世界、貰えました。
「お前はもう大丈夫そうだな、よし、決めた。お前に世界を1つ預ける。その成果によって神の序列が決まる。好きにやってくれて構わないぞ」
「わかりました!!ありがとうございます!!」
女神歴200年、ついに僕も世界を1つ預かることが出来ました。
───僕は女神。女神としての名前はないので、みんな僕を見た目から判断して『ロリちゃん』と呼ぶ。
さっき僕に世界をくれた人は最高神アーチェ様。最高神とついている通り、偉い人なの!
えへへ、僕の世界はどんなものかな〜?
神の目を使って空から見てみる。
「え!?!?!?」
うっそでしょ!?なんも無い!!なんにもない!!僅かな人類が生き残ってるだけだ!!!
………そういうもんなの?…そっかぁ…。
でも、少しだけだけど人類は生き残ってるよね。
人類のためにも、僕、ここを発展させてみせる…!!
そう覚悟を決めた僕は、まず残ってる人類に話しかけることにした。
だけど、僕の見た目は珍しいんだよね…。
腰まである長い白髪に途中から黄緑色のグラデーション。目は左は白。右は緑。レースっぽいカチューシャ。
…このままだと駄目だね。さっき見た限りではだいぶ汚れている洋服を着てたから、僕の服装だと浮いちゃう。
「【物質創造】…よし、これで汚して…」
神なら誰でも使えるような【物質創造】を使って泥や土を生み出し、同じく生み出した新しい洋服に着替え、べたべたと付ける。
「【物質変換】今度は髪にべたべたっと」
私の髪をサラサラからべたつくように変化させる。
…これで大丈夫、かな。
生き残っている人類が集まっている洞窟に、あたかもたまたま見かけたように振る舞い、声をかける。
「…あ、ぁの…」
「…嬢ちゃん…?可哀想になぁ…」
「ぇ?どういう意味、ですか…?」
ちょうどいい。なにがあったのか聞く機会だね。
「"アポカリプス"が起きたのよ。その時、世界中に影響が及ぶぐらい大きな爆発が起きたの。その時、私は爆心地から一番遠いところに居たからよかったのだけど…」
「俺は地下に居たからな…。他のやつらも遠いところにいたか、地下に居て助かったかのどっちかだったな。爆発は地下には影響が及ばなかったからな」
なるほどね…。生き残ってる人類を数えてみる。
…100人ぐらいかぁ。ちっちゃい子もいるし、老人もいる…。
はぁ…。さっき神の目を使ったとき、ここ以外には屍が積み上がっていた。
どのくらいの人が死んじゃったのか、考えたくもないなぁ。
「そっか…。ありがとね。これ、あげる」
小さく【物質創造】を唱えてしばらくは持つ量の食料や水、あとは一応魔力回復ポーションをたくさん置いておく。
「それじゃ、また」
「は、おい、待ってくれ!!」
ダッシュで逃げて、もう見えなくなってそうなところで天界へと帰る。
もちろん、髪はいつものサラサラなやつに戻しておいたし、服も元のやつに着替え直した。
最高神様、どこだろ…あっ!!いた!!
「最高神様最高神様最高神様〜!!!!」
「うわぁっ!?どうしたの!!?」
最高神様の最初の言動はキャラ作りなんだよね!今が素なの!別に、キャラ作らなくてもいいと思うんだけどね…。じゃなくて!
「貰った世界について聞きたいことがあるの!」
「え、えぇと…なんだい?」
「なんでアポカリプスが起きてるの!?前に管理してた女神はいないの!?!?いたら絶対見逃して無いはずだよ!!なんで?!ねーねーなんで!!!」
「とりあえず落ち着いて…。」
「落ち着いてます!!」
僕はただ質問しただけだもん!!どこを見て判断してるのかわからないなーー!!
「そうだね…そうなるのも無理ないか。アポカリプスが起きた原因が知りたいんだよね?」
その質問にこくこくと頷く。
「端的に言うと、管理する神がいなかったから…だね。」
「???」
管理する神がいなかったから?なんでそれだけでアポカリプスが起きた原因になったの?
「魔法が使える世界は特殊でね。体を巡る魔力はどこから生まれてると思う?」
「人の感情から…?」
「そうどの異世界も教えられているね。でも、違うんだよ」
えぇ…。僕が勉強した時は人の感情から生まれるって書いてあったんだよ…。人間が"幸せ"を感じた時に多く魔力が空気中に生成されて、魔力が減った人の元へ回復させに行くって書いてあったの。
でも、それじゃ違うらしいんだよ!
「ふふ、ロリちゃんは世界の中に入って勉強したもんね。現地で触れたほうがよく覚えれる!っていって」
「それとこれになんの関係があるの」
「もちろん、関係はあるよ?異世界と天界じゃ書かれてる内容が違うんだよね。」
つまりは、天界で勉強してればアポカリプスが起きた理由を発見出来た。そういうことだよね?
「体を巡る魔力の源は、その惑星の内側…中心部に近いところにある炎なんだよ。」
「炎…?」
「うん。炎が中心となっているから四季があるの。炎が通常通り穏やかなのが春。炎の温度が大幅に上がったのが夏。春より少し温度が下がったのが秋。炎の温度が大幅に下がったのが冬だよ」
「中心になってる炎が地上にも影響を及ぼしてるってこと?」
「そう!ロリちゃんは飲み込みが早いね。炎がその通りに働く為には"神力"が必要なんだ!」
神力…それなら僕も知ってるよ。神全員が持っている力のことだね!
「知ってると思うけど、"神力"には全てを落ち着かせる効果がある」
「だから、その力で炎を落ち着かせるってこと?」
「その通り!だけど、管理する神がいないと神力がないから、暴走したまんまなんだよね」
「そうすると地上にうまく温度がいかないから、内側でこもって大爆発が起きたってこと?」
「そう。それを俺らがアポカリプスと呼んでるだけなの」
「理解できたよ、ありがとう」
「どう致しまして〜」
ふむふむ。つまり、僕の前に管理してた神はいないって事ね…。
なら、もう遠慮する必要はないや。
前に管理してた人がいるなら、その人がどうしたかったのか聞いて、それに合うようにしてあげないとダメだからね。
うーん…拠点、だいぶ補えてはいるけど、きちんとしてはない。いつまでも洞窟じゃ具合が悪くなっちゃうもんなぁ。
最初は家作ってあげよ〜〜!!!後からどんどん出来たりするけど最初のうちはできないからね!!!