猫娘が最強?
(し、視線が痛い)
冒険者ギルドの中は無言だった。ただ、360°全方向から視線を感じる。明らかに敵意のある視線だ。
俺はアイシャの後ろを無言でついていくことで精一杯。例えていうなら、不良の群れの中を歩いている感じだ。人外が相手だから怖さが増してるぞ…。
そーいや、不良のアニメとかだと、こんな時
「おい!お前人間だろ!ナニモンだお前!」
お決まりだよね。この展開。
アイシャの向こうから大きな声が聞こえた。心なしか地面が揺れた気もする。アイシャの動きも止まった。
ついでに俺の動きも止まってアイシャの小さな背中に隠れようと縮こまっている。空気を読め獣!今絡んできてもロクな事ねーぞ!
「アイシャ!なんとか言え!」
続けて放たれる攻撃的な口調は場内に響き、他のモンスターさんの注意を集めるにはじゅうぶんだった。
静かだった場内が、少しづつざわめき始め、ヒソヒソ話、なにかで床をたたきつける音。鼻息に、明らかな殺意の視線。視線を合わせたら死ぬ。アイシャの背中以外を見たら、死ぬ。本能がそう言ってる。
「この人はももっち。我が黒影龍様に認められた黒龍のしっぽの一員よ。黒龍のしっぽに加入した以上、ここに住む者だれも彼に危害を加えることを許されないわ」
どよめく声が聞こえる。不思議とここの世界の言葉、しかもモンスターの言葉も理解ができるみたいだ。これが黒影龍様の加護ってやつなのかもしれない。
「掟には従う。・・・が!!」
どぉぉおおお・・・ん
床が揺れた。いや、地震のような、地面が波を打ったようで、俺は体制を崩して膝を地面につけてしまい、その反動でアイシャの向こうに立っているなにかを見てしまった。
それは恐怖そのものだった。始めてみるモンスター。VRゲームで見た物と全く違う。荒ぶる呼吸。揺れ動く呼吸モーションはゲームのものよりもずっとリアルで、肌の質感は獣そのもの。
人間の体に近い構造ではあるものの、その身長は約3メートル。緑色の肌。筋肉に覆われた体。大きな日本の角。口元には鋭い牙。手には巨大な斧。ゲームでは防御も攻撃もTOPクラスのモンスター。オーガだ。そんな奴が今、手を伸ばせば捕まっちまうくらいの距離の場所で敵対心むき出しでこっちを見ている。
俺たちを囲むように大勢のモンスターが集まってきているが、うちのギルドマスターも譲る気はないらしく、お互い無言で睨み合っている。
「はいはい、そこまでにしてくださぁーい。」
鈴の音が場所に響くのと同時に、若い女の声がその場にいる全員を静止した。
「リン困っちゃうんだよなぁ。ここで喧嘩されてギルド壊れちゃったら明日から無職だからさぁ、どうせなら人間殺してアイテム持ってきてくれた方が嬉しんだにゃあ?」
パンパン。と手を叩いて群衆の中から現れたのは人間の姿をした女の子だった。名前はリンというらしい。人間の姿、というのはベースの話で、よく見ると尻尾と耳が生えている。いいとこ猫系のモンスターなのだろう。しっぽには大きめのリボンと鈴が付いている。
「ちっ。しらけんなー」
「リンが来たらおしめーだな」
「おひらきおひらきー」
「ダンジョン行ってくらぁー」
俺たちを囲んでいたモンスターがぞろぞろとおとなしく散らばり始めた。あの少女が来ただけで、これだけ大勢のモンスターをまとめ上げるとはすごい。
「まためんどくせーのが出てきやがった。」
「今日アイシャさんは私に会いに来てるんで、教育的指導ってやつはまた今度見てないところでお願いしますにゃ」
オーガは嫌な顔をした後に、ゆっくりと、俺たちが入ってきた入口の方へ歩き出す。
「クソ人間、覚悟しとけよ」
俺たちの横を通り過ぎる最中、オーガはその巨体に似合わない小さな声で明らかな殺意を俺にぶつけて外へ出って言った。
「た、たすかったぁ…」
俺は情けなくとも、その場にへたり込んでしまう。初めて見た生のオーガ。しかも攻撃する気満々でこっちをにらんでくるなんて、さっそく俺の異世界生活が終わったかと思った。
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