34.5話・そんなことはあり得ない!!
これは絢達が機械たちの群生地から死神のねぐらにに降りた時の絢達の通信が終わったときのおいて行かれた側のお話である……
「崩れて……」
絢に貰ってからいつも付けていたネックレスが砂のように崩れていく……
それを見た唯はどこか安心したような顔をしている。
「少し意外です」
「何がですか?」
「なんとなく、それを無くしたら泣き出すものだと思ってましたから……」
「先生は私を何だと思ってるんですか?」
若干困惑した唯に対して放たれた回答は次の通り。
「絢さん教の教徒」
「お姉さま第一人間」
「お嬢様依存者」
散々たる感想の数々は、明らかに唯に対する攻撃よりの物ばかりだ。
「都月さんと翔奈絵さんまで!? 酷くないですか?」
「いえいえ事実でだし……」
「いつもお嬢様と唯様を見ていての感想です」
「二人とも酷いです!!」
「アハハ……」
いじめの様なそれでも嘘ではない内容に、先生である絵里も若干苦笑いをしていたが、若干居心地が悪くなったのか唯が脱線気味の話を戻す。
「まあいいんですよ、これが無くなることよりも私が話しかけて絢様の迷惑になる方が大問題なのです!!」
「もしかしてなんですけど、絢さんの無事が確認出来ない事とかよりもそっちなんですか?」
「勿論です!!」
「えー……、そこは本人の方を気にしましょうよ……」
「そういわれても、絢様に手が付けられない事態は余り思い浮かばなくないですか?」
それを聞いた都月も頷き、質問した絵里自身もどこか心当たりがありそうだ。
「え……いやいやいや、お姉さまだって人間ですよ」
そうである、翔奈絵が言った通り絢は一応は人間である。
だが、絵里たちの回答は次の通り。
「人間……ではあると思いま……う~ん?」
「お嬢様って人間なんですか?」
「まあ人間の……、いえ、アレを人間だとは言えない気が……」
「なんで悩んだり否定が出るんですか!?」
殆ど絢が人間だという事に疑問を持ち、否定まで出る現状に殆どの人間は翔奈絵のように叫びたいことだろう。だがこれは絢が悪いのである。
都月は翔奈絵にきちんと向き直り、その事実を伝える。
「翔奈絵様、お一つ宜しいでしょうか?」
「え? あ、はい、急にそんなに畏まってどうしたんですか?」
「小学生が無人島から一人で生還したり、熊を短刃一本で倒したり、刃物の達人を素手で簡単に制圧する小学生が本当に人間だと思いますか?」
「えっ? ……いや……えっ!?」
翔奈絵が驚くのも当たり前である、都月が言った3つの出来事は基本的に外には出ていない情報であり、更には高確率で失敗する物であったり大怪我をするような物ばかりだ。
「それお姉さまならできるっていう話ですよね?」
その疑問は事実を信じられない人間が行う、必死の否定でもあった。
「いえ、実際にあった話です」
「いやいや……本当なんですか?」
「本当です」
「なんでそんなことに?」
「無人島はお嬢様の家の教育方針ですね、達人相手は単純にお嬢様の趣味、熊は唯様を守るためにされたようです」
家の方針と言われたり、身内を守るためと言われれば、今無傷で生きてるのは奇跡にも近い物の、
「一つおかしいのありましたよ!! いったい何があったんですか!?」
「あはは……、山で少し……」
「いやそっちじゃなくて、趣味!?」
「はい、お嬢様の趣味です、時々……いえ、かなりの頻度で各地の達人と呼ばれる人物を招き、相手の土俵で勝負していました」
「それって勝率は……」
「今の所お嬢様の全勝ですね」
「いやいやいやいや、おかしいでしょ、いくらお姉さまでも体はまだまだ子供なんだから……」
「確かにそうです、力ではお嬢様は誰にも敵わないでしょう……ですが、そこに『捌き』が入ると全く別物です」
拳を握り若干悔しそうに言うその言葉には、どこか嘘ではないという気迫を発していた。
「えー……、お姉さまと手合わせしたことってあるんですか?」
「手合わせ……それもそうなんですが、私と唯様の師匠や教師と言った存在は、専らお嬢様になります」
翔奈絵も絵里もまさかと思ったものの、唯の方に視線をやると、静かに何度もうなずいていた……
「私がこうして働けているのも、唯様の成績のよさも、8割方お嬢様の指導によるものです、ちなみに残り2割は絵里様です」
「それ、魔法の使い方きいたほうがよかったんじゃないですか?」
「く……ないですか……」
「……ん?」
「悔しいじゃないですか!! 何でもかんでも絢様に聞かないとわからないみたいで!!」
いつも絢に引っ張られ非常に高くなっている唯の精神年齢が、珍しくその年齢に戻ったように思えた。
「まあ、絢様は私たちが気にしても仕方ないという事です!!
もう寝ますよ!!」
そういうと唯は──バッ──と毛布にくるまり、そのまま目を閉じる。
それを見ていた絵里たちも苦笑いを浮かべていたが、その言葉に従って睡眠に入る……絵里の心配こそ消えてはいなかったが……
「なんか途中から私をディスる回になってませんか?」
「「「なってませんよ……はい……」」」




