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30話・魔法と科学はどちらが上なのでしょうか

「昔にもこんなものはあったが、ここまでだったか……」


「発展してます?」


「我にはこういう物の発展などは見てもわからんが、なんというべきか、威力が上がったな」


「いいじゃないですか」


「嫌、それが牙をむいてるんだぞ、良くはないだろう」

 機械と魔法の応酬、爆音と閃光が鳴り響く。

 互いの攻撃はその大半が相殺され、その必要が無いものは素通りしその後方を溶かしていく。


「キレーだねぇー」


「そうですね」


 彼女たちの目の前に広がっているのは弾丸とレーザーと魔法が織りなす色とりどりの虹、その光景は……


「「そんな場合じゃないだろ!!」」


 目の前の虹の光景に見とれているルビーと、見たことがないほど進んだ技術で作られた兵器に見とれている絢にこの状況のどこにも見取れる要素の無い二人は叱責を飛ばす。


「今はどんな状況なんだ……」


「今のところはどちらも決定打がないですね」


「貴様相手にか……」


「心配しなくても大丈夫です、まだまだ隠しネタはありますから……、何度も言いますが、このくらいは貴方達もできるはずなんですよ」


「今できない物を言うな!! ……? できるのならさっさとやれ!!」


「もっと色々見たいので嫌です」


 そんな話合いをしている間にも、機械は弾切れになった兵器を切り捨て、入れ替えながらも更に増やして行き、絢も魔方陣の数を増やしていく。


「楽しいのは此処からなんですよ」


 その言葉は、絢にとっての楽しみ、逆に絢以外からすれば「そんなのを待たずに早く終わらしてしまえばいい」と思うようなことを表していた。


 そんな中二つの弾幕を、先ほどまで山のように出てきていた人型の機体がちらほらと抜けて絢だけを攻撃しようとする。


「倒してみます?」


「「そんなこと言ってる暇ないだろ!!」」


 振り返りながらそんな事を言う絢に、もちろんフェンリル達は絢に対して、戦いに集中するように注意するが、それよりも早く人型機が絢にとびかかる。


「……やらなくていいんですね」


 どこか悲しそうに言いながら前に振り替える絢は、何処から出したのかは分からないが、半透明の剣によって人型の機体が貫かれる。


「貴方達がやってみるのも面白いとは思うんですけどね」


 そんなことを言いながら、いつの間にか展開している魔方陣の数は4桁の大台を突破していた。


「まだまだあるでしょう、この程度じゃ終わらないですよね?」


 その言葉は誰に話しかけているのか、その言葉を境にして魔方陣の数を更に倍に増やした。

 唐突に増やされた弾幕に機械側は対応が追い付かずに徐々に攻撃が通って行き、絢の弾幕を反射して人型の機体も先ほどと同じような剣が貫き、その機能を止めている。


 その対処に機械側が持ち出してきたのは最初に放った高出力のレーザー兵器、それも一つではなく数十と展開しその全てにエネルギーが充填されていた。


「出来るじゃないですか!!」


 全てのエネルギーをレーザーに注いでいるのか、他の兵器や人型の機体はいつの間にかその稼働を止めていた。絢の方も、それにこたえるように今まで連射に使っていた魔方陣を消し、新たに砲と同じ数を作り出す。


 そんなそんな2つの変化を見て……いや、見ることはできない、フェンリルの階層に居たころの絢と同じで、今までの無意識のうちに発動し、生き抜くための必須能力となっていた魔眼、それが絢の周囲を渦巻く膨大な魔力によってその視界が塗りつぶされる。

 そんな中、絢はいつぞやの発言の有言実行をしていた。


「さぁ、行きましょう」


 そう言って2方向から更に視界を塗りつぶす閃光が発生する。


 機械は強い、威力は思考力に作用されず、疲れることは無い、絢も現状では想像力だけでは現状を覆せず魔力量を増やし火力を強化している。それでも機械側の勝ち目は0に近い。

 本来ならば、ここまでで絢の魔力は数十度尽きても当たり前なほどの魔力量を放出している、それでも絢の魔力は尽きていないどころかここで怒涛の追い上げを見せてきた。

 ゲームをしていたり小説や漫画を読んでいる者ならわかりやすいだろう「使った魔力は再利用できない」、これが出来るというのは「一度吐く息を袋に溜めそれをもう一度吸う事を繰り返すことで生きる」「混ぜて黒くなった絵具から筆だけで元の色を取り出す」これらが出来ると言っていることと同じである。

 回復することはできても取り戻すことはできない……だが、絢はそれをしている、してしまっている、一度使った魔力を分解し、再構成し、自らの魔力としてもう一度使っている。


 2方向からの閃光は今度はあまり威力にも大きさにも違いはない。

 真正面からの押し合い。

 天秤は初めの数秒こそ釣り合っていた物の、徐々に絢の方へと傾いていく。

 一度傾き始めればその速度は止められない。


 絢の光線が、機械による光線を押していく。

 もし機械に『心』という物があったのならばここからの盛り返しもあったのかもしれない……そんなことを思いながら一切弱めることなく閃光を放ち続ける。

 簡単に砲は呑み込まれ、閃光はそのまま直進していった……


「このくらいでいいですかね……」


 そう言った絢が魔方陣から魔力を抜くと、次第に光線が収まっていく……


「──ッッ……こ、これは人間が作り出せる物なのか?」


 フェンリル達の目の前からは、先ほどの機械機械たちも消え去り、何処までも続いていそうな真っ暗な穴が開いていた。

 そんな光景の中、ただ一つ、少女が閉じ込められている水晶だけが残っていた。


「まだ終わらないですよね」


 まるでその言葉を合図にしたかのように水晶にひびが入り、粉々に砕け散り、閉じ込められていた少女が解放されてしまう。


「もう少し楽しみましょう……」


 その表情を見たフェンリルは、こんなことをしてまだ笑っている絢に恐怖を覚えたという。

「こやつの名前が無いせいで使いように困っているようだぞ、そろそろ名前を決めんか?」


「そうですね……龍なのでリューとかどうですか?」


「……、適当が過ぎんか?」


「こういうのはあの子に任せた方がいいんですよ」


「あの子……、ルビーが仲良くしている者の事か」


「待った方がいいですよ」

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