60話・このつまらなさは、物語の引き延ばしのような……
「話が進まないのはどうなってるんですか?」
「色々と戦闘描写の方式を変更しようと考えてまして……」
「なら過去話が書き直されてないのは?」
「完成してない方式を採用したら読みづらいかもしれなくないですか?」
「やってみないとわからないでしょう」
「……すみません」
「依頼のダンジョンはここですか……」
山の中にあるただの穴、確かにその中は全く光を通さない暗闇だが、一見でダンジョンだと見分けるのは至難の業だろう。
とは言え、つい最近まで人が手を加えていたとはいえその最上位らしき場所にいた絢は少し心配をしていた……
「楽しいといいんですが……」
その心配は、最後の最後で払しょくされることになるのだが……勿論、払拭されるのが最後という事はもちろんそこまではそうではないという事で……
暗闇の中に雷や炎の光がともり、壁に様々な色のスライムが飛び散る。
「確かにこれは戦いたくない……」
絢に群がろうとする拳大のスライムは一体一体は弱いがとりあえず数が多い、蹴散らしてもいつの間にか修復して再び襲ってくる、最初はただの無色透明なスライムだった気がするが魔法を放てば吸収して魔法を使う様になり、切れば直ぐにくっつき、そもそも液体なので叩き潰しても特に効果がない。
「さて、どうしましょうか……」
そう言っている間にもスライムは集まってくる。
さらには魔法を吸収したスライムは、そのまま魔法を放ってくるため、それなりに注意が必要なのも相まってさらに面倒さが上がっている。
風や水で押し流そうとも徐々に数は増える。
(これは受けたい人がいないのも理解はできますね、500年誰も攻略しようとしないのは理解できませんが……)
打撃、斬撃、刺突、魔法、そのどれも効かないスライム相手に苦戦をするかと言われれば……
「もう飽きました」
そんなこともない。
いつぞやに出したことのある超高温の炎、圧倒的な熱量を使い全て蒸発させてしまえば、吸収されない温度で消し飛ばせば、そのままなのだ。
「さて、ここから先全てスライムという事はないですよね?」
正解である、先ほどまで絢が戦っていたのは拳ほどの大きさのスライムが、そのまま大きくなっただけのものがしばらく続くのだ。
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同じものが続くつまらなさと言うのは誰もが分かるだろう。
まるで漢字ドリルを永遠と解かされるような、小学生の足し算を永遠とさせられるような。
話が全く進まないこの話を読むような。
正直もう二度とやりたくないと思っていた絢に、ご褒美が訪れる。
「これは……」
その瞳に映るのは、黄金で縁取られた大きな扉、明らかなボス戦、さすがにこれまでとは違いある程度の楽しみを期待させる。
「さぁ、やりましょう!!」
「あ゛ぁ?」
「これ終わったら色々と書き直してください」
「でも前後の話との整合性が……」
「それも併せて書き直したらいいんですよ、物語が面白くなるなら読者も待ってくれます」
「うぅ……、国交怖いんだけど……」
「やってから反応を観なさい、それで決めればいいんです」




