64話・嘘をついた?いえ、決まってないだけですよ
「頭痛い……人が二日呼んで寝込んでるってのに、一体何なんだ……」
「……何をしてるんだ?」
そういったエキドナの目には、地面に横たわる知らない男とどこからか帰ってきた絢の前で怒られて正座をしているリアの姿が映っていた……
「ああ、エキドナですか……、お帰りなさい、何をしてたんですか?」
「お前……、『お帰りなさい』とか言えるんだな……
――じゃなくて……、これはどういう状況なんだよ」
理解不能な状況を少しでも理解しようと現状説明を絢に求めたところで、目の前で横たわっていた男が起き上がった……
「痛ってぇ……」
「貴方、打撃効かないでしょう」
「威力ってか、気迫が痛いんだよ」
「……?」
「分かんないよな、知ってるよ……」
ふとその言葉に視線を向けたエキドナと男の視線が合う……、二人は数秒見つめ合い、唐突にぐっと互いの手を握る。
「こいつの名前はなんて言うんだ?」
「あー、そういえば決めて無かったですね……、要望はありますか?」
「名前なんて何でもいいだろ?」
「ではアトラで」
「分かった」
聞いたのは自分だが、淡々と適当に決まることに、思わず「それでいいのか……」と呟いたが、本人たちはそれで良さそうなので問題にするべきではない。
エキドナは空気を読んだ……?
一度その話を思考の果てへと追いやり、気になることを一つ質問する……
「そういえば、目標金額までどのくらいなんだ?」
「何の話です?」
「巨大な商会を作ると言っていただろ、それを達成するための目標金額だ」
それを聞いて絢はやっとエキドナが聞いたことに思い至ったようで、その答えを述べる。
「あー、調べないとですね……」
「おい!!」
「……最低でも金貨50枚以上、今の資金はその半分以下、今から調べれば間に合いますよ」
「お前……嘘をついたら一発殴らせろ」
「良いですよ」
その瞬間、エキドナの拳が絢へと向かう……
「防ぐな!!」
エキドナの拳は、絢とエキドナの間に貼られた障壁によって、その動きを止められていた……
「嘘をついたらという事に同意したのであって、今に同意したわけではありません」
「やると言ったことを忘れていたことは嘘にはならないのか?」
「嘘はついてませんし、忘れても居ませんよ」
「なら先ほどの言葉はなんだ!!」
「情報が足りないのであって、貯めていないわけではありません」
そうして大声が増えたことで、奥からフードを被った少女が姿を現す……
「頭いてぇんだよ、叫ぶなよ……」
力ないそんな言葉の後の嘔吐の音で二つの大声が止まることとなった……
「また床の汚れがぁ~!?」
「先輩、落ち着いてください!!」
「ああぁぁぁぁぁ……」




