43.5話・「ウニャァァァァァァ!?」
「足大丈夫?」
「ニャ(このくらいなんともないわよ)」
「痛くない?」
「ニャ(大丈夫よ)」
「折れたりしてないよね……」
「ニャー(だから大丈夫だって……)」
「楽しかった!!」
「ニャー(それはよかったわ)」
今までの家出方法を聞くと全て力業の暴力的なもの、100m以上はある自室の窓から飛び降りたり、力技で全てを振り切って正々堂々と城門から出たり、いかにも「今から出ます」て言っているような方法、そんな方法をしていれば捕まって当たり前だ。
ニアがクレトリアに提案した脱走方法はステルスである。隠れて、ゆっくりと、誰も見つからずに城を出る方法だ、魔法で匂いと姿を消し、さらには部屋に気配を再現したうえで物音を立てずに城からの脱出……
今までそういう行為をやってないせいで難易度は遥かに高かったが、ニアのアシスト100%無事城の外まで出ることができた……
「にゃ(それで、これからどうするの)?」
「前々から出た後のことを考えてれね、帝国に行こうと思う」
「ミャ―(とすると森を迂回する道ね、路銀はあるの?)」
「ねぇニア、ロープと剣作れる?」
「ニャ(作れるけど……、どうするつもり)?」
質問しながらもロープと剣を作ったニア。その品質は「標準よりはわずかに良い」程度の問題ない物。
クレトリアは現状に疑問を抱いているニアを横目に、ニアが作った剣を腰に携えそのニアを頭にのせ、ロープで縛る。
「ニャ(な……なにをするつもり)?」
「大丈夫、このくらいの距離なら1時間で付くから」
「ニャ(もしかして)ニャ(やめてやめて止めて)ニャ(ゆっくり優しく)」
「行くよ!!」
その声と同時にクレトリアとニアの体が残像のみを残り、残像の足元は少しへこんでいた……
周囲の住民の話によると、この日「ウニャァァァァァァ!?」と言う猫の鳴き声が響いたのだという。
森の中を電撃のようなものが進んでいく。
「アハハハ、こんな体を動かしたのは初めて!!」
「ニャ(木が)!! ニャ(蜘蛛が)!! ウニャァァ(ぶつかるー)!!」
電撃の正体は言うまでもなくクレトリアとニアである、その速度は地面に向かう自由落下よりも早く「横に落ちる」を現実で達成していた。
その途中、巨木はもちろん、魔物や普通の生き物に何度もぶつかりそうになったが、剣で切り裂いたり足場にしたり、まるでそこに何も無いように帝国へと落ちていく。
ニアの意識はそこで手放した……
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「やっと起きた!!」
「ナー(ここは)……」
「大丈夫、ちゃんとついたよ、ここは帝国」
ニアが目を覚ますと、既にロープはほどかれてクレトリアの膝の上で寝ていた。
あたりを見回すと重装備に身を包んだ人がたくさんいた。
「今からお金を稼ごうと思うんだ」
「ニャ(どうするつもり)?」
「いろんなところに行きたいから冒険者になろうと思ってるんだ!!」
「ミャ―(そう、待ってるから頑張って)……」
「何言ってるの? ニアもなるんだよ!!」
「ニャ(なッ)!?
ミャ―(人間の職業に猫がなれるわけないでしょ)!!」
「できるできる、ニアだもん!!」
「ニャー(私とあなた、あってまだ1時間ちょっとよ、どこからそんな信頼が生まれてるの?)」
「ニアは私に話しかけてくれたでしょ」
「ナー(そうね)」
「だからだよ!!」
「……?」
「えー、クレトリア様 ニア様、準備ができましたのでこちらの方へお越しください」
ニアはもう少し聞きたかったのだが、呼ばれてしまっては仕方ない。
ちなみに、ギルド職員にニアが猫なことに驚かれたのは言うまでもない。
「ニャ(クレトリア)……」
「何?」
「ナー(もう二度とあんな速度で走るのはやめて)」……」
「初めてだったし、あれでも結構抑えたほうだよ?」
「ニャ(嘘でしょ)……」
(ご主人様がこの子が欲しいのって、もしかして……)




