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Alice in Re.selection  作者: 名も無き小説家メア
2部 とある空想上の世界
16/22

とある空想上の世界-4

そうして、俺は全国で放送された次の日、舞冬の家で庭掃除をしていた。まぁ、アレだ。約束してた事だから掃除をしに来たってわけだ。ちなみにもちろん、今は男の姿じゃない。能力が使えない状態、そう、女の姿だ。まぁさすがにあの姿で外を出歩くわけにもいかないからな。

 「おーっす、元気してる?」

 「元気してねぇよ」

 「いやぁ、一躍有名になっちゃって、羨ましいわね。このこの〜」

 「嫌味かよ」

 「いや嫌味ってわけじゃないけどさ。けどアンタ、普通に大変そうよねぇ」

 「そりゃあ大変だよあんなことになったんだからな」

 全国的に報道されてしまい、俺の顔は広がってしまった。・・・・・・あの顔で、さすがに出歩くわけにもいかないからな。

 「昨日は警官に連れていかれるわ、全国でニュース番組に出演するわで・・・・・・て言うか、警察に捕まったあとどうなったの?」

 「あぁ、簡単に言うと、能力者かどうか調べられて、何も無く終わった」

 「あ、普通に何もなかったんだ。けどアンタ、能力者でしょ? どうやって切り抜けたの?」

 「いや、今の状態だと俺は能力者と判断されないらしい。だから、調べられても能力者だってバレなかったし、謝られたな」

 「へぇ、そんなことあるんだ。じゃあ、アンタは今、普通の人間っていう認識でいいのかしら?」

 「そうらしいなぁ、と雑談をしていたら庭掃除が終わったわけなんだが、帰ってもいいか?」

 「うーんせっかくだし家の中はいる? 由紀も会いたがってるし」

 「・・・・・・由紀は元気か?」

 「えぇ、鬱陶しいくらいには元気よ」

 「まぁ、久々に来たし顔を出す程度のことはしとくか」

 「それじゃあ、私買い物行ってくるから由紀の面倒よろしくね」

 そう言ってそそくさとその場を立ち去る舞冬。

 「ったく、赤の他人に妹の世話を頼むなよなぁ」

 と呟きながら、俺は家の中に入るのだった。


 そうして俺が、家の中に入った瞬間だった。

 「おぉ! 今日は女の子なんだね! なんで今日は女の子なの?」

 「いや、まぁ色々あってな」

 「色々ってなあに? 教えて!」

 「うーん、俺が色々と有名になったから顔を晒せなくなったんだ。だから当分は、女の子の姿で生活することになる」

 「ふぅん、大変そうだね」

 「まぁ、大変だからな」

 「けど私子供だからわかんないや」

 「わかんなくていいと思うぞ」

 この少女の名前は柊由紀(ひいらぎゆうき)。舞冬の妹だ。やたらと元気で俺の能力を知っている数少ない人物の1人だ。まぁ、まだ子供だから知ってるが理解していないって感じなんだろうけど。

 「そういえばさ、奏音はいつお姉ちゃんと結婚するの?」

 「お前はいつも俺と舞冬を結婚させたがるな、てかそもそも付き合ってすらねぇよ」

 「だってお姉ちゃんと奏音が結婚したら私たち家族になるってことでしょ? それってめちゃくちゃいい事だと思うんだよね」

 「残念だったな、俺と舞冬が結婚するとこはない。絶対にな!」

 「えぇ〜、結構二人お似合いじゃん。なんで付き合わないわけ?」

 「お似合いっていわれても俺らはお似合いじゃないと思ってるからな。だから、俺らは付き合わないし結婚もしない」

 「じゃあ私が奏音と結婚する」

 「そんなことをしたら俺が舞冬に殺されるから勘弁してくれ」

 「殺されないよ、奏音最強だし」

 「あくまで能力を使っている時が最強であって、今みたいに能力を使えない状態だと最弱だよ。それを知っている舞冬は俺を殺そうと思えば殺せる」

 「じゃあ、私も殺そうと思ったら殺せる?」

 「まぁ、殺せるだろうな。・・・・・・だからって殺さないでくれよ?」

 「寝込みを襲って殺しちゃうかも」

 「・・・・・・勘弁してくれよ」

 そんな感じで、俺と由紀は会話をする。ちなみに由紀は能力者だ。・・・・・・だが、その能力を使うことはできない。なぜなら、彼女自身能力を知らないからだ。能力者かどうか調べる検査をした結果、彼女は能力者ということがわかった。・・・・・・だが、どんな能力かは判明していない。彼女自身が、どんな能力が使えるか分かってないから。まぁ、俺のように妙な能力でないことを祈るのみである。

 「なんか、結局ぐうたらしちゃったな」

 「なんかアレよね、もう一つの家よねココ」

 「だな、居心地が良すぎる」

 ちなみに由紀は寝てしまった。俺と話しすぎて疲れたらしい。

 「しっかしまぁ、なんでこんなにもアンタに懐いてんのかしらねぇ」

 「さぁな、どういうところが気に入ってるのか知らんが」

 「話しやすいとかじゃない?」

 「俺ってそんなに話しやすいか?」

 「正直、普通かしらね」

 「だよなぁ」

 「もしかしたら、最強の能力ってところが好きだったりするのかもね」

 「子供心くすぐられるだろうな。まぁだが、俺は今最弱だからな」

 「そうね、能力者と戦えばすぐにやられちゃうでしょうね」

 「最強であり・・・・・・最弱、か。なんか漫画とかでありそうな能力だよな」

 「確かにねぇ完全に主人公じゃない。けどまぁ、アンタそれなりの活躍してないけどね」

 「今回しただろ。人間を守ってテレビ出演して、有名人になったぞ」

 「言われてみれば、それも活躍といえば活躍ね。まぁ、アンタからしたら嬉しくない活躍なんでしょうけど」

 「・・・・・・まぁな。あの時、能力者から人間を守ったせいで今こうやって有名人になってる訳だからな」

 「けど、助けなくてよかったとかそういう事は考えてないんでしょ?」

 「どうだろうな、流石に考えてないと思うけど。俺が手を出してなかったら更なる被害が出てたかもしれないからなぁ。しかしまぁ、1番許せないのは撮影してたやつだよなぁ。普通に考えて盗撮だし、それを全国ニュースに流すって・・・・・・。駄目じゃないか?」

 「駄目でしょうけど、この国に住んでる以上許容しないといけないんじゃない?」

 「まぁ、それもそうだな。皆が忘れることを祈るしかないな」

 「大丈夫よ、皆どうせ一ヶ月後くらいにはそういう事忘れてるでしょうから」

 「どうだろうなぁ、忘れてほしいもんだが案外忘れられなさそうな気がするんだよなぁ。まぁ、これから女として生きていくんだし、ぐちぐち言ったって仕方ないんだけどなぁ」

 「覚悟できてるの? 女の子として生きる覚悟」

 「・・・・・・するしかないからな。だからしたよ、覚悟」

 「なんか皆が忘れてもアンタ女の子の姿でそのまま過ごしそうで怖いわね」

 「ワンチャンありそうだから否定できないな、それ」

 「まぁけどいいわよねぇアンタって。女の子の姿だとめっちゃ可愛いくなるんだもん。・・・・・・何このサラサラの髪」

 「やめろっての。なんか髪触られるとくすぐったいんだよな」

 いちいち髪を触ってくる舞冬を俺は冷たく突き放す。

 「はぁ、なんか腹立つわねぇ。世の中の女の子は必死に可愛くなろうと努力してるのに、アンタは一切努力してないんだから」

 「仕方ないだろ? そういう能力なんだから」

 「あーあ、可愛くなる能力とかがよかったなぁ」

 「それって能力者じゃなくてもよくね?」

 「確かに、言われてみたら」

 などと会話をしながら舞冬はテレビのスイッチを押した。

 「うーん、俺かよ」

 「アンタもほんとに大変ねぇ。けど、この騒ぎを見る限り、本当にアンタみたいな最強チート能力者ってこの世界にいなかったのね。アンタ以外にも一人や二人いると思ってたけど・・・・・・いないもんねぇ」

 「なんで俺だけそうなんだろうなぁ」

 「運がよかったとかじゃない?」

 「つまり、俺はラッキーってことか」

 まぁ全然ラッキーなんて思ってないわけだが。

 「けどよ、由紀が俺みたいな最強チート能力者だったりしたらどうする?」

 「そんなの、隠すしかなくない? それを公表したら面倒なことになるのは目に見えてるし」

 「確かにな、そん時はその選択が一番いいと思う。だが、自分の能力がなにか分からない能力者か。普通に考えてヤバそうだよなコイツの能力」

 「もう、怖いこと言わないでよ。私みたいにちょっと使えるくらいの能力であることを祈るわ」

 「・・・・・・例えばどんな能力だ?」

 「お金を生み出す能力とか?」

 「お前の頭には金しかないのか」

 と、頭の中金しか入ってなさそうな舞冬に俺はそう告げるのだった。

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