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23話・限界とはその気になれば超えられるのです

「ルビーって何?」


「赤い宝石です」

 フェンリルとその背に乗った二人が逃げ続けると徐々に攻撃が薄くなって行き、8時間程続けた所で漸く完全に攻撃が止んだ。


「さすがに長かったな」


 そう言いながらも、特に汗一つかいていないフェンリルがため息をつく。


「それにしても、どこか苦しそうなのは何なのでしょうか……」


 フェンリルのため息の直後に放たれた絢のその言葉、その言葉に二人は「「え!!??」」と驚いてしまう。


「一つ聞きたいのだが、魔力切れなどは……?」


 そんな恐る恐ると言ったフェンリルの質問に「魔力切れ……?」と質問で返す絢の姿に、二人は「マジかこいつ……」と言う目線を向ける。


「最大威力で魔法を発動し続けると体調が悪くなることがあるだろう?」


「……? 最大威力の魔法の連発はしたことありますが、体調が悪くなったことは一度も……」


 さらにそんなことを言う絢に2度目の「マジかこいつ……」と言う目線が向く。


「いや、何ですか、魔力自体は同じものなんですから、魔法を使ったらある程度で霧散させて、それを回収すればそういうのは起きないと思うのですが……」


「「そんなことできるわけない(だろ)!!」」


 「同じ期待なんだから水中でも吐いた息を吸えば大丈夫」と同じレベルの事を言っているのだから二人の反応も当たり前なのだが、絢は特にピンと来ていないようだ。


「簡単ですよ、教えましょうか?」


 それに対する答えはただ一つ


「「そんなもの出来るようになりたくない!!」」


 なのだった……


△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼


 今までとは違い、ただただ広大な自然が広がる上に、フェンリルが走っていることも手伝ってかこの階層はフェンリルやルビーの階層とは違いボス部屋らしきものが見つからない。

 フェンリルとルビーの二人が弱音をつぶやいた瞬間に、フェンリルの背中で本を読んでいた絢が一言つぶやく。


「もう通り過ぎましたよ」


「え?」

「は?」


「な……、何をだ?」


「ボス部屋に決まってるじゃないですか」


「早く言え!!」


 そういうや否や、フェンリルは反対方向に向けて歩を進める。


「どのあたりだ!!」


「30分ほど前ですね」


「その時に言え!!」


 探している時よりもスピードを出して走り、10分でその地点まで到着する。


「ハァ、ハァ、どこだ!!」


「そこの洞穴の中です……、何をそんなに急いでるんですか」


「あんなプライドの塊のような生き物が縄張りにしてるところにいつまでもいて居られるか!!」


 よっぽどここに居たくないのか、今話している相手が絢であるのにも関わらずにその口調は荒いものになっていた。


「━━どれだ……?」


 そこには地面から空いたものや、丘に空いたものなど10個近くの洞穴が開いていた。


「左から三つ目、地面にあるのもです、金塊の奥に扉があります」


「わかった」


 いつになく素直に従うフェンリルは絢に指定された穴に飛び込み走り出す、ここまで激しく動いていれば絢は振り落とされそうだが、何かの魔法を使っているのか吸いつくようにフェンリルの背中で本を読んでいた。

 しばらく進むと、この階層に来た時に見たような金塊の山がちらほらと見え始めてくる。


「一番奥にある金塊の奥に扉があります」


 その絢の言葉を境にしてフェンリルがその速度を上げる、金塊の陰から竜の一種だろう物が出てくるが見つけるたびに放っていたフェンリルの炎によって跡形もなく溶けるか、ルビーの剣によってその首が切り飛ばされていた。


「酷いことをしますね」


「あれは面倒だ」


「怒りっぽいし、めんどくさいからいいの」


 二人が竜に対して辛辣な感想を言い合う中で次々と竜が二人に挑んではその命を絶やしていく……、その攻略速度は今までの攻略はいったい何をしていたんだと言いたいほどの速度で、僅か5分で洞穴の最奥に到着する。


「この奥か……」


 最奥にあった金塊は、此処までに見てきたものとは違い10mを優に超す巨大な塊だった。


「この金塊どこから持ってきてるんですかね」


「さあな、自分で作り出してるんじゃないか?」


「それで満足なんでしょうか?」


 二人が金塊のことについて話していると、つまらなくなってきたのか、ルビーが二人をせかそうと声を出す。


「そんなのどーでもいいから早く行こ―!!」


「……そうですね」


 絢のが返事をするのと同じく、フェンリルが前足で金塊を蹴り飛ばす。

 蹴り飛ばされた金塊の奥にはフェンリルの時と同じようなその場所にそぐわない無駄に豪華な扉が設置されていた。


「早く通り過ぎるぞ!!」


「うんうん!!」


 いつになく二人の意見がそろった瞬間だった。

「それにしても、二人とも竜きらいなんですか?」


「「嫌い!!」」

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