とある空想上の世界-10
遅くなり申し訳ございません
結構忙しく更新出来てなかったこと本当にお詫び申し上げます
私は合流地点へと淡々と進んでいく。私の歩いた後には数百人もの犠牲者、そこより生み出される赫い血。
「お前か?ここに来た侵入者ってのは」
歩いていると横の木陰から声をかけられる。
「それがどうかしたの?」
するとそいつ、男はこちらへ歩いて来て、
「俺はあの人から指示を受けてるからな、任務を遂行しなきゃいけないんだ」
そう言って
「俺は山田太郎だ」
男はそう名乗った。
「ふざけてるの?貴方ねぇ、そんな馬鹿みたいな名前してる奴がいるわけないじゃない。それで?名前は?」
「だから山田太郎だって」
そんなわけない。山田太郎なんて学校のテストの模範解答に書いてある名前くらいしか見たことない。
「俺の名前は本当に山田太郎なんだけど、?親が酒に酔った勢いで付けた名前だし、」
あ、気まず
「なんか、ごめんなさい」
「いいんだよ、別に、慣れてる」
どうしよう、なんか申し訳ない。
「別にいいんだよ、うん」
「ごめん、せめてものお詫びとして今すぐ逃げるなら何もしないよ」
私も出来れば人を殺めたくない。避けられる戦闘は避ける。それが私のモットーだ。
「ありがたいが、そういう訳には行かなくてな。あの人の指示を破るくらいならここで争うことを選ぶ」
その目は固い決意を表すほど力強かった。
「それなら、殺ろうか」
「ふぅ、名前は?」
「零、少しの間だろうけどよろしく」
「零、か。いい名前だ」
そうして2人ともナイフを構える。
「いくぞ零!!」
私はナイフの技術なんてない。それなりにはあるだろうが奏さんやおしゅーのように達人ではない。正面からナイフで斬り合うのは分が悪い、だから私は
「なるほど、あくまで守りか」
そう、私は守りを極めた。でもそれじゃ勝てない、だからこそ
「がら空きだぞ!」
山田のナイフが一瞬の隙をつく。が
「わざとだよ?」
ナイフを持つ山田の手首を掴み自分の身体を半回転させて膝で手首を蹴ってナイフを落とす。
「ぐっっ!」
そのまま勢いで投げる。
「いってぇ、はぁ。もうめんどくせぇ!」
山田は態度が急変した。
「悪いが恨まないでくれよ」
そうして山田は唱える。
「能力発動、『代価契約』」
しかし何も起こらない、と思った瞬間。
「っっっ!!」
右腕の感覚がなくなった。
「驚いたか?俺の能力は自分と相手の能力以外の何かをお互い代価として支払い、俺にそのリターンを貰える。ちなみに対象に制限はないが命を選択した場合はもれなくお互い死ぬってことだ。まぁ、俺は自分が1番大事だから命を無くすことは選ばないが」
つまり右腕を選択したことでお互い使えない。
「驚いたよ、まさかそんな能力を隠し持ってたなんてね」
しかし、片腕が使えないため
「あ、、、」
脚にナイフをくらってしまう。
反撃をしようと山田を捉えようとするが
「あぶねっ!」
逃げられてしまう。
「これで脚は使い物にならない、はず、」
そうして山田は気づく、
「なん、で、俺の脚が、」
自分の脚が傷ついてることに。
「なんでだ?くそ、動けよ!」
「私の能力、『水鏡傷身』は自分がうけたダメージを相手へより強い威力で映す」
「守ってばっかりだと思って攻撃したんだろうけど、私が守ってばっかりなのは、攻撃を受けても返せるからなんだよ」
だが山田の能力を返せなかったのは予想外だ。おそらく山田も同じ代価を払ったからだろう。これで山田の片脚は使い物にならない。
「さぁ、死の時間だ」
そう言って私は着ていたコートの裏地に仕込んでいた武器を出す。
「どれがいいかなぁ?刃渡りの長いナイフ?それとも銃?どれにしようか」
そうして自分にその武器を向けて死なない程度に山田を痛めつける。
「さて、そろそろ合流地点に行かなきゃ」
私はスキップしながら合流場所へ向かった。
僕、業琉莉の強さはこの世界で上の上の方だと思っていた。だが、あの男の子に出会ってから本物を知った。そして今目の前にいる紺色の髪をした男、こいつも僕よりも強い。
「ごめんね、この先は通行止めなんだ」
鋭い目つきで僕を見つめる。
「そこ、通してくれないかな?先を急いでいるんだ」
「ダメって言ったら?」
まぁ、通してくれないよね。なら、
「君を倒すよ」
僕は銃を構える。数発相手へ銃弾を放つ。しかしその全てをその場から体の軸を動かさずに捻りだけで避けた。
「なっっ、」
相当だと思っていたが想像以上だった。戦いではまず、相手の姿勢、雰囲気、声音で相手を図る、とあの男の子は言っていた。その意味を今理解した。その後も僕は銃を撃ち続けたが放った銃弾はかすりもしなかった。やがて相手は木陰に身を潜め、
「俺は夜桜うるふ。元傭兵、今はアイの手下みたいなもんだ。正直気に食わないが、こっちはこっちで事情があってね」
夜桜うるふ、そう名乗った彼に、
「アイって言うのは君たちのボスみたいな人なのかな?なら、尚更急がないと。てことで悪いけど終わらせてもらうよ」
そうして僕はその名を呼ぶ
「能力発動。傀儡を統べる者」
次の瞬間、僕を中心として3体の分身が展開される。
「行け」
そう指示をすると3体は相手へ走り出した。木陰に隠れた彼を囲うように位置をとり、突撃した。
「人が増えたところでっ!変わらないぞ!」
と3体と僕の攻撃を捌ききる。でも、この能力にはもう一段階上がある。
「能力反転、眠り姫の前奏曲」
この能力反転が僕の切り札であり、捨て札でもある。
「ファースト、重力倍化。セカンド、インビジブル。サード、サイレント」
能力によって生み出した分身は反転する事で能力をそれぞれに付与できる。付与する能力に制限はないがその強さに応じて能力の効果が軽減される。それが僕の能力反転、眠り姫の前奏曲。今回の分身には、対象の重力を2倍にする、本体である僕を10秒間透明化するもの、そして10秒間僕から放たれる全ての音を消去するもの。
「身体がっ!重力操作だと?だがそれだけじゃない、本体はどこにいった!?」
戸惑う彼に僕は限られた時間で銃弾を浴びせる。
「っっ!!無音かよ!」
本当に凄いな、まさか無音の銃弾を捌ききるなんて。
「でも、その銃弾は、」
僕は音もなく彼の背後へ忍び寄った。そのまま彼の胸に至近距離で銃弾を、
「銃弾はブラフだろ?」
そう言って彼は見えるはずのない僕に蹴りを入れた。
「あ、がっ、どう、して」
「今はアイに奪われて少ししか使えないが、弾道が甘かったな。誘導だとすぐに気がついた。そして相性も悪い。俺の能力は無を操る能力だ」
まずい、これを破られると技量で負けている僕じゃ、勝てない。
「そんじゃ、終わりだな」
そう言って彼はナイフを振り下ろす、その瞬間、
「緋月」
彼に緋色の斬撃が飛んで来た。
「この技はもしや、朱雨夜さんの、」
目の前の男は困惑していた。
「やばそうだから止めといたけど、何してるの?うるふさん」
知り、あい?
「これは、その、なんというか」
「2人は知り合いなの?」
と彼の言葉を遮って僕は質問を投げかける。
「知り合いも何も、そこにいる彼、夜桜うるふも元花園の一員だよ」
え?じゃあ、この人も、
「俺は元花園、特隊が1人、神をも無くす者。夜桜うるふだ」
聞いたことがある。花園の幹部の中に無そのものを操る能力者がいると。
「朱雨夜さん、もしかしてこの子は、」
「うん、奏音さんのまぁ仲間?だよ」
それを聞いて
「ほんとにごめん!えと、」
「琉莉、まるりでいいよ。みんなそう呼んでるから。よろしくねうるふ君」
そう言って握手を交わす。僕たちは3人で合流地点へ走った。その途中で色んな情報を教えて貰った。
まずうるふ君は花園が解散したあと、反組織が出来てから1人で潜入していたという。そうしてリーダーのアイの情報や幹部の情報、目的まで全て話してくれた。何よりもアイの能力が恐ろしいのは聞いただけでも分かった。アイの能力は対象の能力を奪う能力。そしてその能力を与える事もできるというもの。おしゅーさんが戦った敵も能力を2つ持っていたらしくそれもアイが与えたのだろう。とにかく恐ろしすぎる能力だ。
「俺の能力もアイに奪われた。まぁその時に能力発動して1部だけ残ったが、それでも能力を30分しか使用できないからな。アイを止めるには奏音さんの力が必要だ」
強すぎる能力を持つアイをも倒せる存在、あの男の子、奏音の能力は一体何なのだろうか。そう考えながら僕たちは森を抜けて廃村のような所へ着く。
「こんなとこで何してるんだ?アイ」
俺は目の前に足を組んで女王気取りで座っているクソ野郎を睨んだ。
「君ならここに来ると思ってたよ、奏音」
「そんなのはどうでもいいんだよ別に、俺が質問してるんだ。答えろ」
殺気と共に怒りを表向きに出す。
「んー?それはなに?何してるって言われても君も知っているだろう?ここに来たのなら」
違う、そんな事じゃない。俺が聞きたいのはそんなどうでもいいことじゃないんだ。なぜ、どうしてお前が、
「死んだはずの、俺がこの手で殺したはずのお前が生きているんだ!」
「ふふふ、気になるかい?確かに僕は君に殺されたよ。でもね僕は逃れる術を持っていたのさ」
確かにこいつの能力は強い。相手から能力を奪う能力。だが当時俺が殺した時は余裕で片手で数えられるほどだった。しかもその全てを把握していた。その中に逃れる術なんてない。俺はアイを殺した後能力を調べた。その結果アイの能力の対象は自分が殺した相手、自分の下に着くまたはそうできる相手。
そしてアイは当時まだ能力の対象を殺した相手だと勘違いしたまま死んでいる。だから殺した相手の能力しか使えないはずだ。
「お前が殺したのは4人、そうだろ?」
「そうだね。当時はそのくらいだったかな」
しかしその4人のうち1人は無能力者と言われている。
「まさか、」
「そのまさかだよ。無能力者と言われていた相手には能力があったんだ。でもそれは自らが死んだ数時間後に1度だけ蘇ることができる。そう、君の、僕らの父の能力だ!」
納得がいった。それなら生きていることも納得できる。
「だが、お前は絶対に、何があっても俺は許さない。また殺して二度とこの世に出てこないようにしてやる」
僕たちは一連の会話を少し離れたところから聴いていた。
「どうするの、?」
僕が聞くと
「何もするな、俺らが混じっても邪魔をするだけだ」
と止められた。だから僕たち3人はその場で静かにその先の戦いを見守ることにした。
4年前、俺、如月奏音は無能力の一般人だった。俺の家庭は俺を含めて6人で能力者の母、祖母、祖父、姉。無能力の父と俺だった。ある日俺が友人と公園で遊んで帰ってきた所、家の中に鉄の錆びた様な匂いが広がっていた。暗くてあまり見えなかったが壁に手をついた時、少し粘性のある液体が手に触れた。それを直感で人の血だと感じ取った俺は家中を探し回り、自分以外の家族を探す。やがて、2階の角の部屋に姉が、如月アイがいた。暗闇に慣れた目にははっきりと姉の身体中に付いた血が見えた。
「お姉ちゃん、?どう、して、、」
恐怖、混乱、悲しみ、色んな感情が流れてくる中、一つだけ、確かな感情があった。
「どうして、皆を、殺したの、?」
それは怒りによって生み出された殺意だった。
「さぁ?私の能力は相手の能力を奪う能力なの。でも能力が殺した相手にしか使えなくてね?だから、皆の能力も貰っちゃった」
何を、言っているんだろうか、そんな理由で?許さない、
「許さない許さない許さない許さない許さない、、、」
俺の感情が殺意に塗り替えられていく。だが抵抗なんてしなかった。そうする必要など無かったからだ。やがて俺の心は殺意で満たされ、1つの小さな何かに吸収され、収縮した。そしてその瞬間に理解した。
「これが僕の、能力」
その何かこそ能力と呼ばれるそれなのだと。能力者は能力を得たその瞬間に必要最低限の使い方がまるで生まれた時からあったもののように理解できていると聞いたがその通りだった。
「どう、して、あんたなんかが!」
アイは驚愕のあまり後ずさりをし、俺は震えていた膝をパンッと叩き、アイへと手を伸ばす。そうして、
「能力、『黄泉津大神』」
そう唱えた。
またたくさんの人に見てほしー
これから頑張ってまた頻度あげますので是非お願いいたします




