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70話・悲しみはほんの少しの嬉しみで簡単に溶けるんです

「唯さん、僕たちを主題とした閑話はもうつくられないらしい」


「どういうことですか!?」


「絢さんが僕たちに会うまでにこれ以上の情報を書くのはなんとかかんとかって……」


「絢様早く来てください!!」

「まぁ、聞いて答えてくれるなんてことはないですよね……」


 今までのことを何も気にしていないかのように、絢はその少女に目線を合わせる。


「何が怖いんですか?」


 絢の後ろで「カチャリ」と音がする


「なにが悲しいんですか?」


 音の場所から、軽い衝撃波と小さな爆発音、更に鉄の塊が飛び出る


「何が嫌なんですか?」


 放たれた鉄の塊がその勢いを失い、地面と共に高い音を響かせる


「……!! ……!!」


「喋れないんですか?」


 絢の横から大砲に点火される……


「質問ばかりでは楽しくないです、貴女も答えてくれませんか?」


 発射された砲弾はほぼ反射で展開された障壁で防がれ、少女や絢には埃一つついていない……


「……!!」


「?」


 少女が何か力んだかと思うと、絢の足元が「パカッ」と開き、その下には棘の山が……


「家族がいなくなるのが怖いんですか?」


 棘の上には障壁が張られ、まるで足場のように機能していた……


「それとも、家族が死んだと聞くのが怖いんですか?」


「……!? ……!!」


 図星か、それとも平然と生き残る絢に驚いたのか、上から正確に穴をふさぐ罠が上から落下した……


「家族が死んだと聞くのが怖いんですね」


 上から降ってきた罠は絢の手にバラバラに壊されていた……


「私の所に来ませんか?」


 落とし穴の下が急に上空へと上がり始め、天井へと衝突……室内に一本の柱が出来た。

 絢はステップで前へと着地することで事なきを得たが、そうでなければ潰されていた可能性もあるだろう。


「私は絶対に死にませんよ」


「……!! …………、……」


「私にはあなたの悲しみはわかりませんが、この手を取るなら二度と悲しまないようにはできます……」


「、…………」


 絢がその少女に右手を差し出す……

 少し戸惑いながらも、困惑しながらも、勢いに負けてか、それとも一番欲しい言葉を受けてか、少女も右手を絢に出す……


 絢の手に少女の手が重なると、少女の体からは一気に力が抜けてしまう……


「頑張りましたね……」

「ただいまです」


「誰だそいつは」


「あの屋敷で見つけた子です」


「……親御さんいるだろ、返してこい」


「いないですよ、たぶん」

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