出会いはいつも最悪なんだよ
11月18日、初投稿です!
異世界転生ってどんな感じだろう?ダンジョンに転生されて人間を狩る側ってどんな感じだろう?と思って書き始めました。ダンジョンを極めるとかではなく、ダンジョンに転生、モンスター側の世界で個性的な仲間とスローライフと思いきやバトルがあったり自由気ままに生きていく話になると思います。
12話までは出会いと冒険者ギルドにいくところまで。13話以降はダンジョンへ初潜りになります。現在13話までしかないのでその先はまだ未定です。初めての作品ですのでところどころ強引な部分もありますが、あたたかいめで見守ってください。
「見た目はいいのにおっぱいがちょっと…」
「顔はいいのにパラがちょっと…」
お互いに顔を合わせた時、第一声は最悪だった。
お世辞にもきれいとは言えない場所。散らかっている、とかではく『ボロい』のだ。
風が吹くとカタカタ音を立てる窓。
隙間風が吹いているのか、扉は締めているのに風を感じる。
家具も汚れているとかではなく、古臭い感じがする。
まぁ、そんなところで俺は運命の女と最低の出会いを成し遂げた。
なぜ今こんなところにいるかというと、簡単に説明しよう!俺は死んだ。享年17歳。今日大人気ゲームのパクリが発売され、ちょっとエッチ要素があるってことで気になって買いに行くところだった。そこで信号待ち中の交差点に飛び込んできた車と壁に挟まれたんよ。ぺちゃんこにされて死んじまった。
あ、ちなみに最後に見たのは真顔でハンドル握って突撃してきたハゲジジィの顔ね。マジ最悪だわ。
そんな俺を哀れに思ったのか、買いに行こうとしたゲームの世界とそっくりな異世界できれいなお姉さんが困っている、というどこからともなく聞こえた神(だと思ってる)からのお告げにOKしてわざわざ助けに来た!って感じ。
さっきまで死んでたからか、なんかフワフワした感覚だったんだけどさ、体の感覚、立ってる感覚や、この場所の空気のにおいや雑音なんかの雰囲気がわかってきたから目をあけたら、目の前にお告げ通り女の子がいたってわけよ!
「パラ?ちょっと待ってくれ、いきなり言われてもパラってなに?わかんないって説明してくれよ」
急に死んで急に知らない世界にまた産まれちゃったばかり(しかも赤ん坊からじゃなくて17歳からの途中スタートだし)で何もわかんない。テレビで見てた異世界転生ものと流れがちょっと違って、トントン拍子で進まないもんだなぁ。
「パラって言うのはパラメーター。…そういえばステータスとか能力値っていうかな。わかりやすい言葉で言えば。ようはあなたの能力ってこと」
「あー、なるほど!ステータスね、OKOK、理解できたよ」
ゲームにそっくりな世界に転生できる、と言われたけど、ステータスがあるのか。なんかゲームっぽいじゃん!急にワクワクしてくっぞ!
「まぁステータスがあるってことはやっぱり、当然魔法やスキルがあって、使えたりしちゃってバンバン敵を倒していく?…みたいな感じでしょうかねぇ?」
興奮して思わず敬語になってしまった。魔法やスキルが使えるって激熱じゃん!スライムが魔王になったりするやつや、ダンジョン探索してる異世界もの好きだったんだよー!!都市を壊滅させる大魔法やめちゃくちゃ強い武器にチートスキルで第2の人生って最こ…。う…。??
「えぇ、使えるわ。スキルも、魔法も。光よ」
彼女は手を前に差し出し、手のひらを上に向けて何の躊躇もなく、会話の流れで目の前にバスケットボールくらいの大きさの光る球を出して見せた。
産まれて初めてみた魔法、光る球に俺は一瞬で心を奪われた気がした。ここは現実であって現実ではない。憧れた、ゲームの世界なんだ、俺は村人A同然の人生を送るはずだったのにジジィのおかげで素晴らしい人生を手に入れたんだって。
ただ、どうしても気になることがある。
「俺も、使えるかな」
「無理ね」
「修行が必要ってやつか?そりゃ急に魔法が使えたら苦労しないよな?そうだろ?」
「そうね、その可能性もあるわ」
「それじゃ俺にも教えてくれよ!そのまほ」
「無理よ。あなたのステータスは低くて期待できないわ」
俺の言葉をさえぎって帰ってきた言葉は予想通りだった。初めてこの世界で聞いた言葉は良かった。
『顔はいい』
モテ期きたー!!と思ってガッツポーズで喜ばせてもらったのはたった2秒。
『パラがちょっと』
っていうのが気になった。ステータスが最高に高い、もしくは恵まれているならもっと明るいお出迎えなのにだいぶご機嫌が悪そうなお出迎えだったから覚悟はしてたんだけど…。
(適性が悪いのか?相性が悪いのか?魔法使えないけど剣は最強とか、スキルがチートとか、…。俺レベリング頑張るよ、異世界ハッピーライフしたいよー!)
俺は崩れ落ち、その場で膝を抱えて流れる涙を隠し胸の奥で絶叫した。