86話・頑張りましょう
「最近どうしたんですか?」
「なんか、なんか書けないんだよ」
「だから人が離れるんですよ」
「離れるっていうか……みんな過去作の方見てない?」
「そりゃ再構成の癖にこっちの方が……ねぇ」
「さぁ、みなさま!! 勝負の開始!!、盛大な歓声をもってお出迎えください!!」
ところで、絢の頭には(これを言っているのは誰なんだろうか……)ということが思い浮かびつつ、勝負という事でその場に上がる。
「今回のお題は、事前に観客の皆様から応募していただいたもののうち、3つを作成してもらいます!!」
その3つが明かされるよりも前に再び観衆か大きな声が上がる。
「さぁ、一つ目はぁ……」
そう溜めながら箱をガサガサし中から一枚の紙を取り出す。
「書かれているのはぁ、槍だぁ!!」
なにがそこまで彼らの心を盛り立てるのか、その言葉だけで歓声はさらに大きくなる。
「ルールは簡単!! 事前に用意しているこれらの素材を使って、お題に沿ったものを作成してください!! 制限時間は1時間……初め!!」
その掛け声と同時に、アリア君と絢が動き出す。
素材選び、火の調整、アリア君の集中は非常に深くまで潜っていたものになっている。そんな姿を横目に見ながら、一切手加減をしない絢がその手を動かす。
二人の作業に向ける視線が周囲にも伝わったのか、いつの間にか歓声も収まっていた。
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ふと絢が顔を上げる。
作業が終わり、横を見ると、鉄を叩いているアリア君の姿があった。
「はぁ、はぁ、できた……」
時間は30分ほど、二人ともが自らの作品を完成させた。
そうしてアリアが作り上げた作品を前に絢が声をかける。
「お疲れ様です、良い物を作りましたね」
「つ、疲れた……」
「次はその集中が長く続くするようにしましょうね」




