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Alice in Re.selection  作者: 名も無き小説家メア
2部 とある空想上の世界
20/27

とある空想上の世界-8

「お姉ちゃん、入るね」

僕はそう断ってその部屋に入った。

「どうしたの?琉莉(るり)

「その、言っておきたいことがあって」

「手短にお願い、今日も仕事が山積みだから」

そう言って素早く手を動かすお姉ちゃん。僕はそんなお姉ちゃんにある事を伝えた。

「嘘かもしれないけど、世間を騒がせている能力者の知り合いの少女と話したの」

「あの少年のこと?」

「うん、一応言っとこっかなって」

「そんなの嘘に決まってるでしょ。なんて言ったって僕達警察が探しても全く見つけられないのに。でも、その顔嘘じゃないって強く思ってるんだね?」

とこちらを覗くお姉ちゃんに僕は

「うん、それがね。顔とか雰囲気?が似てるの。あの時出会った少年に。もしかするとあの少女はあの能力者の妹とかかもしれない」

そう、似ていた。顔も、髪の色も、着ている服だって。

「それで?」

「彼女は伝達役として僕の元へ来たんだけど、少しめんどくさい事を求めてきてて」

「・・・・・・何を求めてきたの?」

「簡単に言うと、お金だね。曰く、お金が無いから警察に協力する事によって報酬が欲しいって言ってるみたい」

「最強かもしれないと言われている能力者がそんな悩みを抱えてるなんて馬鹿馬鹿しいね。けど、協力って所が引っかかるね。警察に入りたいって事じゃ無いってことでしょ?」

「うん、あくまで協力するだけで警察に入るつもりはないみたい」

「随分と図々しいんだね、でも彼は自分の立場をよくわかった発言をしてるね。僕たちは今彼が欲しい。そうすることで市民からの信頼を勝ち取れるから。逆にここで逃すとこの先の機会が無くなってしまうかもしれない、だからこそのこの条件。正直協力してほしかったりはするんだけど。でも琉莉、協力だけじゃ勿体ないと思わない?」

「どういうこと?」

「僕としてはいっその事警察に入れと言いたいんだよ。それに僕らが断ったら彼には美味しくない結果になる。僕たちを頼ってくるということは彼にはその手段が無いって事だからね、だからこそ僕は面白いことを考えたよ」

そうしてお姉ちゃんは話し始めた。その、面白い事というのを

「なるほど」

と僕は頷いた。

「彼と会った時にこれを伝えて」

「うん、任せて」

「それと聞きたいんだけど、あの子は元気?」

その問いに

「うん、元気だよ」

「よかった、それじゃあ貴方はもう寝なさい」

「うん、おやすみなさい」

そう言って僕、業琉莉(かるまるり)は部屋を出た。



「最強、か」

「なに?自画自賛?」

「いや、そういう訳じゃねえよ。ふと思ったんだよもかと俺が戦ったらどっちが勝つんだろうなぁって」

「あぁ、そんな話ね。けどアンタ、負ける気なんて一切ないでしょ?」

「馬鹿言え相手は最強の能力者だぞ?」

「そうかしらねぇ、アンタなら能力でねじ伏せられると思うんだけど」

「いや、無理だろ。というかお前俺の能力過信し過ぎだよな」

「しょうがなくない?アンタが負けてるとこなんて見た事ないし」

「まぁ、これまでの相手なんて雑魚ばっかりだったしな」

「そうは思えないけどねぇ、そういえば警察の件どうなったわけ?」

「あーそれ断られそうなんだよなぁ、やっぱり条件がキツすぎたみたいでさ、まぁ向こうには最強の能力者が既にいるからな」

「ふーん、私はアンタが一番強いと思うんだけどねぇ」

「まぁその時はその時だ、なんとかするよ」

そんな感じで舞冬と会話していると俺はふと思い出した事があった。

「そういや、電話するって言ってしてなかったな」

「電話?誰によ、アンタ電話出来る相手なんていないでしょ」

「お前な、俺も傷つくんだぞ?まぁ警察にだよ。お前から言われたまんま警察に言ったんだが今度電話しろって言われてな。だからそろそろいいかなと」

そう言って俺は警察に電話をかけた。

「はい、警察です」

と聞きなれた声が聞こえた。

「覚えていますか?私です」

と訪ねてみるが

「名前を聞かないと思い出せないんですけど」

どうしよう、俺あの少年に名前教えた覚えないんだけど、とりあえず分かればいいから

「以前、最強の能力者の件についてお尋ねした名前を教えてない奴です、」

「あの時の、」

気づいてくれたらしい。でもなんて聞けばいいんだ?と俺が悩んでいると

「君に、伝えたい事があるんだけどこれに関しては会ってからじゃないと言えないんだ。それとその時は君とその能力者も来るようにね」

「あ、それなら僕は用事があるので能力者の方だけ行かせますね」

「そう、今日しかダメだからちゃんと説明して連れてきてね」

「わかりました」

「じゃあ、待ってるね」

そう言って電話を切った。

「なんて?」

と舞冬が訪ねてくる。

「なんか一度会ってから話そうってさ」

「それ、罠じゃない?」

「まぁ、そうかもな。でも行くしかないんだよなぁ」

「だったら気をつけなさいね。危なくなったら逃げること」

「お前は俺の親か!?わかってるさ。はぁ、とりあえず男に戻るのを待つか」



そして、

「初めましてだったか?」

警察に着いた俺は事務所的な所に案内されソファーにすわると目の前の少年にそう言った。

「一度会ってるよ。もしかして、覚えてない?」

「生憎と、記憶力は悪くてな」

あくまで知らないふりをする。

「それで、なんでここに呼んだんだ?どうせ話し合いなんて嘘っぱちだろ?」

「まぁ、それ目的でもあるけど別に目的があるのは確かだね」

「それ以外ってなんだよ」

と俺がその少年に問いを投げかけた瞬間、

「安心して。別に危害を加えようとかじゃないから」

「なっ」

声の聞こえた方を振り向いた俺は目を見張った。なんせそこには、

「初めまして、僕は猫宮もか。知ってるだろうけど警察のトップだよ」

「猫宮、もか。なぜここに」

俺は生まれてこの方全く驚いたことが無かったがさすがにこれには驚いた。まさか、思わなかった。

「ここに来た理由なんて簡単だよ。君と話したかった、それだけだよ」

「それじゃお姉ちゃん、僕は席を外しとくね」

「うん、ご苦労さま、琉莉」

琉莉、それがあいつの名前か。

「それで、なんの用だ」

「あれ?酷いなぁ本当に話したいだけなんだよ。ね?元暗殺者集団花園の特隊リーダー『黒百合』」

その言葉を聞き俺はそいつに

「なぜそのことを?」

「いいや、僕はただ気になって調べたんだ。警察には色んな能力者がいてね、その中に相手の過去を1部見ることの出来るものがいるんだ」

「それで俺の過去を、?住人の味方である警察のする事じゃないと思うが?」

「それはすまないね。でも君のことを少しでも知っておきたかったんだ」

「で?俺を捕まえるか?」

と俺は身構える。が、

「よし、協力しようか。正直僕たちとしても君は手に入れておきたいし」

「いいのか?捕まえなくて」

「大丈夫だよ、それはもう過去の出来事だし特別に目を瞑ってあげる」

「警察の掲げる正義とは?ってやつだな」

「過去は対して重要じゃない。今この世界の住人を守ることが大事。それに、君以外の情報もあるよ」

そうして続きを言うもか

「まずは特隊、副隊長

緋剣朱雨夜(ひつるぎしゅうや)

コードネーム|おしゅー

能力|燼滅刃〈緋〉

   携帯している刀に自分又は敵の血を吸わせることで刀身は赤黒く染まり爆発的な強さを発揮する」

と説明を始めた。

「次に

桜兎無零(おとなしれい)

コードネーム|ゼロ

能力|水鏡傷身

   自らが受ける全ての攻撃効果を相手へ倍にして返す」

元同僚達の情報がよく書かれているその資料は黒いファイルに赤字でマル秘の文字が書かれている。

「なんの真似だ?」

「別になんでもないよ。ただ最近どうやらこの2人らしき人物が君を探し回ってるみたいでね」

探している、か。そうして俺は昔の事を思い出す、能力がこの身に宿る前の事を。




『花園』、裏社会で知らぬものはいない最強の暗殺者集団。独自の勢力によって構成された花園は警察が処理できない問題を国家から受け、遂行する。任務内容により送られる隊が変わるが、その中で全てにおいて完璧に仕事をこなす特殊な部隊、先刻者達の玉座(バレン・ガーデン)

俺が以前暗殺を生業としていた時の所属部隊。裏で動く俺たちの情報は国家最高機密で国に相当顔がきかないと覗くことすら許されない。

そしてその花園はある日突然解散する事になった。他でもない、猫宮もかの警察の新体型設立によって。

元々の警察という組織は地域ごとに存在する一種の自治団体だった。そのため自治範囲内での問題を収集できなくなった時に国を通して花園を動かすことができる。

しかしある日突然と解散を告げられる。それは警察が1つの国を統括する組織として立て直したからだった。ひとつにまとまった警察は驚くほどの安定をもたらした。解散した花園のメンバーはそれぞれやりたいことをする為に離れていった。もうこの世界に花園は必要ないのだと皆そう考えていたのだろう。俺もやりたいように生きることにした。



「じゃあ、要件を飲むって事でいいんだな?」

「そう受けとってもらって構わないよ」

少し雑談混じりに会話をした後

「俺はもう帰るぞ?こう見えて忙しいんでな」

と帰宅をすることを伝えると

「あ、待って!これ渡しとくよ」

とスマホを渡された。

「これは?」

という俺の問いに

「連絡用のスマホだよ。どうせ連絡先聞いても教えてくれないでしょ?」

当たり前だと頷き

「一応聞いておくが、」

「安心して、GPSなんて付けてないから。なんなら専門家にでも持って行ってもらって構わないよ。もしなにかあったならその場で処分しても構わない」

ともかは言うが、まぁここまで言うんだ。本当にしてないのだろう。

「有難くもらっとく」

そう言って俺は警察を後にする。


その帰り道、

「っっ!」

俺はこちらをじっと見つめるような視線を感じて構える。

「電柱の裏か、、」

とそちらを向きゆっくりと足を運んでいく。10数メートルまで来たころ、

「さすがですね、隊長」

と電柱から姿を現したそいつは、

「おしゅー?」

先程もかの話していた元花園、緋剣朱雨夜だった。

「お久しぶりです!結構探したんすよ?」

「あぁ、そうかお前俺を探してたんだったな」

まさか帰り道に会うとは、

「隊長、話があるんですがその前に、」

とおしゅーから

「メシ奢ってくれませんか?」

とたかられるのであった。



とりあえず近くのファミレスに来たんだが

はいちょう!ほほの(隊長!ここの)めひおいひいでふ!(メシおいしいです!)

この野郎美味そうに食いやがって、

「お前な?どこに自分の上司に飯たかるばかがいるんだよ」

ほほにひまふへほ(ここにいますけど)

「食うか喋るかどっちかにしろよ!」

そうするとおしゅーは飯を駆け込み水で流し込んでから

「これは御無礼を、」

「それで?要件はなんだ?」

それが、とおしゅーは話し始めた。曰く、最近俺たち元花園じゃないカス共が花園を名乗っているらしく俺がやっていると思って探してたらしい。

「なるほどな」

「はい、でも隊長が違うのなら誰なのでしょうか、仮にも花園の存在を知ってるって段階で絞れるは絞れるんですが変に疑うと消されかねないので迂闊には動けないんですよねぇ」

「だな」

「隊長は今何を?」

「色々あってな。今は警察と行動する事になったんだ」

「警察、ですか?でも隊長警察のことめっちゃ嫌ってましたよね?」

「まぁな」

「まぁ良かったです隊長が無事で、それに今では隊長も有名人ですからね!最強の能力者、カッコイイっす」

こいつ、まったく

「変わらねぇな、お前は」

ほんとに変わらねぇ、なんつーか相変わらずマイペースだし遠慮をしらん。現に今、俺の手元に

「お前、食いすぎだ、」

「なんか、すいません、ゴチなります」

2万以上の領収書があった。

「あの時は普通に焦りましたよ!?気づいたら隊長いないしなんかうじゃうじゃ敵出てくるしで」

と、おしゅーと少し昔話をしながら裏路地を歩いていると

「オイオイそこのお二人さんや、ちょいと有り金全部置いてって貰おうか」

と数十人の男たちに囲まれた。

「めんどくさっ」

「隊長、ここは俺が」

とおしゅーが前に出る。

「久しぶりに暴れさせてもらうか」

おしゅーは腰に携えた刀を鞘から抜き去り、眩しい銀色の刀身があらわになる。ナイフで斬りかかってくる敵を受け流し、流れるような動きで刃を入れる。

「何度観ても、お前の腕前には驚かされるな」

呼吸も落ち着いている。おしゅーはその場から足を一度も動かさず全ての攻撃を受け流し、一撃で敵を葬って行く。その流麗かつ繊細な動きについ見入ってしまう。

「お前らなにしてんだ!相手は刀だぞ!チャカ使え!」

と敵のボスらしき人物が仲間に指示を出す、その瞬間、全員ナイフを捨てて銃へと持ち変える。

「撃て!」

と掛け声と共に銃弾がおしゅー目掛けて発射された。そして

「能力発動!『万物倍加』!」

と敵のボスは能力を発動した。

「俺の能力は万物を倍にし、増やすことができる。そして今は、撃ち出された銃弾の数、そしてスピードと威力を倍化した!」

それにより撃ち出された銃弾はおしゅーへと一直線に空気を割いてすすむ、が

「おしゅーには、効かねぇよそれ」

と俺が言うと

「こんなの、能力を使うまでもないっすね」

おしゅーは一瞬で刀を鞘にしまい、両足を縦に開き、体制を低くすると、右手を刀に置き、左手で鞘を支えながら、

「緋剣流抜刀術『緋月断ち』、繋ぎ『紅時雨』」

と技を繰り出した。『緋月断ち』はおしゅー独自の流派である緋剣流の抜刀術だ。『緋月断ち』は抜刀した刀の割いた空間の時間を停止する。簡単に言えば一瞬だけの時止めだ。

だがその一瞬で繋ぎである『紅時雨』の発動準備が整う。そして『紅時雨』は自身を中心とした半径1.5メートル範囲内を視力、聴力、直感を研ぎ澄ませる事で脳の処理を最速にして脊髄反射よりも早く刀を動かす、つまりは自分の半径1.5メートルに入った物や人を全て最速かつフルオートで滅する。まるで自身に降り注ぐ死の雨を薙ぎ払うように、その刀の動きは俺でも捉え切るのは難しい。

「なん、でだよ!」

相手のボスは思わず叫ぶ。

「いいウォーミングアップにはなったっすね」

「おしゅー、もういい。行くぞ」

とおしゅーと帰ろうとする。

「了解っす」

俺たちが背中を向けた瞬間、

「馬鹿共が!死ね!」

とボス背後から発砲音が聞こえる。

「おしゅー借りるぞっ!」

そう言っておしゅーの腰の刀を借りる。いつもならこんな長くて扱いにくい武器なんて使わないが、

「緋剣流防衛術『紫水』」

そう、緋剣流だ。元々この流派は俺がおしゅーに教えた物で使うことなんてそうそうないからおしゅーに伝授した。まぁ特隊でも使えたのはおしゅーだけだったのが主な理由だが、

「俺が自分の技を使えないわけないよなぁ!」

俺は刀を逆手で握り、刃を一直線で下に向ける。飛んでくる銃弾をその手と刀の横移動だけで防ぐ。

「ば、化け物が、」

俺はそいつへと近づく。ゆっくりと、やがてそいつの前に立ったとき

「俺を殺そうとしたんだ。相応の覚悟は、あるよな?」

と一言添えてその男の首を一凪、それを見て怯える男の連れに

「今なら見逃してやる、これ片付けたらな」

と死んだ男を指した。もちろん、そいつらは動き始めた。結局人間なんてのは自分の命が一番大事だ。敵討ちだのなんだのとかは現実じゃ通じない。それに復讐はまた新たな復讐を生む。

「帰ろう、こいつらは歯向かう牙を持ってないみたいだ」

おしゅーに刀を返した俺は

「なぁおしゅー、あいつはどうしてる?」

「あの人ならそこら辺ほっつき歩いてそうですけど」

そうか、と頷く。

コードネーム『ゼロ』、対人戦最強の女と恐れられた俺の隊のメンバー。彼女は数年間数々の任務を行い、その全てを初めから傷ひとつ無く完了させている、故に『ゼロ』。俺はおしゅーと再開した時から1つの計画を立てようとしていた。

「おしゅー、あいつを探せ。もう一度、俺たちの仕事をやる」

「了解!今から向かいます」

頼んだ、と一言添えて帰った。俺は家に着くとすぐに布団に入って、

「なんか疲れたな今日」

といい部屋の電気を消した。



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