ダンジョン最深部はモンスターの住む街
「まず、冒険者登録しに行こうか!」
気まずい空気のあと、何もしゃべることが思いつかず、とりあえず女神倒すために強くなるにはどうするのか?という質問をしたところ、ダンジョンに潜るために冒険者登録をしよう、ってことで俺たちは黒龍のしっぽを出た。
驚いたことに、彼女の話は本当でここは大きな洞窟。ダンジョンの中にある街。地下だったんだ。話ではさっき聞いたが、実際に外に出ると太陽なんて存在しないずっと暗闇が支配する夜の街。どうゆう理屈か、天井のほうがうっすら光っているのが月あかりや星の光を思いださせる。町並みはよくある異世界モノな中世ヨーロッパ風のRPGって感じ。
「その、さっきはごめんね。ジョブも笑っちゃったし、能力低いとかいろいろバカにして。なんかずっと1人だったからこう、接し方がわからなくて、お姉さんのような頼りがいがある方が安心するかも?っておもったりもしたんだけど、なんかよくわからなくなっちゃって…」
「い、いや。いいよそんなの。俺だってなんか初対面のくせにいろいろ言っちゃったけど、お互いさまってことで、てゆーかいつから1人だったんだよ!まさかギルドマスターになってからずっと、ってわけじゃないんだろ?。」
「いやぁ、私みたいな元人間と一緒にいてくれる人なんてそんないないからなぁ。ほぼぼっちかな?」
あはは、と乾いた笑いのアイシャを見ると、確実に長い間1人だったんだろーなぁ。という印象がある。
どんな気持ちで俺を異世界から呼び寄せたんだろう?なんていったあとだからか?
花嫁にでもなんでもなる!なんて言った後だからか妙によそよそしい態度を取られると、こっちもなんだか調子が狂う。てゆーか、今まで無理してたのか?こっちの方が素だとしたら、けっこう可愛い普通の女の子なんじゃないか?
歩きながら町を見ると、驚く事ばかりだった。歩いているのは基本モンスターばかり。ゲームで見たことあるようなモンスターがそこらへんにあふれている。そんで、普通に人間のように生活してる!
「あまり、キョロキョロしないようにね、変に刺激するとよくないから」
町の中で人間の姿をしているのは見事に俺たち2人以外いない。町人から見たら俺は人間だし、本当に人間と争っているならギルドマスターのアイシャがいなければ今頃肉の塊かもしれない。
「あ、あぁ。わかった。そうだな、ジロジロみちゃ失礼だよな!でも、本当にここは人間がいないんだな」
「当り前よ。ここは黒のダンジョン最下層にある町だもん。人間がいるってことは私たち魔族やモンスターは全滅して占拠されたってことになるわ」
「ダンジョンの最下層⁉ここがさっきアイシャが言ってた魔界ってことなにか?」
「えぇ。ここが魔界、と言われているダンジョンの最深部にある街よ」
ちょっと聞きたいこともあるが、街並みやその辺の露店まで、いろいろなものが珍しくてついつい目がいってしまう。
「ここは通称黒のダンジョン。私のようなコアになる魔族を中心に、モンスターさんが集まってきて生活を共にする。そして外部から財宝を狙いに来る人間どもを盗伐し、装備品や捕まえた人間を売って利益をだす。それがこのダンジョンの大雑把な説明かしら」
人間を売るってすごい発想だな。でもさっきは人間側もモンスターを奴隷にするっていうんだから同じ理屈か。
「アイシャは魔族なの?」
「魔族じゃないわよ。さっき話した通り元々は人間。しかも聖王国の巫女だし。ただ、黒龍のしっぽの前任のギルドマスターから、このダンジョンの運営、守護を任されたからなんとなく気持ちはもう魔族かな。ほら、死ねない体になっているからアンデットの上位族の不死者になるのか?昔は人間、今魔族って感じ?」
「前のギルドマスターさんは?」
「死んだわ。ドワーフ族の戦士だったんだけど、200年ちょっと前に人間と相打ちになって‥‥」
「そうか、それは残念だったね。勇敢にたたかった人なんだな。俺も強くならなくちゃ。(豚や牛ではなく人間のアイシャと結婚するために)」
違う世界から来たとはいえ、元は俺も人間。むしろ気持ちは今も人間。この世界の人間が俺をどう思ってるか知らないが、人殺しを異世界でするとはなぁ。ぼんやりと考えてながらアイシャの後ろを歩いていると、急に立ち止まり手招きをしている。どうやら到着したらしい。他の建物よりもかなり大きな建物。入り口には見たこともない言葉で『冒険者ギルド~黒龍支店~』と書いてあった。見たこともないのに読めるのが不思議だ。
扉は半開きで、中を覗き見るとそこは夢にまで見たアニメやゲームの世界とそっくりな冒険者ギルドだった。
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