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53話・火の鳥が欲しい、だから手に入れます

「火の鳥ってなんだと思います?」


「さぁ、何だろうな」


「不死鳥、フェニックス、鳳凰……思い当たるのはこのあたりでしょか」


「それ全部同じじゃないですか?」

「火口にいたのか、しかも溶岩に使っても平気とは……、だが、これだけでここまで見つからないものか?」


 今まで目の前の火の鳥が全く見つからなかったことに疑問に思っているエキドナの後ろ、そこにはもう帰還ムードの少女たちがいた。


「あついー、かえろーよー」


「見つかったなら、いいだろ、ルビーの言う通り、帰ろうぜ……」


 二人とも火山の熱にやられ、ニアに至っては体から湯気が立っているようにも見える……が、そんな二人にエキドナが絶望をプレゼントする。


「まだ帰れんぞ、あのカードで発見経緯を報告してからしばらくあれの活動を監視する必要がある」


 その言葉を聞いてニアは気絶、ルビーは駄々をこね始めた。

 そんな反応に困っているエキドナを後ろ目に、ずっと火の鳥を観察していた絢が唐突に謎の気持ちをつぶやく。


「あれ欲しい」


 いつも硬い口調で喋っている少女が出した年相応の言葉、その言葉に驚くエキドナは誰がどう見ても正常である。

 だが、エキドナが驚いているのは絢の口調にではない。


「本当に欲しいのか!? 火の鳥だぞ!! 燃えてるんだぞ!!」


 そうである、火の鳥は文字通り火で体が作られた鳥である、しかも全体的に青い炎で形作られている、欲しいからと手に入れてもどうしようもない。

 ついでにいえば炎を扱うという点でフェンリル、エキドナに続く3人目なので扱いに困る。


「確かに燃えてますけど、おそらくあれは熱くないですし燃え移りませんよ」


「そんなわけ……」


 そうして覗き込んだエキドナがあることに気づく……


 ここから少し解説が入る、その内容は「魔法で生み出した自然と自然の違い」今回のことに当てはめると、「本物の火」と「魔法で作り出した火」の違いになる。

 結論から言うと、魔法で作り出した火は火ではない。魔法で作り出した火は火に見える何かなのである。

 自然に生まれる炎は、生まれた時点で熱をもち、近くに燃えるものを近づければ勝手に燃え移る……。

 だが、魔法で作った火を本物の火と同じにしようとすると、それらの効果を付けるために多くの魔力を消費する必要がある……

 逆に言うと、「熱くないのに鉄を溶かす火」であったり「熱いのに火傷しない火」などが作れるというわけである。


「――だからと言って、あれ、欲しいか……?」


「はい、とても……」


 それだけを聞いてエキドナが諦める。


「好きにすると良い、取り敢えず我らは避難しておく、終わったら呼べ」


 エキドナはに後ルビーを抱えて山を下りていく……、それに対して絢は火口を下りていく、火の鳥の下へと……

「ついに解説までし始めたぞ、何なんだあれは」


「知りません」


「怖いんだが……本当に、怖いんだが……」


「そうですかね?」


「誰か監禁して書かせてたりするんじゃないか?」


「さすがにそんなことはないでしょう」

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