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49話・信用は金では買い取れない

「あの宝石、売ればかなりの額になるんじゃねぇか?」


「すぐ消えますよあれ」


「こんなにうまくできてんのに、勿体ねぇな」


「ちなみにですが、空気中に舞ったルビーの宝石、吸ったら肺がズタボロになりますよ」


「マジか……」

「やっちまった……」


 ウィルの剣がルビーの体を切り裂き、当のルビーの体は大きく飛んで行った。

 ウィルは、その手ごたえに違和感を感じながらもルビーに駆け寄っていく。


「大丈夫か嬢ちゃん!?」


 急いで駆け寄ると、ルビーはむくりと起き上がる。


「たのしー!!」


「そ、そうか……」


 切られたとは思わないほど元気よく起き上がったルビーを見て、若干引いた態度を見せるウィルがそこに居た。

 ルビーの服は切られていて、その部分からは人肌も見えるものの、その殆どは透き通るような赤い色が埋まっている。


「なぁ嬢ちゃん、この嬢ちゃんは何者なんだ?」


「さぁ? 詳しくは知りませんが、本体はこの石ですよ」


「あーちゃんひどい―!! いしじゃなくてほうせきー!!」


「どっちも石じゃないですか」


「あーちゃんゆめがない―!!」


 そんなことを言うルビーだが、実の所ウィルは現状どうなっているのかわかっていない。


「あー、つまりどういうことだ?」


「少なくとも、私がこの指輪を持っている限りルビーが死ぬことはないと思います」


「ひどすぎねぇか?」


「何がです?」


 絢は全く分かっていないようだが、何のヒントもなしで実際に戦っている体と本体が別と言うのは普通は気付けない、しかもそれを守っているのが裏ボスレベルの強さを持った絢なのだ、糞ゲーと言っても文句は言われない。絶対に。


「まあいい、嬢ちゃん達の試験は終わりだ、さっさと出るぞ」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ん? 終わったのか?」


 ウィルが荒々しく扉を開けると、そのウィルのイラついた表情を見たエキドナが不思議そうにしている。


「ああ、終わったよ、比較的無事な」


「……何があったんだ?」


「ッ……、嬢ちゃん、こいつらどっから連れてきたんだ? 主にこの白い嬢ちゃんのことだ」


「我が連れてきたというより、こやつに連れてこられたと言ったほうが良い、どこから来たかなど、我も知らん」


「なんでこいつは明らかに肉体以上の力出して平気な顔してんだよ」


「べつに平気じゃないですよ、全身筋肉痛です」


「筋肉痛で済んでるのも十分おかしいだろ」


「それはあれですよ、筋密度と骨密度を増加させて、障壁で動かない様に関節以外を固定すれば体がはじけ飛ぶようなことはないです、その分筋肉痛はよりひどいですが……あ」


 ふと扉を見た時である、リアがいつの間にか部屋の中に入ってきていた。


「何処から聞いていました?」


「だ、大丈夫ですよね!?」


「大丈夫ですよ」


「でもひどい筋肉痛って……」


「大丈夫ですよ」


「筋肉痛ってひどくなると筋肉がちぎれるって……」


「大丈夫ですよ」


「すぐ医療班を!!」


「大丈夫ですって」


 リアは丁寧に書類を置いて、直ぐに部屋を出ていこうとするが、ウィルがその服を引っ張りその動きを止める。


「あれ、す、進めない!!」


「嬢ちゃんも大丈夫って言ってんだろ、それにこの嬢ちゃんも自分で治療できんだろ」


「あ……」


「嬢ちゃんがダメなのはそういうとこだ、焦ってばかりいないで周りを見ろ」


「す、すみません……」


「まぁ、取り敢えず業務を始めてやれ」


「はい!!」


 ウィルからせかされたリアは、急いで書類を回収し仕事を始める。


「すみません、先にこれを記入してもらってもいいですか? 必須と書いてある場所以外は自由でいいので……」


 一枚づつ渡された紙には、名前や性別、年齢に経歴など、下の方に「どうやって戦うか」と書いてある以外は普通の履歴書と同じだった。

 絢とニアはすらすらと書いていくが、ルビーは少し……いや、かなり詰まっている。


「代筆いいですか?」


「え……えっと、ほ、本人の許可があれば大丈夫……だったはずです」


「分かりました、ルビーちょっと貸してください」


 そんなことがサラッと流れた中、それなりにどうでもいい話が隣で繰り広げられていた。


「依然受けていた依頼なのですが」


「頼結果は提出したと思うが……」


「報告されていた終了時刻を2日ほど超過していて……」


「ああ、そうか……、罰金はいくらくらいだ?」


「金貨1枚です」


「分かった、此処で払うのでいいか?」


「は、はい!!」


「ちゃんとしろよエキドナの嬢ちゃん」


「分かっている……、謎の呼び出しでこいつの所に行かなければ十分余裕はあったはずなんだ」


「あ……、苦労してるな」


「本当だ」


 横でその話をしっかりと聞いている少女がいたが、その人が聞いていることを3人は一切気付かなかった……

「ところで、嬢ちゃんホントに何者なんだ?」


「普通の人間ですよ、何よりも普通です」


「普通の人間は俺の剣を防げねぇよ」


「普通の人間とは言いましたが一般人とは言ってないですよ」


「屁理屈が過ぎるだろ!!」

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