45話・準備してから挑むべきものは準備するからこそ評価されるのです
「あいつらどうなると思う?」
「合格すんだろ」
「あいつらが合格するのは当たり前だ……どのくらいで帰ってくると思いますか?」
「さぁな、まあ、かなり早ぇだろ」
「お前から見てもそうか……」
「こ!!……ここから御3方には別々の道で目的地まで行ってもらいます!!」
場所はギルドの建物のさらに奥、10の扉を持った部屋まで通された。
エキドナとウィルは既に資格を持っているため絢達には付いて行かないようだ
「扉は自由に選んでもいいんですか?」
「は……はい!! どの扉からでも終着点は同じですから大丈夫です!!」
「……だ、そうですよ、どれ行きます?」
「俺はここ」
「わたしはここ!!」
「え……ちょっと、まだ何も説明が――――!!」
そんな声リアのを誰も聞かずに扉に手をかけて中へと入って行く。
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「さ……むい」
絢の目の前に広がっているのは真っ暗な空にどこまでも続いていそうな白い地面、白く冷たい雨が無限に降っている。
入ってから動いていないが、後ろを見れば入ってきた扉は既に消えている。
そんなところに絢ともう一人。
「なんでついてきたんですか?」
「ま……まだせ――――」
そこまで行って力尽きるように目を閉じ、その体の制御権を手放してしまう。
後ろから「ドサッ」と聞こえ、まさかとは思ったものの、後ろを振り返ると真っ青な顔で雪に埋もれようとしているリアの姿があった。
「この温度です、寝たら死にますよ……聞こえてないですね」
少し近づいて2つ魔方陣を発動させ、そのままお姫様抱っこの要領で持ち上げる。
この時、遠い場所で唯が反応したそうだが、もちろんそのことを絢は知らない。
「こんなところに自分から突っ込むような度胸があるのなら、もう少しはきはきすればいいんですけどね」
少し確認してまだ大怪我になっていないところを見ると、そのまま吹雪の中に消えていく……
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(温かい……)
「遠いですね」
(何か聞こえる……)
「雪は溶かしたほうが楽だったでしょうか……」
(あかるい……)
ずっと夢見心地で意識もとぎれとぎれ、その寒さもまだ体が覚えている。
「なるほど、そっちは灼熱地帯ですか、ルビーは大丈夫でした?」
「すながくちに……ウェェ」
「これで口を濯ぎなさい」
「ここは……あ、すみません寝てました!!
い……今すぐ1次試験の説明をさせていただきます!!」
意識をはっきりと取り戻したリアはあり得ない状況を脳が受け入れてないようで、先ほど吹雪で倒れた時の記憶を完全になくしているようだ。
「一次試験はもう終わってますよ」
「へッ!?」
「1次試験は環境適合試験とかじゃないですか?」
「な……なんでそれを!?」
「もうやったからですよ」
少しのフリーズの後、自分の左手に付けた腕時計を眺め「でも……でも……」と呟きながら混乱しているリア。
絢達はそれをどうする事も出来ないため、ただ単に見ている事しかできない。
「ま……まだ30分しかたってないですよ!!」
「それだけで事足りましたから」
「でも……普通はこの中の時間で1週間はかかるような試験なんですよ!!」
「確かに、一つしかない扉を端から端までもれなく探すなら、そのくらいの時間がかかりそうですね」
「じゃあどうやって……」
「足ではなく魔法を使いました」
「ニアとルビーも同じですよ……ルビーは楽ではなかったようですが」
「え~と」
「砂が気に入らなかったようです」
「ああ砂漠の……じゃ、じゃなくて!!
あそこは魔力探知の妨害がされてたはずです!!」
そこで絢が少し悩む。
その顔は、まるで全く心当たりがないようだったが、しばらく考え込んでようやく何かに思い至ったようだ。
「そういえば、少しやりにくかったですね」
「す……少し?
そ、そうですか、わかりました」
あまりのあり得なさに何とか安静を取り戻したリアは、今までにないほど冷静に次の試験の説明を始める。
「第2試験は1次試験と同じく10の扉の中からバラバラに選んでもらい、中にいる何かを追跡してもらいます」
「その『何か』はどうやって判断すればいいですか?」
「見れば、わかると思います」
淡々と返すリアの目には、ハイライトが入っていなかった……
「なぁ……」
「何ですか?」
「お前の周囲で聞こえる声なんだが……」
「ああ……」
「なんかただ現状を読み上げてる……」
「三丁目の田中さんじゃないですか?」
「誰だそれ」
「三丁目の田中さんですよ」
「だから誰なんだそれは」




