59話・私がやってるわけないじゃないですか……
「U〇Oです!!」
「ターンカード」
「え?」
「ターンカード」
「え?」
「ターンカード」
「いや、え? 私のターン」
「フォーカード×4、ダブルカード×16です32枚カード引いてくださいね」
「……容赦ないです」
半ば依頼を押し付けられ、受けたと言えば受けたので、ので……、ので? 正直断ればいいと思うのだが、とりあえず、受け取った仕事を終わらせようと絢はギルドから外に出る。
「お久しぶりですね、昨日ぶりでしょうか」
「それは久しぶりとは言わねぇだろ」
ギルドの外にはウィルが立っていた、しかも仁王立ちで、先日とは違い明らかに完全武装でである。
さすがに不穏である、目の前に存在する理由がわからない暴力とは不気味なものである。
「どうかしたんですか?」
「今朝4か所で人間大の血痕が見つかってな……」
「そうなんですね、……で、それがどうしたんですか?」
「うち3ヵ所で鉄片が見つかってな、いろいろと調べた結果、王国製の銃に使われている物だという事が分かった……」
「そうですか、それで?」
にらんでばかりいて話を進めないウィルに面倒くささを感じ始めた絢とは対照的に、ウィルはその言葉を進めていく。
「方法なんかの詳しい話は無しだ、結論から言う、やったの嬢ちゃんだろ」
「いいえ」
「じゃぁ誰がやった?」
「知ってるわけないじゃないですか」
睨みつけるウィルとは対称的に、にこやかに返す絢
「知らねぇ訳はねぇよな、まだ嬢ちゃんの使い魔が回収されてねぇのはわかってる、……知ってるか、やったかだ」
今用事がある以上、興味のない話を快く長時間聞く気は絢にはない。
「私を信用しようという気はないんですか?」
「信用してるし信頼もしてるさ……、嬢ちゃんの強さだけは、な」
「つまりその完全武装は?」
「嬢ちゃんを連行しに来たわけだ」
面倒になってきた、と、絢はそう感じている。
絢は別に戦闘狂なわけではない。肉体言語が一番通信が速く、一番楽なだけであって、別に肉体言語を好むわけではない。さらには体を動かすのは嫌いな部類である。
「出来ると思います?」
それでも、一度勝った相手がどれだけ武装を充実させ、修業し力を付けたとしても絢は負けることはない。
絢自身も負ける気はしていない。
「やるしか……」
ほんの一瞬の話、残像が残る速度でウィルに近寄って、両掌で打撃を与えながら、高密度の魔力を手のひらから放出、ウィルの体を貫通させる。
その衝撃は肉体的ダメージはそこそこに、痛覚的には大型トラックが体を貫通するレベルの鈍痛である。
「――ァッ……ゥッ……」
「まぁ、今回は正当防衛ですよね、正直に言って、私はやってないです……私はですが……」
目の前で蹲るウィルを前に、絢はその言葉を続ける。
「私はやってないですが、あの子たちが自分でやってくれた可能性は十分にあります……正直な話、あの子たちがどのような進化を遂げてるかは私にもわかってませんから」
「な……て、もん、解き放った、だ、嬢ちゃん」
痛みで呼吸がうまく行ってないウィルが出した言葉を少し考えて……
「分かりません、何なんでしょうね?」
と答えを出す絢だった……。
とは言え、さすがの絢も目の前で蹲る人間を放置するような人ではない。
一度ギルドに立ち戻って、未だに四つん這いになったニア(吐くなら飲まなければよかったのでは?と思ったが絢は口には出さなかった)の後片付けをしている先輩の人にウィルのことを伝えて改めて依頼の場所に行く。
「あの嬢ちゃん全く手加減しね~」
「手加減してたんじゃない?」
「アァ? んな分けねぇだろ」
「手加減してなかったら多分あなたこと町が消し飛んでたんじゃない?」
「あー、想像できる……」




