58話・ちゃんと寝ないから背が伸びないんですよ
「この人、前回格闘ゲーム的なものを入れた理由は?」
「理由と言われても……」
「リアが取り出したチェスは5次元チェスでしょう」
「そうだけど……」
「異世界でゲームを出したいのなら自分でゲームを作りなさい」
「そんな簡単な話じゃないんだよ!!」
「できるできないじゃない、やりなさい」
リアと絢は寝ることなくゲームを続け、日の出を迎えてしまった。ちなみにこの日の朝食を作ったのは絢である。
「絢さんは辛くないんですかぁ」
目の下に一日前はなかった濃いくまを作り、その様子通り非常に眠そうにしていた。若干語尾も伸びている気がする。
「私は慣れてますので、一週間程度なら寝ずに過ごす事も出来ますよ」
嘘である。どこが嘘かと言えば「一週間」と言うところである。
絢は王城にいたころには毎日本を読み漁り、ダンジョンでは寝ていない。今日の日数も居れれば軽く一週間を超えている。
が、そんなことはどうでもいいことだ。
「とりあえず、食べてください、食べないと元気出ないですよ」
「なんか絢さんが絢さんらしくないですぅ」
「いったいあなたの中で私はどんな人間なんですか?」
「どんな……、人間味の無い超人?」
「何故疑問形が?」
「昨日絢さんがやったことを考えれば、人間じゃないですよね?」
「ただの人間ですよ、私は」
「嘘だぁ~」
そんな会話を交わしつつも準備を進めていき、二人は特に問題なく?外出まで進めることが出来た。
外に出ると車にビルに電線に、異世界に来たとは思えないような光景が広がっている、しいて言うなら、車排気が出ていないところだろうか……
絢もリアも身長が低め、いや、低い二人が、手をつなぎながら町を通り過ぎていく、
「ん、あれはぁ……」
リアが視線を上げると、立ち入り禁止のテープが張られ野次馬が集まる場所があった
「何かあったんですかねぇ?」
「そうなんでしょうね……まぁ、私達には関係ないことですよ」
絢は一瞥もくべずにそこを通り過ぎていく。
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ギルドにたどり着くと……異様に酒臭い
「オイオイ、終わりかぁ?」
ニアの煽りを受けた男たち、起きている者は腹と頭を押さえて吐き気を耐え、そうでないものは白目をむいて倒れていた、中には泡を吹いている者も居る。
そんな状況を見て絢から出た言葉は
「死屍累々ですね……」
の一言だけっだった……
「これ金額大丈夫なんですか?」
「大丈夫だ、ちゃんとした勝負だからな、こいつらが払う」
そんなことを言ってグイッっとさらにジョッキを傾ける。
正直、男たちがかわいそうに思えるが、相手の力量を押し量らずに勝負を挑んだ男たちの責任である。
ただ、周囲に転がっている樽の数々とニアの体を見て(どこにこれ入ってるんでしょうか?)と考えはしたものの、口からは出なかった。
「おはよ~、リアちょっと手伝って」
そうリアに声をかけたのは、昨日フェニのことについて手伝ってくれたリアの先輩が、ニアの周りの樽を片付けていく……
「ところであなた、今日も依頼受けていくの?」
「はい」
「じゃあ、これお願いしてもいい? 受けてくれる人がいなくて」
そこに書かれていたのは、「ダンジョン攻略」の文字。
「受けます」
「ありがと~」
そう言った先輩の人は、片手に樽の塔を持ちながらリアを連れ去っていった……




