っぽい人
「ありがとうももっち!」
後ろからアイシャが飛びついてきた。俺の腕は、ついてる。大丈夫。黒影龍様に認めてもらったっぽい。
「私はアイシャ。ここのギルドマスターよ。わからないことがあれば、何でも言ってね?これから二人で頑張っていきましょ?また仲間ができて、私とても嬉しいわ!」
「あ、あー。こちらこそよろしく。アイシャってギルドマスターなのすごいな。若いし。その、綺麗だし。美人だし。それに魔法使えるし。」
2人で頑張っていこう。というキャッチフレーズは多感な男子高校生には破壊力が抜群だ!俺はもう目の前にいるアイシャが気になって仕方ない。はしゃぐ姿はかなり攻撃力が高く、布面積が少ない服がゆれるゆれる…。よく見え…そうになるおっぱい。太もも。男子高校生は理性が爆発寸前です。
「いや、その、ももっちってゆーのはあだ名みたいなもので、名前って変えられるかな?」
ここはゲームの世界に似てるって言ってたし、リセマラみたいにできたらラッキーだもんな。召喚したところからやり直し、みたいな感じでイケるか?
「無理よ、一度契約し決定したステータスを更新してしまったらもう修正はできないわ。…まさか、黒影龍様に嘘をついたの?」
数秒前の明るい笑顔が消えて、急に冷たい表情が怖い。え?俺は何の地雷を踏んでしまったんだ?そこまで怒るところでもなかったろうに。
「いや、嘘ってことじゃないんだけど、つい興奮して名前というか、プレイヤーネームを叫んじゃって、変更できるかなぁー?って思ってさ」
「とにかく嘘じゃなければいいんだけど、ほら、見て。こうやるのよ。ももっちって書かれているでしょ?」
そう言いながらアイシャは、俺の右手を持ち、人差し指を下にクイっと降ろす素振りを見せた。それと同時に目の前に変な画面が表示された。ゲームで見たステータス画面そのものだ。
当然ながらレベルは1.名前はももっち。ジョブは…。ジョブは?気になるジョブはなんだ!?ステータス画面を見るも、魔法使い、剣士、精霊使いなど気になる名前はどこにも書いてない。
「アイシャ、ジョブってどこに書いてあるのか教えてくれる?」
「ジョブは名前の下に書いてあるはずよ。攻撃系なら武器のマーク。魔法系なら杖のマークとか、なにかマークとジョブの名前っぽいものがない?」
「名前のとこ?」
とりあえずマークを探すも見当たらず。
「アイシャ、どこにもマークがないんだけど、ほんとにここ?書いてあるのは、ももっち・・・っぽい人?。」
「っぽい人?何それ?」
「知らねーよそんなん、こっちがききたいくらいだわ。名前の下のところに書いてあるんだよ、これしか書いてないからもうこれ以上はわかんないよ」
投げやり気味にソファーに倒れこむ俺の隣へアイシャはステータス画面を確認しに来てくれた。
少し画面を見渡した末に出た言葉が、
「ほんとだ。ない。ってか、なんで『ももっちっぽい人』なの?あなたってももっちじゃないの?」
人のステータス画面見て急にソファーの上で笑いだす彼女。本名じゃなくて、プレイヤーネームで誓いを立てたから他人じゃないけど本人でもない、という絶妙な感覚で登録したが故に、【っぽい人】という変な肩書を手に入れてしまったのか?
「アイシャ、これ大丈夫なのか?過去にこんなことあったの・・・か?」
心配で仕方ない俺とは真逆に、まだソファーで笑う声がこれから俺が世話になる黒龍のしっぽホームに響いた。ステータスの数字にも補正が入ってないし、こりゃハズレジョブなんだな。きっとそうだわ。
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