27話・物量は一方行では意味がないんですよ
「急に任せるのはやめてくれ」
「二人にも強くなってほしいんですよ」
「「……感動はせんぞ!!」」
フェンリルたちが入り口で戦車を全滅させてから30分、その進行速度は今までの階層の非にならない速度で攻略していた。
「我らの苦労は何だったのだ……」
そう呟いたフェンリルは全力疾走中であり、その後ろには武器が引きちぎられ残骸となった、戦車だった物が群れを成して転がっていた……
「バラバラだ―!! 鉄の雨だー!!」
そんな風に周りを見てキャッキャしているルビーを見て「「元気だな……」」とつぶやき若干げっそりとしているフェンリルとその背に乗った少女の姿があった……。
そんな彼らの前には、侵入者を排除しようと床だけではなく壁や天井を埋め尽くす戦車と、羽が刃のように鋭くなっているドローンが自らの体で壁を作る様にぎちぎちに飛んでいた。
それもフェンリル達から100mは先で途切れている、ぎりぎり見ることができる速度で「何か」が移動し、虹色の光と共に立派な防衛兵器がただの鉄くずへと作り変えられていく。
「キレ―だねー」
「「……そうだな」」
炎の波に雷の槍に水の刃に鉄の弾、そのほかにも色とりどりの攻防が虹の様に見え綺麗ではある……あるのだが、その結果生み出されているのは、鉄くずである。
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
「疲れました乗せてください」
先ほどまで徐々に増えていた戦車やドローンが唐突に姿を現さなくなった。
特にここから苦戦することもないだろうとフェンリルの背に乗ろうとしたところで、フェンリルが「そろそろ自分で歩け!!」苦情を発する。
「仕方ないじゃないですか、私は体力ないんですよ、ちょっと走ったくらいで息が切れますし……」
「じゃあさっきビュンビュン飛び回ってたのは何なんだ……」
「魔力で無理やり動かしてみたんですが……、まあしんどいですね」
その言葉を聞いて((息の一つでもあげてから言え!!))と言いかけたが、それを言っても何も変化が無いことを悟ったフェンリル達は思うだけで留まった。
何も言わないことを了承と受け取ったのか、絢がフェンリルの背に乗ろうとしていたが、ふとその行為を止める。
「また面倒なものが来ましたね……」
そういった絢の視線の先に居たのは、一人の少女? で、その手には見るからに威力の高そうな銃を持っていた。
「……あれが面倒なのか?」
「ええ、一度倒してみるとわかると思いますよ」
マイペースにフェンリルと話をして視界を外している間に、少女の姿をした何かは銃を構え、引き金を引く。もちろん、その銃口からは弾丸が射出され、絢の方向へと真っ直ぐに飛んでいく。
「一機だったら簡単なんですよ、ですが、あのタイプはほとんど無限に出てきます」
そんなことを言いながら、展開した障壁で器用に弾丸を反射して少女の姿をした何かの頭部に当たり、はじけ飛ぶ……と言っても、そこから出るのは血や脳髄ではなく、光沢のある金属である。
「先までのあれらと同じものなのか?」
「まあ、遠くはない物でしょうね」
フェンリルの質問に若干ぼかすような答えたかをする絢に向けて、異常なほどの速度の弾丸が壁や天井を反射して絢に向かっていくが、それも反射し暫くすると遠くで何かに当たったような音がした。
「どういうことだ?」
「まあ、もう少しすればわかります」
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
そんな絢の言葉の答えが分かることはなく、次々と襲ってくる姿の変わらない人型の機械と、それが引き連れる戦車とドローンを蹴散らしながら進んでいく、今までの迷路や道の無い広大な大地と違い、ほぼ一本道の進行は、非常にスムーズに進んでいた。
「どちらかと言えば楽だな……」
「一番面倒だったのは貴方の所ですよ、完全な暗闇で見えないですし、光を作っても通路が黒塗りされてたのでほぼ意味なかったですし……」
「ウグッッ」
「リルちゃんシュミわるーい」
「ウグッッッ!!」
絢の言葉よりもルビーの言葉の方にダメージを負っているフェンリルを余所に、今までと比べて異常に広い場所に出る。
「ボス部屋で……」
そこまで言った絢が、初めて味方を攻撃する。
「何をやる!!」
攻撃の衝撃によって先ほどまでいた通路に押し返されたフェンリルが絢への抗議を言いながら視線を上げると、そこには通路を塞ぐように、いつもよりも厚めの障壁が張られていた。
「体術は苦手なんですが……久しぶりの肩慣らしです」
そんなことを言った絢の上からは、今までのとは桁が違う数の機械が上から降りて来ていた……
『絢様~、いますか~?』
「唯ちゃん!! あーちゃんは今戦ってる~」
『ルーちゃん!! 絢様はどんな感じ?』
「んーとね、キレイ!!」
『そーだよねー』




