67話・どこかで見たような……したような……
「……」
「……」
「……」
「……」
「何かしゃべってくださいよ」
「もちろんの如く、間取り図は役に立ちませんね……」
最新のはずの間取り図によれば、扉に入れば目の前に明らかに豪邸とわかる広さの玄関が広がっているはずだった……が、絢の目の前に広がる光景は扉と階段、左右に広がる通路の先も扉で閉じられていた。
とりあえず階段を上ると、その先には……
「どこかで見たことがある気のする間取りですね……」
さらに上への階段と左右への通路、階段の隣には閉じられた扉、ついさきほど見た間取りが陣取っていた……
「――面白いことが起きていそうですし、降りてみましょうか……」
その言葉の通り、階段を降りると本当に面白いことが起きていた……
如何にもこういう家系のダンジョンでありがちな……、行って帰ってきたら間取りが変わっていたのである。
しかも出た先は、なんと風呂場である……
「最初の段階で開くかどうか試せばよかったですね……」
一応その先を開けても浴槽しかなかったため、そのまま降りてきた階段を上ると風呂があった……
作りは今と全く同じ、出口と言えるものはなく、確認だけすれば特に意味はない
もう一度階段を降りると、そこには風呂があった……
「……、」
なんとなく嫌な予感を感じた絢だったが、そのままもう一度階段を上る……と、風呂があった
「暗に風呂に入れと言われている気がしますね……」
何もせず引き返し、半分ほど階段を上ったところで過去に3度みた床を見る……
「……、」
絢は何も言わず無言で引き返した……
その後も何度か風呂に誘導されたが、やっと浴槽以外の場所に出たと思えば、その先の光景はまたも階段に扉に廊下に……入ってすぐに見た光景が広がる
「次はこちらに行きましょう」
今度は階段の隣にある扉を開く
中は書斎、元々の持ち主はちゃんとしたものを持っていたのかもしれないが、最終的には全て持ち出されたのだろう、書斎にある本も書類も全て白紙だ
書斎と言うことはもちろん机があり、机には棚がある……、3つある棚のうち上の二つは空っぽだったが、一番下には何か入っていそうだ……鍵がかかっているが……
書斎の上にはインクとペンがあり、本に書き込もうとしてみる……が、インクには色もあり液体であるはずだが、ペンにインクがのらず、ひっくり返しても中身が出てくることはなかった……
「当然のように耐えますね、木ではないのでしょうか」
開かない鍵を前にいきなり炎を放った絢だったが、木造なのは間違いない、間違いないのだが……机も壁も何も燃えない
「……」
とりあえず、それ以上書斎に留まる意味もない
扉を開けて戻ろうとすると、その先にはキッチン、この大きさだと厨房と言ったほうがいいだろう
この部屋にある物も書斎にあるものと同じく、包丁には刃はついておらず、窯に火はつかない。
その後も図書室に食堂に、トイレ……に、機能を失った部屋をいくつも通り過ぎると、再び……
「また戻ってきましたね……」
「それにしても……上下を返しても落ちないインクってどうなってるんでしょうか……」




