふだまさと)。控えめに言って大の賭け事好きだ。高い身長に加え、苗字と名前の頭をとってここに通うやつらはマスターかやまさんだのやまっちだの呼んでいる。一応こいつも能力者だ」

それは見たらわかる。能力者どころか そこらの警察よりも遥かに強い。おしゅーと五分くらいか。

「俺は奏音だ。よろしくな、えっとやま、さん?」

「好きに呼んでくれて構わないよ。よろしくね」

「じゃあやまっちでいこう。よろしく」

と軽く握手をして先に待っていたという人物の元へと向かう。

「待たせたね、もか」

「げっ、お前かよ」

そこには猫宮もかが座っていた。

「げっ、とはなに?せっかく死にかけの君にいい情報を持ってきてあげたのに」

いやそりゃ出るだろうよ。電話1本で行ってこいって行ったら腹刺されてなんか撤退してたし。

「まぁまぁ奏音、許してやってくれ」

パイセンになだめられ、

「ったく。それで?いい情報ってのは」

気になったから聞くがあまり期待などしていないのが本心だ。

「新情報だよ、もちろん『アイ』のね」

「はぁ、なるほどな」

俺が今1番欲しい情報を出すことで帰らせないってか。

「1つ分かったことは、君が戦っていた彼女、あれはアイではなく限りなくアイに似た別人だ」

どういうことだ?

「僕らにも分からないんだ。ただ、雷葉に調べてもらった所別人だと分かった。だから間違いない」

パイセンが、か。それなら確かに確実な情報だろう。つまり俺が戦ったあいつは全くの別人。そして恐らく俺に関係がある人物なのだろう。

「なら、あいつは誰なんだ?」

「すまない奏音、そこまでは情報が足りなくて分からないんだ。だが、奏音。お前の身におこった出来事なら分かるかもしれない。例えば、お前があの場で倒れた後に出てきた女、それが誰なのか。あとひとつピースが足りない。なんでもいいからないか?」

それは俺も知りたかった。俺にはあの後の記憶がない。だが、

「倒れる前、頭の中で懐かしい女の声が聞こえたんだ」

するとパイセンは頷いてからその場を立ち、

「揃ったな」

とそう言って足を組み、手を顎に当てて考える仕草をとる。

「久しぶりに見るな、パイセンの能力反転」

そのままゆっくりと目を閉じてパイセンは呟く

「能力反転『世界の真実(トゥルー・ワールド)』」

これはパイセンの情報入手方法の1つであり、パイセンの持つ情報に間違いのない理由だ。パイセンは電気、雷、プラズマまで操ることが出来る。この技は世界の情報、全世界に住む動物の脳や記憶に同期接続して情報を取れる。

だが、それだけだと情報が多すぎて処理が追いつかないためキーワード、即ち手がかりを手に入れることでより確実に情報を手に入れる。

「なるほどな、出たぞ奏音」

そう言って言葉を続ける、

「お前の中にはもう1人のお前がいる。お前が昔から能力を使った後に女になるのも恐らくそいつが関係している。だが、それが誰なのかは俺の能力でも分からなかった。お前に関係しているのは間違いないはずだ。とりあえず、だ。俺は疲れたから」

と席を立ち、ソファーに横になろうとしたパイセンを、

「せっかくですし皆さんでトランプでもしませんか?」

とやまっちが寄ってきた。

トランプゲームか、たまにはいいのかもしれないな。

「よし、やろう。その代わり、負けたヤツは店代おごりな」

「君はお金が無いんじゃないの?」

ともかが言ってきたので

「俺は万年金欠野郎だぜ?あのな、俺がなんの勝算もなく乗ると思うのか?」

俺はテーブルに手を伸ばしてカードを貰いながら、

「このゲームには今回のみの勝ち筋があるんだ」

そう、俺は勝てない勝負はしないんだ。

「何を隠そう、パイセンはあの技を使った後2時間は思考能力が著しく低下する、つまり俺が負けることなど万に一つもない!」

「ささ、早くやりましょう」

俺たち4人は椅子に座り、大富豪を始めた。



「はいパイセンの負け〜」

あれから1時間ほど大富豪をやっていたのだが、

「あ?え?これどうするんだっけ?あ、また俺の負けなの?」

と自分が負けたことにすら気づかない思考能力の低下。うん、パイセンの能力を無理に使うのはやめとこう、ここまでとは

「てことでパイセンの奢りな」

「いくらだ?」

と財布を取り出すパイセン。

「6万だ」

「はいはい、6万ね、、、は?」

うわぁ俺ら6万も飲み食いしてたのか、すまんパイセン。

「ゴチになります!」

一応頭は下げといた。先輩に店代を払わせる後輩なんて、学生だったら集団リンチだな。

「見ろよ俺の財布の中身!」

とパイセンの財布を見ると、千円が4枚と500円が1枚だけ入っていた。

「まぁまぁ、そういうこともありますって」

その後もパイセンが手持ちの金を主張し続けて30分。結局割り勘になった。


俺は家に帰り布団に入る。

「何だかんだ久しぶりに帰ってきた感じだけど」

と辺りを見回す。

「まだ二日程度しか経ってないんだよなぁ」

そういえばここ数日、舞冬たちと会ってないな。顔でも出しとくか、あとはあいつらの好きな饅頭でも買っていくか。とりあえず、

「今日は疲れたな、ゆっくり休んむとしよう」

そうして目を閉じて眠りについた。



どこか暗い空間、右も左も、前も後ろも上も下も全部が真っ暗だ。

「ここは、どこだ?」

とりあえず進んでみる。

「あそこにあるのは、?」

しばらく歩いたところに白い空間があった。

「待ってたよ、かなくん」

と白い空間の主はこちらを振り返る。

「な、なんで、ここにいる!?」

俺は驚愕のあまりに動揺を隠しきれず、

「警戒しないで、僕はかなくんに真実を伝えに来ただけ、危害を加えるつもりはないよ」

「そんなことを言われたってな。真実と言ったな、それはどんなものなんだ?」

まぁ動揺を隠せないのも仕方がないだろう。なんせ、

「敵の元に自分から来るくらいだ、よほど大事な真実なんだろう?なぁ?『アイ』」

アイが、そこにいたんだから。

「とりあえず、1つハッキリさせたいのはかなくんの言っているアイと僕とは違う。あいつは僕、アイじゃない」

もかとパイセンも言っていたな。あいつはアイではないと

「じゃあ、お前は?」

「僕がアイだよ」

「なぜここに?」

「ここは君の精神世界のようなもの。そして僕は君の記憶にあるアイ」

つまり、こいつは俺の精神世界を通して俺と会話を可能にし、真実というものを伝えようとしてる、と。

「聞くだけ聞く。判断するのはそれからでも遅くない」

一先ず聞くのが良いだろう。情報ってのはあればあるだけいい。まぁ必要な情報なら、だけどな。

「まず結論から言わせてもらうと、かなくんの昔の記憶が書き換えられている可能性が高い。僕の記憶ではあの日、僕たちはある襲撃者によってかなくんが戻る前に殺されてしまった。戻ったかなくんと襲撃者が鉢合わせて状況を見たかなくんは能力が暴走。それを死ぬ寸前だった僕が命をかけて停めた。僕の能力、秩序の瞳(グロリアスアイ)で」

今、能力って言ったか?能力で俺の力を抑えたと、アイの能力は略奪のはずだ、だがそれでどうやって、

「なぁ、別に答えなくてもいいんだがお前の能力は略奪、人から能力を奪う能力じゃないのか?」

するとアイはこくり、と頷いて

「僕の能力、秩序の瞳はその名の通り、秩序を保つ。簡単に言うとあらゆる物を制御出来る。偽物が言っていた奪う能力は僕の能力じゃない」

さっきアイが言った通りのようだ。こいつと俺が戦ったアイは別人、一旦信じよう。それに

「俺の記憶が書き変えられたってのが本当だとして、いったい誰が記憶をかえたんだ?」

「それは、かなくんがよく知る人」

アイは少しずつ正体への手がかりを述べていく。

「かなくんの心を利用したクズ。あの日、僕達を殺したのは、元花園。総括副司令官である、『血鎖華弥(ちぐさりかや)』」

最後にその人物の正体を明かすアイ。そしてそれは

「嘘、だろ」

俺恩人だと思っていた人に裏切られた瞬間だった。

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