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37話・これ以上何かする気なのか?

「あれはなんだ?」


「斬撃だろう……」


「あれは何だ?」


「爆発か? 自らをも傷つけているが……」


「あれは何だ?」


「星……いや、火球……球?」

 まるでその城がたっている大地の状態を忘れたかのような爆発と衝撃の数々を耐えきった地盤を褒めるべきか、それとも弱そうな地盤が絶えた攻撃を耐えられなかった城を慰めるべきか……二人が戦った部屋は最後の攻撃で壁と天井は瓦礫に変わり、床は辛うじてその形状のみを残していた。


「――まさかだが、これを我らにできると思ってないだろうな……」


「何言ってるんですか? 思ってるに決まってるじゃないですか」


「「ァァ……」」


 1億歩は譲らなければ生物同士が戦ったとは見えない戦闘を経験した戦場で、絢が瓦礫の中を散策する。


「この辺だとは思うんですが……」


 そう言いながら瓦礫を一つづつどかしているが、かなり重なっている上に範囲も広い、一つづつ探していては時間が足りないだろう……


「面倒ですね」


 絢もそう思い至ったのかそんなことを言うと、その体がほんのりと光り若干浮く……その光が瓦礫にも伝播しながら徐々に重量を減らしていき、最終的にはマイナスの域に達して空へ落ち始めた


「お~、居ましたね……、耐えると思ってましたよ」


「「は?」」


 絢の視線の先に居たのは普通なら生きているかもわからない全身丸焦げの人型である……、だが、「炭になっている」というよりは「若干焦げた」と言ったほうがよさそうな色合いであり、まだ胸がわずかに上下しているところから生きてはいるだろう。

 だが、問題は絢であるまるで彼女が生きていることを知っていたかのような口ぶりでそんなことを言う絢に、フェンリルとエキドナは困惑の表情を浮かべるしかない。


「――何ですか?」


「あれは明らかに殺しに行ってただろう」


 そうである、少女と戦っていたのも、更に言えば少女の体を丸焦げにしたのも絢なのである。


「いえいえ、十分耐えれると思っていましたので……」


「もはや結果論にしか聞こえんぞ……」


「しつこいですね、貴方達相手でしたらもう少しは加減していましたよ」


(我ら相手であそこから『少し』なのか……)


 十分に近づくとわかるが、少女の体はその生命活動をあきらめておらず、人間の体ではありえない速度で回復していた……色も若干、お絵かき用ソフトで調べてやっとわかるくらいには元に戻っている。


「あ゛ァ゛ァ゛~~、まだなんかするつもりか?」


 絢が近づいてきたことを察して急いで喉を直したのか、のどの部分だけ色が元に戻っていた。


「貴方を探しに来ただけです、これ以上戦うつもりはないですよ」


「あ゛あぁ? 戦わねぇなら要はねぇだろ、さっさと先へ行け」


「どうです? 私と一緒に来ませんか?」


「お前目ぇ見えてんのか? ってか話聞いてねぇだろ」


「貴女はいま『お前目ぇ見えてんのか? ってか話聞いてねぇだろ』と言い、私の目の前には黒焦げになったあなたが見えます」


「別に解説しろなんて言ってねぇよ!!」


 馬鹿にされているように感じて……、本人は真面目……そう、至って真面目なのだが、傍から見ても馬鹿にしているように見えるその行為に彼女が怒りを表すのも当たり前のことだ。


「一緒に来ませんか? その怪我もちゃんとした場所の方が直りが速いでしょう?」


「今この状態で運ぼうってのか? 全身痛いんだが?」


「魔法で優しく運びますよ、きっと痛くないです」


「俺は強ぇ奴と楽しく戦いたいだけだ、そこの弱っちぃ奴はもちろん、お前はこれから忙しくなりそうだからな……」


「それは私にとっても楽しいことですね、それにこの子たちは私の弟子ですよ、いつか今の貴女以上には強くなります」


 そこで一つフェンリルから「いや、別に主の弟子と言うわけじゃないぞ」と言われるが、そんなことは絢の耳には届いていない。


「はぁ……絶対に俺を連れていくつもりか?」


「ダメですか?」


 ため息をついてから質問した少女は、絢の答えを聞いてもう一度ため息をつく。


「あぁ~、わかったよ」


 いつの間にそこまで直したのか、「跳ね起きる」と言う表現が正しい起き方をして絢の手を差し出す。


「ニアだ……」


「……? 何ですか?」


「挨拶だよ!! 俺ぁ負けたんだ、勝った奴がどうしてもは入れってんだ、俺に拒否権はねぇよ……」


 もう少し拒否されると思っていたのか、若干驚いはその行動の全てを止めたものの、直ぐに理解して絢の方からも手を差し出す。


「姫宮絢です、よろしくお願いします……」


 そうして二人が互いの手を握ると、ニアが全身をぶるぶると震わす……


「いってぇぇー!! 急に痛い!? いや痒い? なんだこれ……!?」


 今まで戦いの影響か、痛みを感じにくくしていたアドレナリンの効果が切れ、今まで感じるべきだった痛みがその存在感を徐々に表し脳のリソースを占有していく。


「火傷したことないんですか?」


「ある……あるけど、ここまで酷いのは初めてだよ!!」


「あぁ……その調子ですと治ってから2、3時間ほど経てば収まりますよ」


「いつ治んだよ!!」


「貴女次第です……」


 「もはやここまでくれば何も言うまい」と言った雰囲気をまとったフェンリル達は絢に文句を言うその姿を見て最近のことでありながらどこか懐かしさを感じていた。


「何というか……懐かしいな」


「フェンリルじじくさーい」


「誰がじじくさいだ!!」


「だがそうあるのも事実だ、つい数日前の自分の姿とは思えないな……」


「ドナちゃんもじじくさーい」


「わたしはめすだ!!」


 目の前で絢に振り回される光景がありながらこちらではルビーに振り回される、じゃじゃ馬が2頭もいる御しきれない光景を横に、アイリスは何もせずに静かに立っていた……

「この人、前回は投稿遅れてましたし……もっと早く執筆できないものですかね……」


「い……痛い……」


「早く直さなければ戦えないですよ」


「(俺にも作者にも)無理を言うな!!」

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