68話・広い、長い、そろそろゴールを教えてください
「そろそろ足が棒です……早く終わらせようにも、原因もわかりませんし……どうしましょうか……」
屋敷に入ってから絢の体感時間で約3時間、300の階段を上り下りし、900の扉を開けた
それでも絢の脳内マップは完成していない
「……さすがに長くないですか?」
長いというべきか広いというべきか、何度も何度も同じ場所をさまよっているせいで普通なら数えるのも億劫になりそうだが、今絢がいる食堂はこの屋敷に入ってから20回目だ
「帰りたくなってきました……」
最初の方を読んでいた人ならわかるだろう、絢の体力は本来かなり低い。
どのくらいかと言うともし絢が体力が尽きたら動けなくなる普通の感性を持った一般人なら、1m歩けば1時間は休憩が必要なほどだ。
(さて、どうしましょうか……)
流石にこのまま続けるのは体力の限界だ、解くことで、絢は次の策に出ることにした。
「分体を使いましょう」
することは簡単である、分体を作り、分かれ道が現れればその数だけ新しく分体を作り、片っ端からマッピングしていく方式だ、そうすれば理論上そのうちマップは完成するはずである。
という事で早速実行する。
すぐに食堂にある二つの扉に分体を向かわせる。
視界の共有は外で世界を探索している動物たちと同じ方式、体を動かすのは動物と違って人体だからこそ簡単だ――ふつうは二つ以上体を動かすことはできないなんてことは言ってはいけない……
「何でしょうかこれ……」
それからは非常にスムーズに進み100分岐目、壁に謎の数字が書かれているのを見つける。
「そういえば……」
今更になって絢は依頼内容の一部を思い出す。
今まで噂などに引き寄せられて屋敷に入った物が出てこないことが多いらしく、その者たちの救助も「できれば」してほしいとのことだ……
「これから探し出すんですか?
嫌なんですが……」
分体と言いつつどれが本体なのかなんて聞いてはいないのである。




