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28話・ここまで長いと少し面倒になってきました。

「あれは本当に何をしたいんだ……」


「負けたい……とか?」


「「……ないない」」


「そーかなぁ~」

(一本道なのに挟み撃ちをしてこないのを疑問に思っていましたが、そう言う事ですか……)


 絢は部屋に入った瞬間にフェンリルたちを通路にまで押し返し、入ってこれないように障壁を張る。

 フェンリルは「何をやる!!」と言って怒っていたが、既に絢の耳のその言葉は届いていない。


「体術は苦手なんですが……久しぶりの肩慣らしです」


 部屋は巨大な円柱状、東京タワーを横にしても無理なく入りそうな直径をして、上はどうなっているのか見ることが出来ないほど高い、その壁からは道中で見たことのある戦車軍が押し出されるように出てくる。

 出てきた機械軍は、壁に張り付く術があるならそのまま張り付いて絢の元まで走り、飛ぶ術があるのなら空中を飛行し、そのどちらもない物は重力に従って落下してくる。


 取りあえずで見える範囲の敵を確認した絢は、一番最初に地面と衝突する戦車に向けて走り出し、地面の衝突と同時にたどり着く。


「壊れるとわかっている物にも武器をつけるのは流石器械ですね」


 壊れてボロボロの機械から器用に主砲だけを引きちぎり、そのまま発射する。

 主砲から発射された弾は、空中を飛んでいたドローンを容赦なく叩き落す。


「この程度で私を止められると思っているんですか?」


 何に対して言っているのかは分からないが、少なくとも視線だけは目の前の機械軍に向けて絢がそんなことを言う。


 それが理由かは分からないが、機械たちが活発に動き出す、絢に向けて走り出し、ドローンはその体に付いた武器を連射し、戦車は誘導式のミサイルとロケットを雨のように降らせる。

 絢は一見逃げ場がないように見える弾幕の中を、まるでそうあるのが当たり前といったふうに走り抜けていく。ただ、それだけだと弾幕は減らずにどんどん増えていく。それでも絢が避け続けられているのは絢の立ち回りによるところが大きい。

 動き方の工夫で同士討ちを誘い、自分も攻撃することでその増加速度を抑えている。

 しかもその攻撃が素手だけのなのだから恐ろしい。


「さて、そろそろ応用に行きますよ!!」


 絢の周りに黒いオーラのようなものが現れると、その速度はさらに上がる。


 そんな姿を興味深く、焦りを含んだ視線を向けている者がいた……


(何だあれは……)


 絢によって張られた障壁は攻撃はもちろん音も閉ざしたが、その向こう側の景色だけは鮮明に通した。

 その目に映るのはたった一人の人間が無限に思える数の兵器に無双をする姿、自分よりもはるかに小さく非力な少女が、技術と魔法だけで自分が苦戦したものを楽々と壊していく、そんな光景が歯がゆい、簡単に超えられると思っていた、その幻想を目の前のその光景が簡単に打ち砕いていく……、その場でそんなことを思い浮かべていないのはいつまでものほほんとしているルビーだけだった。


 暫くすると、戦車やドローンが次第に人型と入れ替わっていき、絢を追う弾幕にも魔法が増えてくる。


「数が多い……いつになったら終わるんでしょうか……」


 絢は奥に進めば何か起こるかもと思っていたようだが、どれだけ進んでも数が増えるだけ、戦車にも人型にも新しい機能はついていない、これ以上は何も出てこない……そう思った絢が上に向けて熱線を発射する。


「早く楽しみを見に行きま……」


 熱線は無数にも思えた機械軍を溶かし消し飛ばしたはず……だった。


 実際には人型だけだが、かなりの数が残っていた。


(今耐性用の魔法の出力を上げた……と言うことは無いですね、そうであっても簡単に消し飛ばすくらいの威力にはしましたし……)


 そんなことを考えていた絢にワイヤーのように細い糸が拘束するように襲い掛かる。


「ちゃんと面白いじゃないですか!!」


 わずかに振動しながら襲い掛かってくる糸を切断する。


「さて、何処まで耐えられますか?」


 ここから始まる攻撃はジムラドが見せた魔法の発展、絢にとっては基本の基本と言ってもいい物だろう、それでも、今までに比べれば、先ほどの熱戦を入れたとしても、その出力は遥かに高い物になる。


 初手に放つのは熱線、先ほどと違うのは魔方陣の併用で誘導性を追加したこと、狙うのは人型……ではなく、その手に持つ武器と機体に刻まれた魔法陣である。

 魔方陣の特性は主に二つ、刻む場所と方法によっては長い年月何度も使える事と一度完成させても込める魔法の量によって出力を上下させられることである……だがその分魔方陣は繊細、一部分でも欠ければその効果は簡単に失われる。

 今回の絢も魔方陣の破壊を試したものである魔方陣を壊せば、機械である目の前の存在は魔法を使うことはできなくなる。


「まあ、そうですよね」


 絢の魔法は確実に装甲を打ち抜く……そうして弾いた個体から見えたのはただの耐性の魔方陣


(見える魔力はそこまでありそうに思えないんですよね)


 更に同じ魔法を数えるのも億劫なほど展開し全て弾いていく、一機ずつ確認していくが、その攻撃に耐える機体に限って見ることが出来ない。

 素の防御力で耐える個体の中に、一部魔法が当たらない個体がいる。


(熱戦が跳ね返されていますね……、流石に魔法の内容までは反射されているわけではなさそうですが……)


 たった一人で、先ほどの機械軍と同じ密度で、更に威力の高い弾幕をかいくぐり絢の元へとたどり着いた個体がこぶしを握り腕を大きく振り上げる。


(力比べは苦手なんですが……)


 絢もそれに合わせ下から迎え撃つ形で拳を握り、身体強化と重力魔法、加速魔法の重ね掛けをして突きを放つ。

 二つの拳の衝突が明らかに拳が起こし得ない衝撃と轟音、閃光を発生させ絢が吹き飛ばされ、反対にその個体の拳を肩口から破壊する。


「やはりあまり使わない魔法は制御が甘いですね、踏ん張りがききません」


 未だに誘導式の魔法を発動し続け、先ほどの衝撃があったにしてはあまりにも無傷の絢が煙の中から現れる。

 その姿に同型種だろう、更に抜けてきた個体が体術を仕掛けてくるが、絢のノーモーションからの回し蹴り、その身長からはあり得ないほど射程を持つ蹴りが、明らかに物理よりな性能の個体をまとめて破壊する。


 次に相手をするのは誘導弾を無傷で耐えている個体である、一度でその個体の元まで行くと一度で縦にチョップするそのチョップは打撃だけでなく斬撃すら思わせる鋭さで簡単に切り裂いてしまう……


「……意外と柔らかいですね、何故?」


 その後同じような個体は現れなかったのでそれは一度無視、次の目標を定める。


「貴方の魔法は反射でしょう」


 その言葉に返事はないが、絢の一撃の挙動がその返答になっている、今までと同じく体術で相手をする。

 機体からの攻撃は全て避け、反射の範囲とタイミングを確認していく、どう見ても違いが無いように思えるほどわずかな時間ずつずらしていき、かなり早くにそのタイミングが訪れる一度攻撃が当たると、そこから連鎖するように次々に当たっていく。


「……もう終わりですか?」


 そこに立つ少女は見た目は人間で本人も人間だという、だが……彼女を良く知る者は、みな口をそろえて「人ではない」と言うのだった……

「今週の金曜日は更新されないみたいですよ」


「……何故だ? 投稿すると約束していただろう」


「試験だそうです、来週の火曜日にはここも更新されているそうなので、見れるのは今だけですね……」


「そうだ……そんなレアみたいに言っても騙されんぞ!!」

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