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43話・猫とネズミってかわいいですよね

「やっぱ嬢ちゃんが迷子だろ」


「私ははぐれてないかと」


「じゃあなんで嬢ちゃんが一人なんだ?」


「団体の方がはぐれたんじゃないですか?」


「それは無理があるだろ」

「んで、迷子の嬢ちゃんの目的地はどこなんだ?」


「何故ですか?」


「どっか目的地があるならそいつらもいつかそこに集まるだろ」


「そうですかね?」


「そうだろ」


「そうですか……」


 そんな流れで絢は自分の行き先がギルドであることを伝えて、男が絢を案内する形でギルドへと歩いていく。

 実際迷子になったときは、その場をできる限り動かず周囲の声を聴き、呼んでいる声が聞こえるまで探している人を待つべきなのだが……二人ともそんな定説を無視して、迷った? 地点から離れていく。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「へぇ、それでどうしたんですか?」


「俺の仲間と……」


 ギルドにたどり着くまで10分ほどの間に何があったのか、絢と男が談笑をしながら歩いていた。

 だが、ギルドのその建物に入った瞬間にその話声がざわめきと歓声によってかき消されることとなった。


「おー!! ウィルが帰ってきたぞ!!」


「今回は長かったな!! どこまで行ってきたんだ?」


 そんな歓声の中には「子供って……お前嫁さんでもできたのかよ!!」と茶化すような言葉も聞こえてくる。

 その言葉たちを無視して「んで、嬢ちゃんの連れはどこだ?」と話しかける。

 それよりも先に絢達を見つけたニアは何を感じたのか、絢の回収に動き出す。


「探したぞ、どこに居たんだ?」


 そうして絢に伸ばした手を、ウィルと呼ばれていた男が絢を持ち上げて空を切らせる。


「いきなり何をするんですか?」


「いやぁ~、最近猫やネズミが目に見えて多くなってな……お前らの仕業じゃねぇよな」


「何故、そう思うんですか?」


「いや……嬢ちゃんら強いだろ、特にそこの黒いフードの嬢ちゃんとお前さんは此処にいる奴ら全員ぶっ殺してもまだ止まらねぇくらい強いだろ」


「そう見えます?」


「ああ、見えるね」


「ルビーはともかく、私たちの魔力は一般人以下ですよ」


「逆だ、赤い嬢ちゃんの魔力量には目を見張るものがあるが……、嬢ちゃんらは生物としておかしいくらいに全く見えねぇ」


 その言葉に「意図的に隠してない限りはな」と付け足し、その睨みを強くする。

 絢達はもちろん、唐突な空気に先ほど、歓声を飛ばしていた彼らも話に付いて行けていない。

 誰も声を出せない状況が続く中、建物の奥から怒鳴り声が響いた。


「私の連れに何をやってる!!」


 声のした場所から出てきたのは、エキドナとピシッとした制服にその身を包みながらも、何所か気の弱そうなギルドの職員だろう人。


「アストロンとこの嬢ちゃん、こいつらお前の連れなのか?」


「そうだよ!! さっきそう言っただろ」


「あ……あの、裏で、お話を……」


 今にも食い掛りそうな雰囲気の中、その気力の全てを振り絞っただろう声が一時的にその気持ちを抑えることとなった……


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「んで、アストロンとこの嬢ちゃんは、どうやってこの嬢ちゃんらを見つけてきたんだ?」


「お父様がずっと話していた与太話が現実になった」


「マジか、ってことはあの話嘘じゃなかったんだな」


「あの話?」


「あの糞みたいなタルルク王国が初代はものすごい聖人だったって話だ、こいつの親父からよく聞かせられてたんだよ、『最近の奴らはゴミだがあいつは良い奴だった』ってな」


「そうなんですね、あれ、良い人なんですね……」


「なんかあったのか?」


「いえ、別に……」


 この会話が始まってから……いや、部屋に入ってからだろうか、永遠と崩れることのない笑顔はその心中を完全に多い隠してしまう。


「まぁいい、それで、猫やネズミが増えたのは嬢ちゃんたちの仕業なのか?」


「なんで知りたいんですか?」


「あいつらから、たまぁ~に魔力の線みたいなものが見えてな、アレは諜報に使われている可能性が高い……つまるところ戦争を起こそうとしてる可能性があるってことだ。

 そこに猫と話してるお前が現れたんだ、疑うのも当たり前だろ?」


「お前猫と話してたのか?」


「話してないですよ、かわいがってただけで」


 (そんなことのためには私たちを置いていったのか……)とニアたちが思ったのは別として、絢がとんでもないことを言い出す。


「あれらを創ったのは私ですよ、後猫やネズミだけじゃなく、鳥もいます」


「そうかそうか……はぁ!?」


 唐突な自白、唐突な告白、あまりにも自然すぎる言葉はその場にいる全員の思考を鈍らせ「なんか言ったなぁ~」程度の気持ちが、言葉の意味を処理した途端に驚愕へと変貌する。


「でも安心してください、戦争をするつもりはありませんから」


「じゃあ、なんで大量に放ってるんだよ……ってかあれ全部お前ひとりで管理してるのか?」


「まあ、そうですね、理由は簡単です、単純にこの世界のことは知らないことが多いからです」


「それでなんで……って、お前異世界人かなんかか?」


「よくわかりましたね」


「「「あッァァァ……」」」


「すみません言ってませんでしたね……」


 驚愕の告白の連続にその場の思考はフリーズ、全く知らない職員の子に至ってはかわいそうなほど縮こまっていた……

「貴女職員ですよね」


「そ……そうです、けど……」


「そんなのでやっていけるんですか?」


「いつも怒られっぱなしで……」


「少し度胸を付けたほうが良いですよ」


「そ……そうですよ、ね……」

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