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26話・ロマンはわかりませんが凄さはわかります

「そういえば、この者には名を付けぬのか?」


「私が名づけをすると大変なことになりますよ、主に羞恥心的な意味で」


「……? どういうことだ?」


「気にしないほうが良いですよ」

 攻撃が止まらない、レーザーやパルス弾が飛び交い、火炎放射とガトリングガンの弾幕に小型ミサイルとグレネードの爆発。剣と魔法と簡易的な銃の世界と言う話は何処へ行ったのかと言いたい状況だが、そんな暇はなく、片や大量の弾幕、片や限界を超えて発動している魔法、二つの弾幕が辺りを飛び交う……。


 この状況に陥った原因は30分前に遡ることになる。


△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼


「剣と銃とは言った物ですね……」


 眼前に広がるのはボスとして立ちふさがっていたフェンリルと同じかそれ以上の大型の()()が通ることを目的として作られた現代的……いや、近未来的と言うべき、長年の月日に浸食されず清潔に保たれた通路が続いていた。

 今までとは明らかに違う異様な雰囲気に絢も本を置いてフェンリルから飛び降り、フェンリルに合わせて歩き出す。


「いかにも何か出そうだな……」


「そうですね、何があるかわかりません、注意して……」


 そういった瞬間、警告音に近い大きなブザー音と共に、先ほど入ってきた場所が隔壁のようなもので閉ざされ

『侵入者を検知しました、即座に排除します。周囲の施設関係者は退避してください。

 繰り返します……』

 と、機械的な音声が響き渡る。


 機械的な金切声のようなものに気づきもう一度廊下の方を見ると、隔壁の方向へ意識が向いた絢達向けて銃に近い何かを射出していた、その速度から見るに、今からの対処では既に間に合わない位置に来ていた……が、それら全てがいつの間にかその間に貼られていた透明な膜のようなものに防がれることとなる。


「面倒なことになりましたね」


 未だに隔壁の方へ向いていた絢が改めて廊下の方に視線を移す、その先に居たのは、大小こそ違うが、多脚の戦車とでもいうべき代物。口径も実弾か魔法弾か、それともそれ以外かもバラバラだが、今までに絢が戦ってきた何よりも統制の取れた軍隊だ。

 まだ、弾幕は薄い()()()()()()この弾幕をすり抜ける事も出来るが、フェンリルたちもとなると、その確率は大きく引き下がる。


「どうする……」


「決まっています、数を減らしますよ」


 フェンリルの質問に絢は即答し、即席で4つの魔方陣を展開し一つの槍を作りだし投擲する。その速度は軽く音速を超えていたが、その結果は当たった戦車一台を貫いた程度でそれ以上の効果は見られなかった……それどころか、絢の狙い通り確実に制御基板を貫いたはずの戦車がまだ動き続けている。


「ッ……あれに耐えるのか」


「硬いですね」


 絢は(あなたもこれくらいできるはずなんですけどね)と心の中で付け加えたが、それがフェンリルに伝わることはない。


「対斬、対弾、耐熱、耐冷は確実についていますね、生半可な攻撃では通らないでしょう、他にも色々とついていそうですが……、まあ、今やるべきことではないですね」


「と、言っても……」

「どうすれば……」


 自分の体を貫いた、絢の一撃を防いだ目の前の戦車たちにどんな攻撃をすればいいのかわからないフェンリルと少女の二人の疑問に絢がその回答を断言する。


「決まっているでしょう、耐性など意味ないほどの一撃で消し飛ばせばいいんですよ」


 若干嫌な雰囲気を感じ取りながら「それはどういう……」と言うとその返答が絢の口から語られる。


「貴方達が出せる魔力の限りを用いて攻撃してください」


「魔力の限りと言うと……」


「もちろん、全ての魔力を出し切ってください、あれがいなくなるか、魔力が無くなったら進みましょう」


 提案でありながら、絢がその言葉を話すとどうしても命令に聞こえてしまうのはなぜなのだろうか、パワーバランス的・本能的絶対強者からの命令に二人が逆らうことができるようになるのはいつになるのだろうか……


△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼


 そんなこんなで1時間、全力で二人が壊し続けたおかげで、時間の経過とともに順調に戦車の数が減っていき最終的には魔力が尽きる前にノルマの0体を達成できた。


「まあ、今はこんなところですね、次にやることがあればもう少し早くできるようになってくださいね」


「もう……、二度とやりたくない……」


「完全に同意だ……」


 何もしていなかったルビ若干退屈していたのかあくびをしているが、実際に魔法を使って最前線で戦っていた二人は方から息をしていた、実際にそれをやれと命じた絢はと言えば、二人が壊した戦車の在外を回収して分析をしていたが、実際に戦いが終わるとそれもすぐにやめた。


「さて、ここから先は私がやりますので、少し休んでいてくださいね」


 そうして、何かの施設のような場所で少女が巨大な犬を連れ歩き、その背に二人の少女が乗っているという奇妙な光景が出来上がったのだった……

「できればもう少し大きい口径の砲を見たかったです」


「それにあの障壁は耐えられるのか? と言うか何故あれは我らの攻撃を通したのだ?」


「簡単な話です、片側からだけ攻撃を通す障壁を今作ったんですよ、その分脆いですが、あの程度なら関係ありません」

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