ステータスが低くてもジョブがある
「落ち着きましたか?」
「…あい」
地面で膝を抱えて涙が枯れ果てた具合で、女は声をかけてきた。
「悪かったよ、急に泣き出して、その、なんだ。情けないと思われるかもしれないが、ずっと、憧れて、楽しみにしてたんだ。魔法を使える世界なんて。今まで俺、ずっとリアルじゃ村人Aみたいな生活だったから、魔法が使えれば冒険者や勇者や魔王みたいになれて、仲間がたくさんいて、むちゃくちゃ強いモンスターと戦ったり、美味いもの食って、可愛い女の子とよろしくして、楽しい人生が始まるんだー!!って、一人で浮かれてバカみたいでさ。・・・また、・・・また村人生活かよーーって思うと涙が・・・」
1人で語りだして、勝手にまた肩を震わせ涙がこぼれてしまう。子供のころから見てたゲームやアニメの世界に生まれ変われたのに村人は村人のまんまなんだ。
顔面をまた下に向けてプルプルと体を震わせていると、男のむせび泣きしている部屋の中で足音が響いた。
その音は、ゆっくりと、少し、また少しとこっちに近づいて、俺の少し手前で止まった。
「そんなに自分を悪く言わないでください。私は、あなたの事を身体を捧げて転生魔法で呼んだんです。一緒に頑張りましょ?ね?」
優しい女の声は、俺に語り掛けてくれた。鼻水垂れ流して服が汚くて膝抱えてプルプル震えてる俺には天使、いや女神様のようだった。
「俺、生きていけるかな。役に立てるのかな。村人Aなんだ。村人Aなんだけど肉の壁以外で何かここで役に立てるかな」
「むらびとえー?っていうのが私には何言ってるかちょっとわかりませんが、大丈夫。無茶しなければ死にませんよ。」
優しい諭すような声で、語り掛けてながら肩をポンポンと叩いてくれたのが妙に安心する。
「それに、基本パラメーターは低いですがジョブ補正の追加ポイントがありますから、まだ完全に諦めないで大丈夫ですよ」
「えっ?」
ジョブ補正?追加のポイント?なんだそれは。今まで聞いたことない言葉出てきて声が漏れてしまった。
とりあえず汚い体液を服で拭いたら、改めて目の前にいるこの世界の住人1号さんを上から下までよぉーーく見させてもらった。
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